クラシック名曲一覧100曲|時代別・作曲家別に演奏時間と聴きどころ

オーケストラ

クラシック名曲の定番は、パッヘルベル《カノン》、ヴィヴァルディ《四季》より〈春〉、ベートーヴェン《運命》《エリーゼのために》、ドヴォルザーク《新世界より》、ドビュッシー〈月の光〉の6曲です。ただし定番を並べるだけでは、次に何を聴けばいいかは決まりません。この記事では100曲を時代別・作曲家別・演奏時間別の3通りで引けるようにし、1曲ごとに作曲年と「まず聴く部分」を示しました。

私は、初めて聴くときに作品番号を全部覚える必要はないと考えています。あなたが気になった旋律を一つ選び、もう一度聴きたくなる曲を見つけるための一覧として使ってください。演奏経験や楽譜の知識がなくても大丈夫です。

オーケストラの舞台とグランドピアノを客席側から捉えた、鑑賞の入口を示す構図。

この100曲は人気投票の順位ではなく、親しみやすい旋律、編成の幅、聴き方の違いを基準にした編集上の選曲です。番号は一覧の通し番号です。同じ作品の別楽章や別編曲は重複して数えていません。《四季》は独立した四つの協奏曲をそれぞれ1作品として数え、組曲やオペラは原則として全体で1作品としています。以下では、その中の有名な抜粋も聴き始める場所として紹介します。

  1. クラシック名曲100曲から最初に聴く10作品
  2. 知っている旋律から曲名を探す
  3. 交響曲・協奏曲・ピアノ曲の違いと曲名の読み方
    1. 作品番号は同名曲を見分ける目印
  4. 時代別に見るクラシックの流れ
  5. バロックの名曲一覧:No.1〜15
  6. 古典派の名曲一覧:No.16〜35
  7. ロマン派の名曲一覧:No.36〜80
  8. 近代・20世紀の名曲一覧:No.81〜100
  9. 作曲家別に探すクラシック名曲一覧
    1. バッハの名曲は「重なり」と「独奏1本」の二方向で聴く
    2. ショパンの名曲はほぼすべてピアノ独奏で完結する
    3. ドビュッシーとラヴェルの名曲は和音の色と余韻で聴く
  10. 聴くためのピアノ名曲一覧(ピアノ独奏20曲・ピアノ協奏曲8曲)
  11. 聴ける時間で選ぶクラシック名曲
  12. 交響曲と協奏曲の聴きどころを見つける方法
    1. 交響曲は一つのリズムを目印にする
    2. 協奏曲は独奏が休んでいるところも聴く
    3. 曲間の静けさも作品の一部として聴く
  13. ピアノ名曲は旋律・伴奏・余韻の三つで聴く
  14. 録音・配信・CDを選ぶときの確認ポイント
    1. 入口をまとめて聴きたい人向けのCD
    2. 静かな部屋で聴くための開放型ヘッドホン
  15. クラシック名曲についてよくある疑問
    1. 100作品を全部聴くには何時間かかる?
    2. 作曲家の生涯や音楽理論を勉強してから聴くべき?
    3. 有名な部分だけ聴いてもいい?
    4. 番号や曲名の表記が録音によって違うのはなぜ?
    5. 有名なクラシックの名曲は?
    6. クラシックで一番人気のある曲は?
    7. クラシック史上最高傑作は?
    8. クラシックの曲でかっこいい曲名は?
  16. まとめ:100曲から「また聴きたい一曲」を見つけよう

クラシック名曲100曲から最初に聴く10作品

全部を順番に聴くより、「今日はどんな音が聴きたいか」で選ぶと始めやすくなります。次の10作品は、後の100作品一覧から選んだ入口です。別枠の追加10曲ではありません。カッコ内の番号を目印に、詳しい聴きどころへ進めます。

気分や好きな楽器から聴き始める作品へ進む選択図。
  • 明るい弦の響き:ヴィヴァルディ《春》第1楽章(No.2)。独奏と合奏の交代がつかみやすい入口です。
  • ゆったり重なる旋律:パッヘルベル《カノン》(No.1)。低音の繰り返しも聴いてみましょう。
  • 一つの楽器をじっくり:バッハ《無伴奏チェロ組曲第1番》のプレリュード(No.8)。チェロだけで広がる響きを味わえます。
  • はっきりした形:モーツァルト《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》第1楽章(No.18)。短い旋律の受け答えが楽しい曲です。
  • オーケストラの迫力:ベートーヴェン《交響曲第5番》第1楽章(No.28)。有名な短いリズムが形を変えて現れます。
  • ピアノの歌う旋律:ショパン《ノクターン作品9-2》(No.42)。旋律に少しずつ加わる飾りを聴けます。
  • 懐かしさを感じる旋律:ドヴォルザーク《新世界より》第2楽章(No.72)。木管の独奏が印象的です。
  • 静かなピアノ:ドビュッシー《月の光》(No.81)。和音の移り変わりと余韻を楽しめます。
  • 楽器の音色を比べる:ラヴェル《ボレロ》(No.85)。旋律を引き継ぐ楽器の違いが聴こえます。
  • ピアノと合奏の大きな歌:ラフマニノフ《ピアノ協奏曲第2番》(No.93)。まず第2楽章から入っても構いません。

「静かだから好き」「低い楽器が気になる」という感想で十分です。有名な曲を好きになれなかったとしても、あなたの聴き方が間違っているわけではありません。同じ作曲家の別ジャンルや、違う演奏者の録音へ移ると、思いがけない入口が見つかります。

知っている旋律から曲名を探す

曲名が思い出せないときは、旋律そのものより「どこで流れていたか」から絞り込むのが早道です。日本で耳にする機会が多い10曲を、流れる場面と旋律の手がかりから引けるようにまとめました。番号は本記事の一覧に対応します。

よく流れる場面 旋律の手がかり 曲名 該当No.
卒業式・結婚式の入場 同じ低音が繰り返される上に、弦の旋律が順番に重なる パッヘルベル《カノン》ニ長調 No.1
結婚式の退場 金管の短い呼びかけで始まり、すぐ行進の調子になる メンデルスゾーン〈結婚行進曲〉(《真夏の夜の夢》) No.41
小学校の下校時刻 木管の独奏がゆっくり歌う、懐かしい響き ドヴォルザーク《新世界より》第2楽章 No.72
ピアノ発表会・着信音 右手の細かい上下がすぐ繰り返される ベートーヴェン《エリーゼのために》 No.35
年末の演奏会 低い弦から始まり、やがて合唱が加わる ベートーヴェン《交響曲第9番》第4楽章 No.31
表彰式・スポーツ中継 堂々とした行進の主題が繰り返し戻る エルガー《威風堂々》第1番 No.80
バレエ〈瀕死の白鳥〉 チェロが静かに長く歌い、ピアノが波のように動く サン=サーンス〈白鳥〉(《動物の謝肉祭》) No.63
クリスマスの時期 鉄琴のような澄んだ音や軽い舞曲が続く チャイコフスキー《くるみ割り人形》 No.71
映画《2001年宇宙の旅》 低い持続音からトランペットが三つの音で立ち上がる R.シュトラウス《ツァラトゥストラはかく語りき》冒頭 No.90
フィギュアスケート 小太鼓が同じリズムを刻み続け、楽器が次々に加わる ラヴェル《ボレロ》 No.85

場面から当たりが付かない場合は、編成で絞ると早くなります。ピアノ1台だけならNo.10・11・24・33〜35・39・42〜48・50・51・81・82・88のいずれか、オーケストラ全体が鳴っているなら交響曲・交響詩・管弦楽曲の行を先に見てください。旋律の一部を口ずさんで検索できるアプリもありますが、複数の演奏や編曲が混ざると別の曲名で表示されることがあるため、作曲者と作品名の両方で確かめると確実です。

交響曲・協奏曲・ピアノ曲の違いと曲名の読み方

交響曲は主にオーケストラで奏でる大きな作品、協奏曲は独奏楽器などとオーケストラのやり取りを楽しむ作品です。オーケストラは、弦楽器、息を使う管楽器、打楽器などを組み合わせた合奏を指します。協奏曲の主役は一人とは限らず、複数の独奏楽器が登場する曲もあります。

交響曲・協奏曲・ピアノ独奏の演奏者構成と曲名の分解図。

ピアノ曲という呼び方は楽器による分類です。ピアノ独奏のソナタも、ピアノとオーケストラの協奏曲も含み得ますが、この一覧では一台で弾く作品を「ピアノ独奏」と記し、協奏曲と区別しました。バッハなどの「鍵盤曲」は、現代のピアノだけを前提に書かれた作品とは限りません。

  • 楽章:大きな作品の中の、ひとまとまりの部分。交響曲の「第2楽章」は、本に例えれば第2章に当たります。ただし楽章同士が切れ目なく続く作品もあります。
  • ソナタ:独奏楽器や、独奏楽器とピアノなどのための作品名。曲の内部の組み立てを表す「ソナタ形式」とは使い方が異なります。
  • 組曲:複数の小曲をまとめた作品。舞曲を並べるものや、舞台音楽から抜粋したものなどがあります。
  • 室内楽:比較的少人数で演奏し、それぞれが自分のパートを担う音楽。弦楽四重奏は通常、ヴァイオリン2人、ヴィオラ1人、チェロ1人です。
  • 交響詩:物語、風景、思想などの題材と結びついた管弦楽作品。多くは一つの大きな楽章で構成されます。
  • オペラ・歌曲:オペラは歌や演技を伴う舞台作品、歌曲は詩に音楽をつけて歌う作品です。舞台の一部分だけを独立して演奏する場合もあります。
  • 主題・変奏:主題は曲の中心となる旋律や音型。変奏はその素材を残しながらリズムや響きなどを変えることです。
  • アダージョ・アレグロ:おおむね、ゆっくりした動き、速く活発な動きを示す語です。配信では楽章の名前として表示されることもあります。

作品番号は同名曲を見分ける目印

「ショパン:ノクターン変ホ長調作品9-2」なら、ショパンが作曲者、ノクターンが曲種、変ホ長調が調、作品9-2が作品9の第2曲を示します。調は、音楽がどの音を中心にまとまるかを表す手がかりです。明るい・暗いという印象だけで単純に決められるものではありません。

Op.は「作品」の略記です。K.はモーツァルトのケッヘル番号、BWVはバッハ、Dはシューベルト、RVはヴィヴァルディの作品を整理する番号です。スカルラッティのK.は別の作品目録の番号なので、文字だけで作曲家を決めないようにしましょう。WoOは作品番号のない作品の整理番号として使われます。

検索するときは「作曲家+曲名+作品番号+聴きたい楽章」の順で入力すると絞りやすくなります。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ《悲愴》とチャイコフスキーの交響曲《悲愴》は別作品です。《月光》と《月の光》も作曲者が異なるため、通称だけで検索したときは表示内容を確認してください。

時代別に見るクラシックの流れ

クラシック全体と、その中の一時代である「古典派」は同じ意味ではありません。ここでは、作品を探すために四つの大きな棚に分けます。境界の年は目安で、ある日を境に世界中の音楽が一斉に変わったわけではありません。

時代の境目が重なることを示す作曲家入りの年代地図。
  • バロック(おおむね1600〜1750年):No.1〜15、15作品。複数の旋律の重なりや、繰り返す低音、独奏と合奏の対比を入口にできます。
  • 古典派とロマン派への橋渡し(おおむね18世紀後半〜19世紀初め):No.16〜35、20作品。ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンをまとめました。旋律の受け答えや大きな構成を追いやすい作品を選んでいます。
  • ロマン派を中心とする19世紀の広がり:No.36〜80、45作品。歌う旋律、個人的な感情、物語や舞曲との結びつきなど、入口が大きく広がります。
  • 近代・20世紀への広がり:No.81〜100、20作品。音色やリズムの新しい扱いに加え、後期ロマン派の響きを受け継ぐ作品も含めました。

この分類は作曲年だけで機械的に分けたものではありません。例えばベートーヴェンはロマン派へつながる存在で、マーラーやラフマニノフは近代の欄でも後期ロマン派と深く関わります。フォーレやエルガーにも世紀をまたぐ作品があります。時代名は性格を決めつけるラベルではなく、隣の作品を探すための地図として使ってください。

バロックの名曲一覧:No.1〜15

バロックの収録は15作品、作曲年は1680年頃〜1749年です。作曲家はパッヘルベル、ヴィヴァルディ、J.S.バッハ、ヘンデル、D.スカルラッティの5人で、うち6作品がバッハです。

繰り返す低音、旋律の重なり、独奏と合奏の交代に注目しましょう。チェンバロは弦をはじいて音を出す鍵盤楽器です。プレリュードは前奏曲、フーガは主題を異なる声部が追いかけて重ねる形式を指します。アリアは歌うような曲、オラトリオは独唱・合唱・管弦楽などによる大規模な声楽作品です。

カノンの繰り返す低音と旋律の追いかけ合いを説明する概念図。
No. 作曲家 作品・種類 作曲年 まず聴く部分 聴きどころ
1 パッヘルベル カノンニ長調
室内楽
1680年頃 冒頭から 低い音の同じ流れを土台に、弦の旋律が順番に重なります。上のメロディーだけでなく、繰り返す低音を追うと、曲がふくらんでいく仕組みがつかめます。
2 ヴィヴァルディ ヴァイオリン協奏曲《春》RV 269(《四季》より)
協奏曲
1725年 第1楽章 合奏の明るい呼びかけと、独奏の細かな動きが交代します。鳥の声を思わせる箇所を探し、全員で奏でる主題が戻ったときの安心感を味わってください。
3 ヴィヴァルディ ヴァイオリン協奏曲《夏》RV 315(《四季》より)
協奏曲
1725年 第3楽章 独奏と合奏が激しい勢いで駆け抜けます。速さだけでなく、短い音型が押し寄せる切迫感に注目すると、《春》とは違う季節の表情が感じられます。
4 ヴィヴァルディ ヴァイオリン協奏曲《秋》RV 293(《四季》より)
協奏曲
1725年 第1楽章 踊りを思わせる合奏と独奏の受け答えが入口です。明るい曲調の中にも動きの軽重があり、拍の弾み方を聴くと同じ旋律の印象が変わります。
5 ヴィヴァルディ ヴァイオリン協奏曲《冬》RV 297(《四季》より)
協奏曲
1725年 第2楽章 弦を指ではじく伴奏の上に、独奏が長い旋律を重ねます。第1楽章の鋭い動きと比べると、短い休息のような穏やかさがいっそう際立ちます。
6 J.S.バッハ 管弦楽組曲第3番BWV 1068
管弦楽
1731年頃 第2曲〈アリア〉 通称《G線上のアリア》で親しまれる旋律の原曲です。旋律が大きく息をする間も低音は歩みを続けます。音の長さの違いを聴き分けてみましょう。
7 J.S.バッハ ブランデンブルク協奏曲第5番BWV 1050
協奏曲
1721年 第1楽章 フルート、ヴァイオリン、チェンバロが主役を分け合います。後半でチェンバロの独奏が大きく広がる場面は、伴奏と主役の関係を考える楽しい入口です。
8 J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲第1番BWV 1007
チェロ独奏
1720年頃 プレリュード 一台のチェロが流れる音の連なりを奏でます。低い音から高い音へ移るだけで空間が広がるように感じられ、和音を同時に鳴らさなくても響きの変化が伝わります。
9 J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番BWV 1004
ヴァイオリン独奏
1720年 シャコンヌ 繰り返しを土台に、表情を変えながら大きな流れを築く終曲です。重い和音と細かく動く音の対比を追うと、一つの楽器の豊かさを実感できます。
10 J.S.バッハ 平均律クラヴィーア曲集第1巻・第1番BWV 846
鍵盤曲
1722年 プレリュードからフーガへ 前半では和音を一音ずつ並べた流れ、後半では旋律の追いかけ合いが聴けます。同じハ長調でも組み立て方が変わることで、音楽の景色が変化します。
11 J.S.バッハ ゴルトベルク変奏曲BWV 988
鍵盤曲
1741年 アリアと第1変奏 穏やかなアリアのあと、音の動きが一変します。変奏とは何かを耳で知る入口として、冒頭と最後のアリアを聴き比べ、間の旅を少しずつ広げてください。
12 ヘンデル オラトリオ《メサイア》HWV 56
声楽
1741年 〈ハレルヤ〉 合唱の声がまとまって進む場面と、声部が重なって進む場面を聴き分けましょう。声部とは高低などで分けた歌のパートで、同じ言葉の繰り返しにも厚みが生まれます。
13 ヘンデル 《水上の音楽》第1組曲HWV 348
管弦楽
1717年 ホーンパイプ 舞曲らしい弾みと管楽器の響きが魅力です。録音で曲の並びが異なる場合があるので、組曲の番号だけでなく〈ホーンパイプ〉という小曲名も目印にしてください。
14 ヘンデル 《王宮の花火の音楽》HWV 351
管弦楽
1749年 序曲 堂々とした始まりと、その後の動きのある部分を比べましょう。金管の華やかさだけでなく、音楽が一斉に進む力強さを感じると全体像がつかみやすくなります。
15 D.スカルラッティ 鍵盤ソナタニ短調K.141
鍵盤曲
1738年頃 冒頭の同音連打 同じ音を素早く繰り返す動きが強い印象を残します。チェンバロとピアノの録音を比べると、音の立ち上がりや響きの残り方の違いも楽しめます。

古典派の名曲一覧:No.16〜35

古典派の収録は20作品、作曲年は1783年頃〜1824年です。ハイドン2作品、モーツァルト9作品、ベートーヴェン9作品という内訳で、交響曲が9作品と最も多くなっています。

ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの順にまとめています。メロディーの受け答えが分かると、長い曲でも聴く目印が増えます。通称は作曲者自身が付けたとは限らず、録音によっては作品番号だけで表示されます。レクイエムは死者のためのミサに由来する声楽作品です。

No. 作曲家 作品・種類 作曲年 まず聴く部分 聴きどころ
16 ハイドン 交響曲第94番《驚愕》
交響曲
1791年 第2楽章 静かな主題の途中に現れる大きな一撃が有名です。その瞬間だけで終えず、その後に主題が姿を変える様子も聴くと、驚きと工夫が一緒に楽しめます。
17 ハイドン 交響曲第101番《時計》
交響曲
1794年 第2楽章 刻む伴奏が時計を思わせます。同じ歩みが続くように聴こえても、旋律を受け持つ楽器や強弱が変わり、単調にならない作りに気づけます。
18 モーツァルト 《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》K.525
弦楽合奏
1787年 第1楽章 はっきりした冒頭の呼びかけと、それに続く軽やかな旋律が入口です。短いまとまりの受け答えを聴くと、整った形の中にある勢いが感じられます。
19 モーツァルト 交響曲第40番K.550
交響曲
1788年 第1楽章 ためらいながら急ぐような旋律が冒頭から現れます。同じ動きが繰り返されるたび、周囲の響きや音域が変わることに耳を向けると緊張感の理由が見えてきます。
20 モーツァルト 交響曲第41番《ジュピター》K.551
交響曲
1788年 第4楽章 短い音型がいくつも重なり、終わりへ向かって組み合わさります。最初から全部を追わず、一つの音型が別の楽器へ移るところを探すと聴きやすくなります。
21 モーツァルト ピアノ協奏曲第20番K.466
協奏曲
1785年 第1楽章 落ち着かない合奏の響きとピアノの登場を聴き比べましょう。独奏が加わっても緊張がすぐ解けないため、伴奏との関係からドラマを感じやすい作品です。
22 モーツァルト ピアノ協奏曲第21番K.467
協奏曲
1785年 第2楽章 ゆったりした旋律の下で、伴奏が小さな歩みを続けます。ピアノだけを追わず弦の動きも聴くと、静けさの中で音楽が止まらず進んでいることが分かります。
23 モーツァルト クラリネット協奏曲K.622
協奏曲
1791年 第2楽章 独奏の丸みのある音が長い旋律を歌います。息継ぎのような区切りと、オーケストラの応答を聴くと、楽器同士が会話している感覚をつかめます。
24 モーツァルト ピアノ・ソナタ第11番K.331
ピアノ独奏
1783年頃 第3楽章〈トルコ行進曲〉 軽快なリズムと、音域や強弱の切り替わりを楽しむ入口です。余裕があれば第1楽章の変奏曲へ戻ると、同じソナタの中の違う表情にも出会えます。
25 モーツァルト 歌劇《フィガロの結婚》K.492
オペラ
1786年 序曲 小さなざわめきが一気に広がる始まりに注目してください。物語をまだ知らなくても、速い動きと急な強弱の切り替えから、舞台が動き出す期待感が伝わります。
26 モーツァルト レクイエムK.626
声楽
1791年 〈ラクリモーサ〉 短く区切られる伴奏に合唱が重なります。未完で残され補筆版で演奏される作品なので、気に入った録音は演奏者だけでなく補筆者の表記も確かめてみましょう。
27 ベートーヴェン 交響曲第3番《英雄》作品55
交響曲
1804年 第1楽章 冒頭の二つの和音のあと、旋律が長い道のりを進みます。大きな展開の中でも最初の形がどこに残っているかを探すと、長さが物語のように感じられます。
28 ベートーヴェン 交響曲第5番《運命》作品67
交響曲
1808年 第1楽章 短い四つの音のまとまりが全体を動かします。音の高さが変わってもリズムが残ることを意識すると、断片が作品を結びつける様子を耳で追えます。
29 ベートーヴェン 交響曲第6番《田園》作品68
交響曲
1808年 第1楽章、続いて第4・第5楽章 穏やかな始まりを味わったら、嵐から安らぎへ移る後半も聴いてみましょう。風景を一対一で当てるより、その場にいる人の気持ちの変化として聴く方法もあります。
30 ベートーヴェン 交響曲第7番作品92
交響曲
1812年 第2楽章 一定のリズムを足場に旋律が重なり、音楽が広がります。大きな音になることと、楽器の数が増えることの両方に注意すると、静かな推進力が感じられます。
31 ベートーヴェン 交響曲第9番《合唱付き》作品125
交響曲・声楽
1824年 第4楽章 低い弦から有名な旋律が育ち、やがて独唱と合唱へつながります。歌が始まる前の器楽部分も聴くと、声の登場が持つ意味をより大きく感じられます。
32 ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番《皇帝》作品73
協奏曲
1809年 第1楽章 合奏の和音に独奏が華やかな動きで応じます。冒頭からピアノが存在感を示す一方、その後はオーケストラにも長い役割があり、主役交代を楽しめます。
33 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第8番《悲愴》作品13
ピアノ独奏
1798年 第2楽章 歌う旋律と穏やかな伴奏を聴き分けてみましょう。主題が戻るたびに同じ気分に感じるか、途中の出来事を経て違って感じるかも、あなた自身の聴きどころになります。
34 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第14番《月光》作品27-2
ピアノ独奏
1801年 第1楽章から第3楽章へ 静かな第1楽章と激しい終楽章の対比が鮮烈です。《月光》は後世の通称で、最初の印象だけで全曲の性格を決めずに聴くと発見があります。
35 ベートーヴェン 《エリーゼのために》WoO 59
ピアノ独奏
1810年 冒頭から中間部へ 親しみのある旋律が何度も戻る小品です。途中で伴奏や音の密度が変わるところを聴き、冒頭へ帰ってくる感覚を味わうと、知っている曲を聴き直せます。

ロマン派の名曲一覧:No.36〜80

ロマン派の収録は45作品、作曲年は1815年〜1901年です。22人の作曲家が並び、最多はショパンとチャイコフスキーの各6作品。ピアノ独奏・協奏曲・交響曲・オペラ・バレエまで編成の幅がいちばん広い時代です。

作曲家ごとにピアノ、協奏曲、室内楽、舞台音楽の入口をまとめています。ノクターンは夜想曲、バラードは物語性を感じさせる器楽曲にも用いられる名称です。連弾は一台のピアノを二人で弾くこと。拍やアクセントは、音のまとまりや強く感じる場所を指します。

展覧会の絵の作曲者・原曲と管弦楽編曲の関係を示す図。
No. 作曲家 作品・種類 作曲年 まず聴く部分 聴きどころ
36 シューベルト 交響曲《未完成》D 759
交響曲
1822年 第1楽章 低い弦の始まりから、木管の歌と弦の旋律へ進みます。穏やかな箇所に突然大きな響きが割り込む対比が聴きどころ。番号には第7番・第8番の表記があります。
37 シューベルト ピアノ五重奏曲《ます》D 667
室内楽
1819年 第4楽章 歌に由来する主題が、楽器の持ち回りで変化します。ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの音を一つずつ追うと対話の楽しさが分かります。
38 シューベルト 歌曲《魔王》D 328
歌曲
1815年 ピアノの冒頭と歌の変化 切迫した伴奏の上で、一人の歌い手が登場人物を演じ分けます。歌詞を暗記する必要はなく、声の高さや強さが変わる場所を聴くと物語の進行を感じられます。
39 シューベルト 即興曲変ホ長調D 899-2(作品90-2)
ピアノ独奏
1827年 冒頭と中間部 流れるような細かな音と、力のこもった中間部が対照的です。速い指の動きだけでなく、まとまりの終わりで音楽がどこへ落ち着くかを聴いてみましょう。
40 メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64
協奏曲
1844年 第1楽章 独奏ヴァイオリンが早くから旋律を歌い始めます。華やかな技巧の場面でも歌う線が途切れにくく、旋律を口ずさむ気持ちで聴き進めやすい作品です。
41 メンデルスゾーン 劇音楽《真夏の夜の夢》作品61
管弦楽
1842年 〈結婚行進曲〉 金管の晴れやかな響きと、行進を支える拍が入口です。有名な冒頭のあとにも柔らかな場面があり、式典の音楽という印象だけでは収まらない表情が聴けます。
42 ショパン ノクターン変ホ長調作品9-2
ピアノ独奏
1830年頃 冒頭から 歌う旋律に細かな飾りが加わり、同じ線が少しずつ姿を変えます。左手の伴奏は広い間隔を動くため、旋律と伴奏の距離にも耳を向けてみてください。
43 ショパン 練習曲ホ長調作品10-3《別れの曲》
ピアノ独奏
1832年 冒頭と中間部 穏やかな旋律で知られますが、中間には緊張した響きが現れます。有名な部分だけを聴く場合と、戻ってくるところまで聴く場合の印象の違いを楽しめます。
44 ショパン 練習曲ハ短調作品10-12《革命》
ピアノ独奏
1831年頃 冒頭から 左手の激しい動きが曲を押し進め、右手は強い輪郭を示します。両手の役割が違うことを意識すると、速さの迫力だけでなく旋律の主張も届いてきます。
45 ショパン ポロネーズ変イ長調作品53《英雄》
ピアノ独奏
1842年 主部と中間部 堂々とした舞曲のリズムが中心です。ポロネーズはポーランドに由来する三拍子の舞曲で、力強さの中にも足取りを感じると音のまとまりがつかめます。
46 ショパン バラード第1番ト短調作品23
ピアノ独奏
1835年 静かな導入から最初の主題 短い導入のあと、歌う部分と激しい部分が大きな流れを作ります。特定の物語を当てはめず、同じ旋律が戻るときの温度差を感じながら聴いてください。
47 ショパン 幻想即興曲嬰ハ短調作品66
ピアノ独奏
1834年頃 冒頭とゆったりした中間部 両手の細かな動きが重なる部分と、歌う中間部が対照的です。速い箇所から穏やかな箇所へ切り替わったとき、音の間隔まで広く感じられるか確かめましょう。
48 シューマン 《子供の情景》作品15
ピアノ独奏
1838年 第7曲〈トロイメライ〉 少ない音でゆっくり語りかけるような小品です。子供向けの易しい練習曲集という意味ではなく、短い曲の中にある声の重なりや余韻を味わう入口になります。
49 シューマン ピアノ協奏曲イ短調作品54
協奏曲
1845年 第1楽章 力強い始まりのあと、独奏と管楽器が旋律を交わします。ピアノの技巧を見せる場面だけでなく、相手の歌を受け取るようなやり取りに注目してください。
50 リスト 《愛の夢》第3番変イ長調S.541-3
ピアノ独奏
1850年 冒頭から盛り上がりへ 伴奏に包まれた旋律が、やがて大きな響きへ成長します。中ほどの華やかな装飾を通過して歌が戻る瞬間を聴くと、曲のまとまりを感じやすくなります。
51 リスト 《ラ・カンパネラ》S.141-3
ピアノ独奏
1851年 高い鐘のような音 離れた音へ飛び移る動きの中に、鐘を思わせる高音が現れます。技巧の難しさを数えるより、同じ音が鳴るたび周囲の動きがどう変わるかを楽しみましょう。
52 ベルリオーズ 幻想交響曲作品14
交響曲
1830年 第2楽章〈舞踏会〉 揺れるワルツの中に、作品を通じて現れる旋律が顔を出します。まず一つの楽章で踊りの動きをつかみ、全曲では同じ旋律が違う場面に現れる面白さを追えます。
53 ロッシーニ 歌劇《ウィリアム・テル》
オペラ
1829年 序曲の終盤 駆けるような有名部分だけでなく、序曲の静かな始まりにも耳を向けてください。いくつかの場面を経て勢いが増すため、前半を知ると終盤の開放感が変わります。
54 ヴェルディ 歌劇《アイーダ》
オペラ
1871年 第2幕の〈凱旋行進曲〉 金管の明るい響きと整った歩みが印象的です。舞台映像なら合唱や人の動きも手がかりになります。行進曲の抜粋とオペラ全曲は別の長さの体験として選びましょう。
55 ワーグナー 楽劇《ワルキューレ》
オペラ
1856年 第3幕冒頭〈ワルキューレの騎行〉 弦のうねりに金管の主題が重なり、強い推進力を作ります。声のある舞台版と管弦楽のみの演奏会用抜粋では聴こえ方が違うため、録音の表記を確認してください。
56 ブラームス 交響曲第1番ハ短調作品68
交響曲
1876年 第4楽章 緊張した導入のあと、ホルンや弦が長い旋律を導きます。すぐに明るくなるわけではない道のりを味わうと、終盤の大きな広がりが印象に残ります。
57 ブラームス 交響曲第3番ヘ長調作品90
交響曲
1883年 第3楽章 チェロから始まる旋律が楽器を替えて受け継がれます。大声で感情を示すより、抑えた歌い方の中に揺れがある曲として聴くと、静かな魅力に近づけます。
58 ブラームス ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
協奏曲
1878年 第3楽章 独奏の力強い舞曲風の主題が入口です。オーケストラがただ支えるだけでなく対等に応じる場面が多く、合奏の厚みと独奏の輪郭を比べて聴けます。
59 ブラームス ハンガリー舞曲第5番
舞曲
1869年 冒頭から 速さや強さの急な切り替わりが面白い一曲です。原曲のピアノ連弾と管弦楽編曲では響きが異なり、同じ旋律を別の編成で味わう入門にもなります。
60 スメタナ 連作交響詩《わが祖国》より〈ヴルタヴァ(モルダウ)〉
交響詩
1874年 冒頭から川の主題へ 細かな木管の流れから、大きな旋律へ広がります。次々と景色が移る曲ですが、川の主題が戻る場所を目印にすると長い流れを見失いにくくなります。
61 ムソルグスキー 組曲《展覧会の絵》
ピアノ曲・管弦楽編曲
1874年 〈プロムナード〉と〈キエフの大門〉 原曲はピアノ独奏で、ラヴェルによる管弦楽編曲も有名です。歩くような主題と終曲を両方の版で比べると、楽器を替えることで増す色彩が分かります。
62 ボロディン 弦楽四重奏曲第2番ニ長調
室内楽
1881年 第3楽章〈夜想曲〉 チェロとヴァイオリンが歌を受け渡します。四人の弦楽器で作る音楽なので、一人の旋律の後ろで残りの三人がどう支えるかを追いやすい作品です。
63 サン=サーンス 組曲《動物の謝肉祭》
室内楽
1886年 第13曲〈白鳥〉 なめらかなチェロと揺れるピアノの伴奏が入口です。組曲全体では動物ごとに速さや楽器の使い方が変わるので、優美な一曲から多彩な世界へ広げられます。
64 サン=サーンス 交響曲第3番ハ短調作品78《オルガン付き》
交響曲
1886年 後半のオルガンの大きな登場 オーケストラにオルガンの響きが加わる瞬間が鮮やかです。配信では二部を四トラックなどに分ける例もあるため、楽章の表示と演奏内容を合わせて探してください。
65 ビゼー 歌劇《カルメン》
オペラ
1875年 第1幕への前奏曲 明快なリズムと金管の華やかさが耳に残ります。前奏曲の終わりには雰囲気の違う響きも現れ、にぎやかな曲という第一印象の奥にある緊張を感じられます。
66 チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23
協奏曲
1875年 第1楽章冒頭 弦の大きな旋律をピアノの和音が支える、役割の組み合わせが印象的です。その有名な導入の先で音楽がどう動き直すかまで聴くと、曲の広さが分かります。
67 チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35
協奏曲
1878年 第1楽章 独奏がのびやかな旋律を歌い、細かい動きへ広がります。華やかな箇所と歌う箇所の境目を聴くと、一つの楽器の表現が大きく変わることに気づけます。
68 チャイコフスキー 交響曲第5番ホ短調作品64
交響曲
1888年 第2楽章 ホルンの長い旋律が聴きどころです。全曲に進むと複数の楽章に共通する主題も見つかり、一つずつ異なる気分の楽章が大きな流れにつながります。
69 チャイコフスキー 交響曲第6番《悲愴》作品74
交響曲
1893年 第4楽章 盛り上がって終わる交響曲とは異なり、終楽章は沈んでいく表情を持ちます。第3楽章の勢いと続けて聴くと、終わり方の選択が作品の印象を変えると実感できます。
70 チャイコフスキー バレエ《白鳥の湖》作品20
バレエ
1876年 第2幕の〈情景〉 オーボエから始まる有名な主題に、弦やほかの楽器が加わります。舞台を見なくても、細い一つの声から大きな感情へ広がる流れを耳でたどれます。
71 チャイコフスキー バレエ《くるみ割り人形》作品71
バレエ
1892年 〈金平糖の精の踊り〉と〈花のワルツ〉 きらめく鍵盤楽器チェレスタの音と、ゆったり踊る弦の響きを比べましょう。組曲版は作品71aと表記され、全曲版から選ばれた曲で構成されています。
72 ドヴォルザーク 交響曲第9番《新世界より》作品95
交響曲
1893年 第2楽章 イングリッシュホルンという木管楽器の旋律が入口です。有名な歌の旋律として覚えている場合も、周囲の和音や中間部を聴くと、交響曲の中の役割が見えてきます。
73 ドヴォルザーク チェロ協奏曲ロ短調作品104
協奏曲
1895年 第1楽章 独奏が登場するまでの合奏にも大きなドラマがあります。チェロの低音の温かさと高い音の歌い方を比べると、音域によって表情が変わる面白さが味わえます。
74 ドヴォルザーク スラヴ舞曲第8番ト短調作品46-8
舞曲
1878年 冒頭から 強いアクセントと拍の感じ方の揺れが勢いを生みます。速さだけに乗るより、どの音が強く聞こえるかを追ってみると、踊りの足取りが立体的に感じられます。
75 グリーグ 《ペール・ギュント》第1組曲作品46
管弦楽
1888年 〈朝〉と〈山の魔王の宮殿にて〉 木管の穏やかな旋律から始まる曲と、繰り返しが勢いを増す曲を比べられます。同じ組曲の中で気分が大きく変わるため、音楽の場面転換を知る入口に向きます。
76 グリーグ ピアノ協奏曲イ短調作品16
協奏曲
1868年 第1楽章冒頭 打楽器の合図とピアノの下降する動きが鮮烈です。その後の旋律には歌う柔らかさもあり、冒頭の迫力と全体の表情の違いを楽しめます。
77 ヨハン・シュトラウス2世 ワルツ《美しく青きドナウ》作品314
管弦楽・舞曲
1867年 導入から最初のワルツへ 静かな導入を経て、有名な三拍子の旋律が現れます。第一拍を感じながら聴くと、単純な三つの数え方では収まらない、演奏ごとの揺れが伝わります。
78 ブルックナー 交響曲第7番ホ長調
交響曲
1883年 第2楽章〈アダージョ〉 長い旋律がゆっくり大きな響きへ育ちます。すぐ次の出来事を求めず、同じ気分が深まる時間を味わってください。音の積み重なりと静まる過程が聴きどころです。
79 フォーレ 《パヴァーヌ》作品50
管弦楽
1887年 冒頭の旋律 穏やかな舞曲の歩みの上に旋律が続きます。合唱を伴う版と器楽だけの版があるため、同じ作品でも声の有無で変わる印象を比べて楽しめます。
80 エルガー 《威風堂々》第1番作品39-1
管弦楽・行進曲
1901年 中間部の広い旋律 勢いのある行進から、ゆったりした大きな旋律へ切り替わります。有名な中間部だけでなく前後を聴くと、同じ曲の中の速度感と気分の対比がはっきりします。

近代・20世紀の名曲一覧:No.81〜100

近代・20世紀の収録は20作品、作曲年は1888年〜1946年です。ドビュッシー4作品、ラヴェル4作品を中心にフランス系が多く、ロシア・イギリス・アメリカの作曲家も含みます。

新しい音色やリズムだけでなく、ロマン派の歌う響きを受け継いだ作品も選びました。ラプソディは狂詩曲とも訳される比較的自由な構成の作品名です。時代を示す棚として用いており、この欄の作曲家が全員同じ作風という意味ではありません。

No. 作曲家 作品・種類 作曲年 まず聴く部分 聴きどころ
81 ドビュッシー 《ベルガマスク組曲》より〈月の光〉
ピアノ独奏
1890年頃 冒頭から中間部へ 音が消えきる前に次の響きが重なり、輪郭の柔らかな景色を作ります。旋律だけでなく低い音や余韻を聴くと、一台のピアノの奥行きが感じられます。
82 ドビュッシー 《夢》
ピアノ独奏
1890年 冒頭から 穏やかな伴奏の上に旋律が浮かびます。静かな曲でも和音は少しずつ変わるので、落ち着く響きと先を待ちたくなる響きの違いを探してみましょう。
83 ドビュッシー 《牧神の午後への前奏曲》
管弦楽
1894年 冒頭のフルート 一つのフルートの線が、オーケストラの響きへ溶け込んでいきます。はっきりした行進の拍を探すより、音色が入れ替わる流れに身を任せると近づきやすい作品です。
84 ドビュッシー 《海》―3つの交響的素描
管弦楽
1905年 第1曲〈海の夜明けから真昼まで〉 短い音の動きが組み合わさり、大きなうねりへ変わります。海の音をそのまま再現したものと決めず、楽器の組み合わせが作る明暗や広がりを楽しみましょう。
85 ラヴェル 《ボレロ》
管弦楽
1928年 小太鼓の開始から全曲 繰り返すリズムの上で、旋律を担当する楽器が替わります。同じ旋律でも音色が変わると印象が違うことを聴き取りやすく、最後まで続く拡大の過程が見どころです。
86 ラヴェル 《亡き王女のためのパヴァーヌ》
ピアノ曲・管弦楽編曲
1899年 冒頭の旋律 ゆったりした舞曲の歩みを持つ曲です。ピアノ版と作曲者による管弦楽版を比べると、旋律を一台で支える響きと、複数の楽器へ分ける響きの違いが聴けます。
87 ラヴェル ピアノ協奏曲ト長調
協奏曲
1931年 第2楽章 ピアノが長い旋律を静かに始めます。華やかな外側の楽章とは対照的で、後に管楽器が加わったとき、同じ線の聴こえ方がどう変わるかを楽しめます。
88 サティ 《ジムノペディ》第1番
ピアノ独奏
1888年 冒頭から 低い音と和音のゆったりした往復に、簡潔な旋律が重なります。音数の多さを求めず、音を置く間隔と消えていく時間を味わうと魅力が届きやすい曲です。
89 マーラー 交響曲第5番
交響曲
1902年 第4楽章〈アダージェット〉 弦とハープが中心となる静かな楽章です。長い旋律の行き先を急がず聴いてみましょう。全曲では強い金管や行進の響きもあり、抜粋とは大きく印象が変わります。
90 R.シュトラウス 交響詩《ツァラトゥストラはかく語りき》作品30
交響詩
1896年 冒頭〈日の出〉 低い響きから金管が立ち上がり、短い時間で壮大な空間を作ります。よく知られる冒頭は作品の一部分なので、続きの柔らかな場面まで聴いて違いを味わいましょう。
91 シベリウス 交響詩《フィンランディア》作品26
交響詩
1899年 冒頭から中間の穏やかな主題へ 重い金管の響きが、やがて歌うような旋律へ向かいます。静かな主題だけを切り取る場合と、前の緊張を経て聴く場合の受け止め方を比べられます。
92 シベリウス ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47
協奏曲
1904年 第1楽章 弦の細かな響きから独奏が姿を現します。独奏の高い音が持つ張りと、低い音の重みを聴き分けると、技巧の華やかさと内向的な表情の両方が感じられます。
93 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18
協奏曲
1901年 第1楽章冒頭と第2楽章 鐘のようなピアノの和音から、大きな旋律へつながります。ゆったりした第2楽章では独奏と管楽器のやり取りに耳を向けると、歌う音楽として親しめます。
94 ラフマニノフ 《パガニーニの主題による狂詩曲》作品43
ピアノと管弦楽
1934年 第18変奏 よく知られる穏やかな変奏は、前後の鋭い動きと対照的です。気に入ったら最初の主題から聴き、同じ素材がどう姿を変えたのかをたどってみましょう。
95 ホルスト 組曲《惑星》作品32
管弦楽
1916年 〈木星〉 活発に動く外側の部分と、中央の大きく歌う旋律を比べましょう。組曲全体は七曲で、各曲の性格が異なります。天文学の解説というより音楽の人物像として楽しめます。
96 ストラヴィンスキー バレエ《火の鳥》
バレエ・管弦楽
1910年 〈子守歌〉から〈終曲〉 静かな場面から壮大な終わりへ向かう変化が入口です。全曲版と複数の組曲版があるため、同じ曲名でも収録内容や長さが違うことを確認しましょう。
97 プロコフィエフ バレエ《ロメオとジュリエット》作品64
バレエ
1936年 〈騎士たちの踊り〉 重い足取りを思わせるリズムと、強い輪郭の旋律が印象的です。組曲では〈モンタギュー家とキャピュレット家〉の名でも探せ、柔らかな部分との対比が楽しめます。
98 ガーシュウィン 《ラプソディ・イン・ブルー》
ピアノと管弦楽
1924年 冒頭のクラリネット 音の高さを滑らせる始まりから、ピアノと合奏の活気あるやり取りへ進みます。ジャズの語り口とクラシックの大きな構成が出会う一曲として聴いてみましょう。
99 ラヴェル 《マ・メール・ロワ》
ピアノ連弾・管弦楽編曲
1910年 〈美女と野獣の対話〉 異なる音域や音の動きが、二つの役柄を思わせます。原曲の連弾と管弦楽版を比べ、同じ物語を違う楽器で語ると登場人物の印象がどう変わるかを楽しめます。
100 ブリテン 《青少年のための管弦楽入門》作品34
管弦楽
1946年 主題から各楽器の変奏へ 木管、金管、弦、打楽器の響きが順に紹介されます。最後は旋律を追いかける形で楽器が集まり、個々の音を知る楽しさと全体の迫力を一曲で味わえます。

作曲家別に探すクラシック名曲一覧

収録数が多い作曲家は、バッハ6作品、モーツァルト9作品、ベートーヴェン9作品、ショパン6作品、チャイコフスキー6作品、ドビュッシー4作品、ラヴェル4作品です。全42人の内訳を時代と主な活動地とともにまとめました。気に入った1曲があったら、同じ作曲家の行から次の1曲へ進むのがいちばん外れの少ない進み方です。

作曲家 時代 主な活動地 収録数 該当No.
パッヘルベル バロック ドイツ 1 1
ヴィヴァルディ バロック イタリア 4 2〜5
J.S.バッハ バロック ドイツ 6 6〜11
ヘンデル バロック ドイツ・イギリス 3 12〜14
D.スカルラッティ バロック イタリア・スペイン 1 15
ハイドン 古典派 オーストリア 2 16・17
モーツァルト 古典派 オーストリア 9 18〜26
ベートーヴェン 古典派〜ロマン派 ドイツ・オーストリア 9 27〜35
シューベルト ロマン派 オーストリア 4 36〜39
メンデルスゾーン ロマン派 ドイツ 2 40・41
ショパン ロマン派 ポーランド・フランス 6 42〜47
シューマン ロマン派 ドイツ 2 48・49
リスト ロマン派 ハンガリー・ドイツ 2 50・51
ベルリオーズ ロマン派 フランス 1 52
ロッシーニ ロマン派 イタリア 1 53
ヴェルディ ロマン派 イタリア 1 54
ワーグナー ロマン派 ドイツ 1 55
ブラームス ロマン派 ドイツ・オーストリア 4 56〜59
スメタナ ロマン派 チェコ 1 60
ムソルグスキー ロマン派 ロシア 1 61
ボロディン ロマン派 ロシア 1 62
サン=サーンス ロマン派 フランス 2 63・64
ビゼー ロマン派 フランス 1 65
チャイコフスキー ロマン派 ロシア 6 66〜71
ドヴォルザーク ロマン派 チェコ 3 72〜74
グリーグ ロマン派 ノルウェー 2 75・76
ヨハン・シュトラウス2世 ロマン派 オーストリア 1 77
ブルックナー ロマン派 オーストリア 1 78
フォーレ ロマン派〜近代 フランス 1 79
エルガー ロマン派〜近代 イギリス 1 80
ドビュッシー 近代 フランス 4 81〜84
ラヴェル 近代 フランス 4 85〜87・99
サティ 近代 フランス 1 88
マーラー 後期ロマン派 オーストリア 1 89
R.シュトラウス 後期ロマン派 ドイツ 1 90
シベリウス 近代 フィンランド 2 91・92
ラフマニノフ 後期ロマン派 ロシア・アメリカ 2 93・94
ホルスト 近代 イギリス 1 95
ストラヴィンスキー 20世紀 ロシア・フランス・アメリカ 1 96
プロコフィエフ 20世紀 ロシア 1 97
ガーシュウィン 20世紀 アメリカ 1 98
ブリテン 20世紀 イギリス 1 100

時代の欄は作品の性格をつかむための目安です。ベートーヴェンやフォーレのように二つの時代にまたがる書き方をしている作曲家は、初期と後期で響きが変わるため、番号の若い作品と後の作品を聴き比べると違いがはっきりします。

バッハの名曲は「重なり」と「独奏1本」の二方向で聴く

バッハの収録6作品は、複数の旋律が対等に重なる曲(No.10・11)と、楽器1本で完結する曲(No.8・9)に大きく分かれます。最初に聴くなら《管弦楽組曲第3番》の〈アリア〉(No.6)が最短で、ゆっくりした低音の歩みに旋律が乗るだけの構造なので、重なりを追う練習になります。次に《無伴奏チェロ組曲第1番》プレリュード(No.8)へ進むと、1本の楽器が和音を感じさせる仕組みが分かります。

《平均律クラヴィーア曲集》第1巻第1番(No.10)は、前奏曲とフーガが対になった形です。前奏曲は同じ形の分散和音が続き、続くフーガでは同じ主題が声部を替えて入ってきます。入りの回数を数えながら聴くと、バッハの書き方が耳で確認できます。

ショパンの名曲はほぼすべてピアノ独奏で完結する

ショパンの収録6作品(No.42〜47)はすべてピアノ独奏です。歌う旋律から入るなら《ノクターン》作品9-2(No.42)と《別れの曲》(No.43)、勢いから入るなら《革命》(No.44)と《英雄ポロネーズ》(No.45)、物語のような展開を追うなら《バラード第1番》(No.46)が向いています。

ショパンを聴いて「自分でも弾いてみたい」と感じた場合、鑑賞用の順番と練習の順番は一致しません。難易度と練習順で選びたい方はピアノ中級者向けクラシック練習曲・名曲15選|難易度と練習順を参照してください。

ドビュッシーとラヴェルの名曲は和音の色と余韻で聴く

ドビュッシー4作品とラヴェル4作品は、旋律を追うより「音の重なりが移り変わる感じ」を聴くほうが入りやすい曲群です。ピアノなら〈月の光〉(No.81)と《夢》(No.82)、オーケストラなら《牧神の午後への前奏曲》(No.83)の冒頭のフルート独奏が入口になります。ラヴェルは《亡き王女のためのパヴァーヌ》(No.86)がピアノ版と管弦楽版の両方で親しまれており、同じ曲を2種類の編成で聴き比べられる数少ない例です。

聴くためのピアノ名曲一覧(ピアノ独奏20曲・ピアノ協奏曲8曲)

この一覧の100作品のうち、ピアノ1台で完結する曲は20作品、ピアノとオーケストラの協奏曲は8作品です。ピアノから入りたい場合は、まずこの28曲だけを見れば足ります。演奏時間は代表的な録音の目安で、演奏者や反復の扱いによって前後します。

No. 作曲家 曲名 まず聴く部分の目安時間
88 サティ 《ジムノペディ》第1番 約3分(全曲)
42 ショパン ノクターン変ホ長調 作品9-2 約4分(全曲)
43 ショパン 練習曲《別れの曲》作品10-3 約4分(全曲)
44 ショパン 練習曲《革命》作品10-12 約2分30秒(全曲)
47 ショパン 幻想即興曲 嬰ハ短調 約5分(全曲)
45 ショパン ポロネーズ《英雄》作品53 約7分(全曲)
46 ショパン バラード第1番 ト短調 作品23 約9分(全曲)
35 ベートーヴェン 《エリーゼのために》 約3分(全曲)
34 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第14番《月光》第1楽章 約6分(第1楽章)
33 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第8番《悲愴》第2楽章 約5分(第2楽章)
24 モーツァルト ピアノ・ソナタ第11番〈トルコ行進曲〉 約3分30秒(第3楽章)
81 ドビュッシー 〈月の光〉(《ベルガマスク組曲》) 約5分(全曲)
82 ドビュッシー 《夢》 約4分30秒(全曲)
50 リスト 《愛の夢》第3番 約4分30秒(全曲)
51 リスト 《ラ・カンパネラ》 約5分(全曲)
48 シューマン 《子供の情景》より〈トロイメライ〉 約3分(〈トロイメライ〉)
39 シューベルト 即興曲 変ホ長調 作品90-2 約5分(全曲)
15 D.スカルラッティ 鍵盤ソナタ ニ短調 約4分(全曲)
10 J.S.バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第1番 約4分(前奏曲とフーガ)
11 J.S.バッハ ゴルトベルク変奏曲 約4分(アリアと第1変奏)
93 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 第2楽章 約11分(第2楽章)
94 ラフマニノフ 《パガニーニの主題による狂詩曲》第18変奏 約3分(第18変奏)
22 モーツァルト ピアノ協奏曲第21番 第2楽章 約7分(第2楽章)
21 モーツァルト ピアノ協奏曲第20番 第1楽章 約14分(第1楽章)
32 ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番《皇帝》第1楽章 約20分(第1楽章)
49 シューマン ピアノ協奏曲 イ短調 第1楽章 約15分(第1楽章)
66 チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 第1楽章 約21分(第1楽章)
76 グリーグ ピアノ協奏曲 イ短調 第1楽章 約13分(第1楽章)
87 ラヴェル ピアノ協奏曲 ト長調 第2楽章 約9分(第2楽章)

このほか、もともとピアノ曲として書かれて管弦楽編曲でも有名になった作品がNo.61《展覧会の絵》、No.86《亡き王女のためのパヴァーヌ》、No.99《マ・メール・ロワ》、ピアノとオーケストラが対等に扱われる作品がNo.98《ラプソディ・イン・ブルー》です。編曲版と原曲では響きがかなり違うため、録音を選ぶときは編成の表記を確認してください。

なお、この表は「聴く」ための一覧です。自分で弾く曲を難易度から選びたい場合はピアノ中級者向けクラシック練習曲・名曲15選のほうが目的に合います。

聴ける時間で選ぶクラシック名曲

手が空いている時間から選ぶと、途中で止める回数が減ります。目安は5分以内・10分前後・30分以上の3段階です。演奏時間は指揮者や反復の扱いで前後するため、幅のある数字として扱ってください。

時間の目安 曲名(該当No.) 長さ 向いている場面
5分以内 ショパン《革命》(No.44) 約2分30秒 短時間で一気に集中したいとき
5分以内 サティ《ジムノペディ》第1番(No.88) 約3分 静かな作業の背景に
5分以内 ベートーヴェン《エリーゼのために》(No.35) 約3分 知っている旋律で耳を慣らす
5分以内 ヴィヴァルディ《春》第1楽章(No.2) 約3分30秒 独奏と合奏の交代を確かめる
5分以内 J.S.バッハ〈アリア〉(No.6) 約5分 ゆっくりした低音を追う練習に
10分前後 シベリウス《フィンランディア》(No.91) 約8分 場面が切り替わる構成を追う
10分前後 マーラー〈アダージェット〉(No.89) 約10分 弦だけの響きに浸る
10分前後 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 第2楽章(No.93) 約11分 ピアノと合奏の掛け合いを味わう
10分前後 ラヴェル《ボレロ》(No.85) 約14分 楽器の音色を聴き分ける
30分以上 ベートーヴェン《交響曲第5番》全曲(No.28) 約32分 交響曲の全体像をつかむ
30分以上 ドヴォルザーク《新世界より》全曲(No.72) 約42分 旋律が親しみやすい交響曲から入る
30分以上 J.S.バッハ《ゴルトベルク変奏曲》全曲(No.11) 約45〜80分 同じ主題の変化を長く追う
30分以上 ホルスト《惑星》全曲(No.95) 約50分 7曲の性格の違いを比べる
30分以上 ベートーヴェン《交響曲第9番》全曲(No.31) 約65〜70分 時間を確保して通して聴く

100作品すべての「まず聴く部分」だけを続けて再生する場合、1曲あたり平均5分前後として合計8時間ほどが目安です。全作品を全曲で聴く場合は交響曲・協奏曲・オペラ・バレエが含まれるため60時間以上かかります。1日1曲なら3か月と少し、週末に3曲なら約8か月の分量になります。

交響曲と協奏曲の聴きどころを見つける方法

独奏とオーケストラが旋律を受け渡す関係を示した鑑賞用の図。

交響曲は一つのリズムを目印にする

交響曲を前にすると「長くて集中が続かない」と感じるかもしれません。その場合は、最初の短い音型を一つ覚え、それが戻る場所を探してみましょう。ベートーヴェン《第5番》なら四つの音のリズムが手がかりになります。音型とは、旋律より短い、特徴のある音のまとまりのことです。

戻ってきたときの楽器、音の高さ、強さが違うだけでも、最初とは別の表情になります。二度目は低い弦、三度目は木管というように聴く対象を替えると、同じ録音でも発見が増えます。全曲を一度で理解することを目標にする必要はありません。

協奏曲は独奏が休んでいるところも聴く

協奏曲では独奏者の速い指や高い音に目が向きますが、独奏が休んでいる間も音楽は進んでいます。オーケストラが出した旋律を独奏が受け取り、今度は独奏の動きを合奏が引き継ぐことがあります。ピアノが伴奏に回って弦が歌う場面もあり、主役が固定されないことが魅力です。

カデンツァは、独奏者が中心となって技巧や表現を示す部分です。オーケストラが休む例が多く、いつ合奏が戻るかを意識すると、独奏の長い場面が本編とどうつながるかも楽しめます。すべての協奏曲で同じ位置や形になるわけではありません。

曲間の静けさも作品の一部として聴く

音が小さくなった瞬間にすぐ次へ送らず、余韻が消えるまで待ってみてください。曲の途中の沈黙や、楽章の間の呼吸で気分が変わることがあります。続けて聴く場合は、再生順が入れ替わるシャッフルや、曲の終わりと次の始まりを重ねるクロスフェードをオフにすると、作品の流れを追いやすくなります。

ピアノ名曲は旋律・伴奏・余韻の三つで聴く

ピアノは一人で複数の役割を担える楽器です。右手が歌い、左手が支える例は多いものの、いつもそうとは限りません。ショパン《革命》では左手の動きそのものが強い存在感を持ち、バッハの鍵盤曲では複数の旋律が対等に進みます。

まずは一番歌いたくなる旋律に注目します。次に、後ろで同じ形を繰り返す音や、低い音だけを追ってみましょう。最後に、鍵盤を弾いた直後の音だけでなく、消えていく音を聴きます。ドビュッシーやサティでは、その余韻が次の音とどう重なるかも大切な楽しみになります。

「聴きやすい曲」と「弾きやすい曲」は別です。《トロイメライ》やゆっくりしたノクターンにも、音の重なりや旋律の出し方に繊細な工夫が求められます。演奏を始めるなら、鑑賞用のこの一覧を難易度順の教材と考えず、楽譜の編曲レベルや講師の助言を手がかりに選びましょう。

録音・配信・CDを選ぶときの確認ポイント

同じ作品でも、演奏者や編曲、収録範囲によって体験は変わります。最初から「唯一の名盤」を決めるより、曲を間違えずに選び、好みの演奏を一つ見つけるところから始めると続けやすくなります。

作品と録音を取り違えないための五つの確認項目。
  • 全曲か抜粋か:交響曲の第2楽章だけ、オペラの序曲だけという収録もあります。短いことが悪いのではなく、目的に合っているかが大切です。
  • 原曲か編曲か:《展覧会の絵》ならピアノ独奏か管弦楽かを確認します。編曲者の名前も違いを知る手がかりです。
  • 誰が演奏しているか:独奏者、指揮者、楽団の名前を記録すると、気に入った響きから次の録音へ進めます。
  • 楽章が順番に並んでいるか:作品番号が合っていても、複数の演奏が混ざるプレイリストでは流れが変わることがあります。
  • 音量と聴く場所:静かな部分に合わせて急に音量を上げると、その後の大きな響きとの差が強く出ます。落ち着いて聴ける場所で、控えめな音量から調整しましょう。

演奏時間は指揮や反復の扱いなどで変わるので、長い方が丁寧、短い方が優秀とは判断できません。同じ楽章の冒頭を二つの演奏で聴き、速さ、旋律の歌い方、音の重なりのどれが好きかを言葉にしてみてください。評価を決めるための比較ではなく、好みを知るための比較です。

入口をまとめて聴きたい人向けのCD

ユニバーサルミュージック『クラシックの100曲』(UCCS-1257)は、公式掲載ではCD6枚組で、さまざまな作品の抜粋をまとめた商品です。複数の作曲家を横断して入口を探せる点が利点です。一方、交響曲やオペラを全曲で聴く用途には、別の全曲盤が必要になる場合があります。本記事の100作品と、この商品の収録100曲は同一の選曲ではありません。

購入前には商品名だけでなく品番と収録曲を確かめてください。同じような「100曲」という名前でも商品は複数あります。すでに利用している配信サービスで聴ける曲を探す方法もあり、記事を楽しむための購入は必須ではありません。

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ユニバーサル ミュージック クラシックの100曲(UCCS-1257)

静かな部屋で聴くための開放型ヘッドホン

Sennheiser(ゼンハイザー)HD 560Sは、公式に開放型として案内されている有線ヘッドホンです。開放型は耳を覆う部分の背面を開いた構造で、自然な広がりを重視して自室で聴きたい場合の検討例になります。これは仕様に基づく用途の整理で、実機試聴による順位づけではありません。

一方で音が周囲へ漏れやすく、外の音も入りやすいため、通勤中や人と同じ部屋で静かに聴く用途には合わないことがあります。有線接続なので、手元のスマートフォンや再生機器の端子、必要な変換アダプター、装着感も確認してください。ヘッドホンを替える前に、いまの機器で落ち着いて一曲聴くところから始めても十分です。

クラシック名曲についてよくある疑問

100作品を全部聴くには何時間かかる?

「まず聴く部分」だけなら合計8時間ほど、全作品を全曲で聴くなら60時間以上が目安です。1日1曲なら3か月と少し、週末に3曲なら約8か月の分量になります。短いピアノ小品からオペラ全体まで幅があるため、時間別の一覧から選ぶのが確実です。

作曲家の生涯や音楽理論を勉強してから聴くべき?

先に音を聴いて構いません。作曲家の生涯や作品の背景は、気になったときに読むと音楽と結びつきやすくなります。最初から正解の感情を当てようとせず、「ここで楽器が変わった」「この旋律が戻った」という耳で分かる発見を増やしてみましょう。

有名な部分だけ聴いてもいい?

もちろんです。ただし、抜粋の性格が作品全体を代表するとは限りません。《月光》の第1楽章から第3楽章へ、《動物の謝肉祭》の〈白鳥〉から他の小曲へ進むと印象が変わります。好きな部分を入口として、前後を少しずつ足すと自然に世界が広がります。

番号や曲名の表記が録音によって違うのはなぜ?

作品の整理方法、日本語訳、通称、編曲版の違いが関わります。例えばシューベルト《未完成》は番号に揺れがありますが、D 759が目印になります。スメタナ《ヴルタヴァ》と《モルダウ》は同じ交響詩を指します。違う曲か迷ったら作曲者と作品番号、編成まで確認しましょう。

有名なクラシックの名曲は?

日本で耳にする機会が特に多いのは《カノン》《四季》より〈春〉《運命》《エリーゼのために》《新世界より》〈月の光〉です(No.1・2・28・35・72・81)。

クラシックで一番人気のある曲は?

公式な単一ランキングは存在しません。配信のプレイリストやCD企画で繰り返し上位に入るのは《四季》〈春〉《運命》《カノン》《ボレロ》です。

クラシック史上最高傑作は?

最高傑作を一つに決める基準はありません。音楽史で頂点として挙げられる回数が多いのはベートーヴェン《交響曲第9番》(No.31)とバッハの宗教曲・鍵盤曲です。

クラシックの曲でかっこいい曲名は?

愛称がそのまま通称になった曲が該当します。《運命》《英雄》《皇帝》《革命》《悲愴》《威風堂々》《ツァラトゥストラはかく語りき》が代表例です。

まとめ:100曲から「また聴きたい一曲」を見つけよう

クラシックを楽しむ入口は、交響曲の迫力でも、ピアノの静かな響きでも、知っている旋律でも構いません。まずは100作品の一覧から一つ選び、示した楽章や小曲を聴いてみてください。気に入ったら全曲へ、同じ作曲家の別作品へ、あるいは違う演奏者の録音へと進めます。

今日できる小さな一歩は、聴いた曲名、演奏者、好きだった瞬間を一行残すことです。「チェロの最初の音が好き」「静かな部分から広がるところがよかった」という言葉が、次の一曲を選ぶ手がかりになります。100作品を消化することより、あなたの生活の中に繰り返し聴きたい音楽が一つ増えることを大切にしてください。

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