「歌ってみたを投稿したいけど、著作権って大丈夫なのかな…」「弾いてみた動画でJASRACって聞くけど、何が必要なの?」「踊ってみたで好きな曲を使ったら違反になる?」——こんな不安を抱えたまま、なかなか投稿に踏み出せずにいるあなたへ。
結論から言うと、OK/NGは 「①その曲」「②投稿先」「③使う音源」の3つを順番に確認するだけで、ほとんど自分で判定できます。難しいのは法律そのものではなく、「どこを見れば答えが出るのか」がわかりにくいことなのです。
この記事では、その3ステップの具体的な調べ方から、X(旧Twitter)で必要になる個別申請の費用、収益化したときに広告収入が誰に入るのかまで、投稿前に押さえておきたいことを順番に整理します。10代の学生さんから50代で趣味を再開した方まで、専門用語はそのつどかみ砕いて説明します。
結論:OK/NGは「投稿先・楽曲・音源」で変わります
歌ってみた・弾いてみた・踊ってみたは、投稿先・楽曲の管理状況・使う音源によってOK/NGが変わります。YouTubeやニコニコ動画など、JASRAC/NexToneと契約のあるサービスでは、管理楽曲を自分で歌う・演奏する投稿は手続き不要で使える場合があります。ただし、市販CD・配信音源・カラオケ店の音源をそのまま使う場合は、原盤権(録音された音そのものの権利)の許諾が別に必要です。X(旧Twitter)への投稿、商用利用、替え歌、大幅アレンジ、企業案件は特に注意しましょう。
| やりたいこと | 安全度 | 注意点 |
|---|---|---|
| 自分で歌う・演奏する | 比較的高い | JASRAC/NexTone管理楽曲か、投稿先が契約サービスかを確認 |
| 市販音源・CD・配信音源を使う | 低い | 原盤権者(レコード会社など)の許諾が必要になる |
| Xに歌ってみた・弾いてみたを投稿 | 要注意 | 包括契約の有無を必ず確認。個別申請が必要になる可能性 |
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- 歌ってみた・弾いてみたの著作権は「3ステップ」で判定できる
- 著作権と原盤権の違い|カバー動画に関わる3つの権利
- 歌ってみたの音源選び|安全な音源の見分け方と規約チェック
- 弾いてみたの著作権|楽譜・耳コピ・合奏の注意点
- 踊ってみたの著作権|音源と振り付け、2つの壁
- 投稿先別・著作権ルール早見表|YouTube・ニコニコ・TikTok・X
- 歌ってみたの著作権申請が必要なケースと費用|X(旧Twitter)投稿の3つの方法
- 歌ってみた・弾いてみたの収益化|広告収入は誰に入るのか
- 投稿前チェックリストとやりがちなNG例
- よくある質問(歌ってみた・弾いてみた・踊ってみたの著作権)
- まとめ|3ステップを覚えれば、もっと自由に表現できる
歌ってみた・弾いてみたの著作権は「3ステップ」で判定できる

著作権の話が難しく感じるのは、複数の権利が同時に絡むからです。でも投稿する側がやることは、次の3つを順番に確認するだけです。この流れを覚えてしまえば、どの曲・どのSNSでも同じ手順で判断できます。
ステップ1:その曲がJASRAC/NexToneの管理曲かを調べる
まず、歌いたい・弾きたい曲の作詞・作曲の権利が管理団体に預けられているかを確認します。国内には主な管理団体が2つあり、曲ごとにどちらが管理しているかが違います。
- JASRAC(日本音楽著作権協会):国内最大手で、J-POP・演歌・洋楽などを幅広く管理しています。作品データベース「J-WID」で曲名やアーティスト名から検索できます。
- NexTone(ネクストーン):2015年設立の管理団体で、ボカロ曲・アニソン・インディーズ楽曲などを多く管理しています。公式サイトの作品検索データベースで調べられます。
どちらのデータベースにも見つからない場合は、管理団体を通した手続きができません。権利者(作詞者・作曲者や音楽出版社)に直接許諾を求めることになり、個人では現実的に難しいことが多いため、別の曲を選ぶほうが早いです。
ここで大事な注意点があります。この検索でわかるのは「作詞・作曲の著作権」だけで、音源そのものの権利(原盤権)は管理団体の管轄外です。ステップ3で必ず分けて考えてください。
ステップ2:投稿先が包括契約を結んでいるかを確認する
「包括利用許諾契約(包括契約)」とは、プラットフォーム側が管理団体にまとめて使用料を払っておく仕組みです。この契約があるサービスでは、投稿者が曲ごとに申請したり支払ったりする必要がありません。YouTubeに歌ってみたを気軽に上げられるのは、この仕組みがあるからです。
| 投稿先 | JASRAC | NexTone | 自分で歌う・演奏する投稿 |
|---|---|---|---|
| YouTube | 契約あり | 契約あり | 手続き不要で投稿できる |
| ニコニコ動画 | 契約あり | 契約あり | 手続き不要で投稿できる |
| TikTok | 契約あり | 契約あり | 手続き不要で投稿できる |
| 契約あり | 契約あり | 手続き不要で投稿できる | |
| Twitch | 契約あり | 契約あり | 手続き不要で投稿できる |
| X(旧Twitter) | 契約なし | 契約なし | 投稿者自身の個別申請が必要 |
2026年4月、JASRACの公式アカウントがXについて「現時点で契約が締結されていない」と告知しました。あわせて見落とされがちですが、NexToneもXとは契約がありません。つまり「ボカロ曲だから関係ない」という理解は誤りで、J-POP・洋楽・ボカロ・アニソンのいずれでも、Xへの直接投稿は個別申請が原則必要です。契約状況は交渉によって変わりうるので、投稿前に各団体の最新情報を確認してください。
ステップ3:使う音源が「自分の演奏」か「市販の原盤」かを分ける
最後が、実務でいちばん事故が起きるポイントです。包括契約は「曲」の使用を許すもので、「音源」の使用まで許すものではありません。
- 自分で歌う・弾く・打ち込む:あなた自身の新しい録音なので、原盤権は発生しません。もっとも安全です。
- 配布されているオフボーカル音源を使う:配布元が示す利用条件(クレジット表記、収益化の可否など)の範囲内ならOKです。
- 市販CD・配信音源・カラオケ店の音源をそのまま使う:原盤権の許諾が別に必要です。個人が許諾を得るのは難しく、実質的に避けるべき選択肢です。
ここまでの3ステップを、よくあるケースにあてはめた早見表がこちらです。自分の投稿がどれに当たるかを確認してみてください。
| あなたのケース | ①曲 | ②投稿先 | ③音源 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| YouTubeにJ-POPを自分の歌+自作伴奏で投稿 | 管理曲 | 包括契約あり | 自分の演奏 | ◎ 手続きなしで投稿できる |
| YouTubeで配布オフボーカル音源を使って歌う | 管理曲 | 包括契約あり | 許諾済み音源 | ◎ 配布元の条件内ならOK |
| YouTubeにJ-POPを市販CD音源で投稿 | 管理曲 | 包括契約あり | 市販の原盤 | × 原盤権の許諾が別に必要 |
| TikTokでアプリ内音源を使って踊る | 管理曲 | 包括契約あり | アプリ内音源 | ◎ 規約の範囲で使える |
| Xに歌ってみたを直接アップロード | 管理曲 | 包括契約なし | 自分の演奏 | △ JASRAC・NexToneへ個別申請 |
| カラオケ店で録音した音源を使う | 管理曲 | 包括契約あり | 店舗の配信音源 | × 原盤・規約の両面で不可 |
| 管理団体にない曲をカバーする | 管理外 | - | - | △ 権利者に直接許諾を取る |
著作権と原盤権の違い|カバー動画に関わる3つの権利

3ステップで判定できるとはいえ、「なぜそうなるのか」を知っておくと応用がききます。ここでは関わる権利を1分で整理します。
カバー動画に関わってくる3つの権利
- 著作権(作詞・作曲の権利):曲のメロディーや歌詞を作った人の権利です。JASRACやNexToneが管理を代行しています。
- 著作隣接権(原盤権):CDや配信音源など、実際に録音された「音源そのもの」に対する権利です。レコード会社などが持っており、管理団体の管轄外です。
- 実演家の権利・振り付けの権利:歌手や演奏者の実演、ダンスの振り付けに関する権利です。他人の演奏や振り付けを使うときに関わってきます。
覚え方はシンプルです。「曲(メロディーと歌詞)=JASRAC/NexTone」「音源=レコード会社」。JASRACに申請しても解決するのは前者だけで、後者は別ルートになります。この2つを混ぜて考えてしまうのが、いちばんよくある誤解です。
市販音源をどうしても使いたいときの許諾窓口
「どうしてもこの音源で作りたい」という場合、原盤権の許諾は音源を作った会社(レコード会社など)に直接申し込みます。JASRAC自身も、市販CDやダウンロード音源を使う場合は著作隣接権の許諾が別に必要だと案内しており、日本レコード協会が公開している音源利用許諾の窓口一覧を参照先として示しています。
ただし、個人の趣味投稿に対して許諾が下りるケースは多くありません。「窓口はある。ただし現実的な第一候補は、自分で伴奏を作るか許諾済み音源を使うこと」と考えておくのが実務的です。
歌ってみたの音源選び|安全な音源の見分け方と規約チェック

歌ってみたでOK/NGを分けるのは「歌う行為」ではなく「どの伴奏音源を使うか」です。ここを間違えなければ、歌ってみたはもっとも始めやすいジャンルです。
音源は3パターン|安全度で比べる
- 自分で伴奏を演奏・打ち込みする:原盤権の心配がなく、収益化の自由度もいちばん高い方法です。DTMで伴奏を作れるようになると活動の幅が一気に広がります。
- 「歌ってみた用」として配布されているオフボーカル音源を使う:もっとも現実的な選択肢です。配布者が利用条件を明記しているので、条件を守れば安心して使えます。
- 市販CD・配信音源・カラオケ店の音源をそのまま使う:原盤権の侵害にあたる可能性が高く、避けるべきです。自分の歌声を重ねても、使う秒数が短くても評価は変わりません。
オフボーカル音源の規約で確認する4項目
「歌ってみた用」と書かれていても、条件は配布者ごとにまったく違います。使う前に次の4点をチェックしてください。
- 収益化の可否:「個人利用のみ」「収益化はNG」と書かれていないか。ここを見落とすと、あとで収益化をオフにする作業が発生します。
- クレジット表記の条件:概要欄に何をどう書くよう求められているか。書式が指定されている場合もあります。
- 加工・アレンジの可否:キー変更、テンポ変更、途中カットが認められているか。
- 投稿できる場所:YouTube限定か、SNS全般で使えるか。X(旧Twitter)だけ別扱いになっていることもあります。
規約は更新されることがあるので、使った時点の規約をスクリーンショットで残しておくと、あとで確認が必要になったときに役立ちます。
「アカペラなら著作権は関係ない」は誤解
「伴奏を使わなければ大丈夫」と考える人は少なくありませんが、これは誤解です。メロディーと歌詞そのものが著作物なので、伴奏がなくても著作権は関わります。
とはいえ心配は不要です。アカペラでも、包括契約のあるプラットフォームでJASRAC/NexToneの管理曲を自分で歌う分には、個別の手続きなしで投稿できます。むしろアカペラは原盤をいっさい使わないため、原盤権のリスクがない安全な形式といえます。
弾いてみたの著作権|楽譜・耳コピ・合奏の注意点

ギター、ピアノ、ドラム、ベース——楽器を演奏して投稿する「弾いてみた」は、権利面ではとても有利なジャンルです。
自分の演奏なら原盤権はクリアできる
弾いてみたの大きなメリットは、すべて自分で演奏すれば原盤権が発生しないことです。あなたが弾いたフレーズは新しい録音なので、市販音源の権利には触れません。関わるのは作詞・作曲の著作権だけで、これは包括契約のあるプラットフォームならカバーされます。
市販の楽譜・タブ譜は「映さない・配らない」
見落としやすいのが楽譜です。演奏すること自体は包括契約の範囲で問題ありませんが、市販の楽譜・タブ譜には出版社の権利があります。画面に映したり、PDFを配布したりするのはNGです。
耳コピして演奏するのは問題ありません。ただし、採譜したものを画像やファイルとして共有する場合は、また別の判断が必要になります。「弾くのはOK、譜面を配るのは別問題」と覚えておくと安心です。
バンドメンバーと合奏動画を作るとき
複数人での演奏も、参加者全員が自分で演奏していれば原盤権の問題はありません。注意したいのは投稿先です。同じ動画でも、YouTubeなら手続き不要、Xなら個別申請が必要という差が出ます。誰のアカウントから投稿するかを決める段階で、投稿先のルールを確認しておきましょう。
踊ってみたの著作権|音源と振り付け、2つの壁

踊ってみたは、歌ってみた・弾いてみたとは事情が違います。「音源」と「振り付け」という2つの著作物が同時に関わるからです。
市販音源をそのまま使うと原盤権の壁にぶつかる
ダンスは音楽に合わせて踊るものなので、伴奏を自分で用意しにくいのが最大の壁です。市販のCD音源や配信音源をそのまま使うと原盤権の問題が生じますが、歌ってみたのように「自分で演奏する」で回避するのが難しい。だからこそ、次に挙げる選択肢が重要になります。
振り付けの著作権はどう考える?
創作性の高いダンスの振り付けには、著作権が認められる場合があります。一方で、一般的なステップや定番の動きそのものに権利が及ぶわけではなく、判断が難しい領域です。
現実には、人気の振り付けを「踊ってみた」として楽しむ文化が広く根づいています。ただし収益化や広告・企業案件で使う場合は話が変わります。趣味の範囲と商用利用は分けて考えるのが安全です。
安全に踊ってみたを楽しむ3つの選択肢
- 投稿先のアプリ内音源ライブラリから選ぶ:TikTokやInstagramなどが用意する公式ライブラリなら、プラットフォームが許諾を得ているためもっとも安全です。
- 踊ってみたでの利用が許諾された音源を使う:配布元が用途を明記している音源なら、条件を守れば音源の問題をクリアできます。
- 著作権フリーの楽曲で踊る:オリジナル振り付けや練習動画なら、フリー音源を使えば完全に安心です。
投稿先別・著作権ルール早見表|YouTube・ニコニコ・TikTok・X

ここからは投稿先ごとの違いをまとめます。まず全体像を表で確認してください。
| 投稿先 | 自分で歌う・演奏 | 市販音源を使う | アプリ内音源 | 収益化 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| YouTube | 条件付きで可 | 原盤許諾が必要 | 規約内で可 | Content IDに注意 | 1分超のショートは申し立てで全世界ブロックの可能性 |
| ニコニコ動画 | 条件付きで可 | 原盤許諾が必要 | 規約を確認 | 規約を確認 | 楽曲登録・投稿ルールを確認 |
| TikTok | 条件付きで可 | 要注意 | アプリ内音源を確認 | 商用はCML確認 | ビジネス利用は一般音源が使えない場合あり |
| 条件付きで可 | 要注意 | アプリ内音源を確認 | 商用利用は要確認 | ビジネスアカウントは制限あり | |
| X(旧Twitter) | 要注意 | 要注意 | なし | 要注意 | 包括契約の有無を必ず確認 |
| カラオケ店音源 | 原則避ける | 要許諾 | 公式機能なら確認 | 規約次第 | DAM・JOYSOUND等の公式機能と規約を確認 |
YouTube:Content IDの仕組みと申し立てが来たときの対応
YouTubeはJASRAC・NexToneと包括契約があるため、管理曲を自分で歌う・演奏する分には手続き不要です。ただし「Content ID」という自動照合システムがあり、アップロードした動画に登録済みの音源が含まれていないかを自動でチェックします。
市販音源をそのまま使うとここで検出され、広告が付いたり動画がブロックされたりします。自分の演奏でも誤検出されることがあります。申し立てが来たときの手順は次のとおりです。
- 1. 申し立ての内容を確認する:誰が、動画のどの区間に対して、どのポリシー(収益化/ブロック/トラッキング)を適用しているかを見ます。
- 2. 使った音源の出どころを照合する:許諾済み音源か自分の演奏かを確認します。明らかな誤検出であれば異議申し立てを検討します。
- 3. 許諾がない場合は差し替える:異議申し立てには著作権侵害の警告につながるリスクもあります。許諾がないなら、該当部分の削除・音源の差し替え・非公開が現実的な対応です。
なお、1分を超えるYouTubeショートは、Content IDの申し立てを受けると全世界でブロックされるとされています。ショートで尺を伸ばすときは特に注意してください。
ニコニコ動画:カバー投稿に理解のある設計
ニコニコ動画は歌ってみた・演奏してみた・踊ってみた文化が育ったプラットフォームです。JASRAC・NexToneとの包括契約があり、カバー投稿を前提とした設計になっています。楽曲登録や投稿時のルールを確認しながら使いましょう。
TikTok・Instagram:アプリ内音源なら安心、外部アップロードは要注意
TikTokやInstagramには、アプリ内で使える公式の楽曲ライブラリがあります。ここから選んだ楽曲は、プラットフォームが許諾を得ているため安心して使えます。
注意点は2つです。1つは、個人アカウントとビジネスアカウントで使える楽曲が違うこと。商用利用では一般楽曲が使えず、商用ライブラリからの選択になる場合があります。もう1つは、外部で作った動画をそのままアップロードすると、アプリ内ライブラリの保護が効かないことです。この場合は音源の権利を自分で確認する必要があります。
YouTube Musicにアップロードする場合
YouTubeにアップロードした動画は、YouTube Musicからも音楽として再生される場合があります。権利処理の考え方はYouTubeと同じで、包括契約は「曲」を、原盤権は「音源」をカバーするという区別は変わりません。動画としての権利処理ができていれば、そのまま音楽として聴かれることに追加の手続きは基本的に不要です。
一方で、カバー音源を「楽曲リリース」としてYouTube Musicの音楽カタログに載せたい場合は、動画投稿とは別枠になります。これは後述するサブスク配信と同じ扱いで、音楽ディストリビューターを通した配信手続きと、カバー曲としての権利処理が必要です。
歌ってみたの著作権申請が必要なケースと費用|X(旧Twitter)投稿の3つの方法
包括契約のないプラットフォームに投稿したい場合は、投稿者自身が管理団体に申請することになります。2026年時点でその代表がX(旧Twitter)です。ここでは選択肢を3つ、費用まで含めて整理します。
方法1:JASRAC・NexToneに個別申請する
管理団体のウェブサイトから手続きします。JASRAC管理曲はJASRACへ、NexTone管理曲はNexToneへ、それぞれ別に申請が必要です。個人が非営利で配信する場合の使用料は、意外と手が届く水準です。
| 条件 | 使用料の目安 |
|---|---|
| 1曲・非営利(広告収入なし) | 年額1,200円ほど(月額150円ほど) |
| 複数曲(10曲程度まで)・非営利 | 年額10,000円ほどの定額 |
| 広告収益を受け取っている(営利扱い) | 月額5,000円ほど〜の商用料金に変わる |
押さえておきたいのは「広告収益を受け取っているかどうかで区分が変わる」点です。Xのクリエイター向け収益分配プログラムをオンにしているアカウントは営利目的と見なされ、非営利の定額プランは使えません。使用料は改定されることがあるので、申請前に必ず各団体の最新の使用料規程を確認してください。
そしてもう一つ重要なのが、この申請で解決するのは著作権(作詞・作曲)だけということです。市販音源やカラオケ音源を使っている場合は、原盤権の許諾が別に必要なままです。
方法2:YouTubeに投稿してXにリンクを貼る
もっともリスクが低く、費用もかからない方法です。包括契約のあるYouTubeに動画をアップし、そのURLをXでシェアします。再生数が分散するのは惜しいかもしれませんが、権利面ではいちばんクリーンです。迷ったらこれを選べば失敗しません。
方法3:自作曲・許諾済み音源だけを使う
自分のオリジナル曲を演奏する、あるいは利用条件を確認したうえでクリエイティブ・コモンズなどの楽曲を使う方法です。申請も不要で、収益化の自由度も高くなります。
最後に注意点です。Xには今も無数のカバー動画があります。しかし「権利者が黙認している状態」と「合法」は別物です。著作権侵害は原則として権利者の告訴が必要ですが、権利者が動けば法的リスクは生じます。「みんなやっている」を判断の根拠にしないことをおすすめします。
歌ってみた・弾いてみたの収益化|広告収入は誰に入るのか

「歌ってみたは収益化できない」と聞いたことはありませんか。半分は正しく、半分は誤解です。仕組みを知れば、どこまで自分の収益になるのかがはっきりします。
Content IDの申し立てで広告収益は権利者に分配される
YouTubeでは、権利者がContent IDに音源を登録しています。あなたのカバー動画がその音源や楽曲に一致すると権利者が申し立てを行い、その動画の広告収益は権利者側に分配されます。動画は削除されず広告だけが付く、というケースが多いのはこの仕組みのためです。
つまり「収益化できない」のではなく「収益の行き先が権利者になる」のが実態です。あなたが収益化設定をオンにしていなくても、広告が付くことがあります。
自分が収益を受け取れるのはどんなときか
YouTubeパートナープログラムに参加していれば、収益化の対象となるカバー動画について、権利者の申し立てがある場合に比例配分された収益を受け取れる仕組みが用意されています。受け取れるかどうかは、使う音源で大きく変わります。
| 使う音源 | 権利者のContent ID申し立て | あなたの広告収益 |
|---|---|---|
| 市販CD・配信音源をそのまま使用 | ほぼ確実に発生 | 受け取れない(削除・ブロックのリスクも) |
| 非営利限定のオフボーカル音源 | 発生することがある | 受け取れない(収益は権利者へ) |
| 商用利用OKのオフボーカル音源 | 発生することがある | 分配を受け取れる場合がある |
| 自分で演奏・打ち込みした伴奏 | 誤検出の可能性あり | 分配を受け取れる場合がある |
| 自作のオリジナル曲 | 発生しない | 全額受け取れる |
要点は「音源の権利がクリアなほど、自分の収益になる割合が増える」ことです。収益を目的にするなら、商用利用OKと明記されたオフボーカル音源を選ぶか、自分で伴奏を作るのが近道です。
カバー曲をサブスク配信(Spotify・Apple Music)したい場合
「歌ってみたをSpotifyやApple Musicでも配信したい」という相談は増えています。これは動画投稿とはまったく別の手続きになります。
- 音楽ディストリビューターを使う:個人がサブスクに配信するには、TuneCore Japanなどの配信代行サービスを経由するのが一般的です。
- 作詞・作曲の使用料は配信事業者側で処理される:サブスク側が管理団体と契約しているため、配信登録時に楽曲情報を正しく申告すれば、投稿者が個別に申請する必要はないのが通常です。
- 原盤は必ず自分で用意する:市販音源や配布オフボーカル音源をそのまま含めた「歌ってみた」をサブスク配信するのは、原盤権の問題でほぼ不可能です。伴奏まで自分で用意する必要があります。
- カバー配信には条件がある:ディストリビューターごとにカバー曲の受付条件が異なります。申し込み前に各サービスのカバー曲に関する規定を確認してください。
動画投稿とサブスク配信を混同すると「YouTubeでOKだったから配信もOK」と誤解しがちです。投稿先が変わればルールも変わると覚えておきましょう。
投稿前チェックリストとやりがちなNG例

ここまでの内容を、投稿ボタンを押す前の確認事項としてまとめます。上から順に「はい」と言えれば、まず問題ありません。
- 歌う・弾く曲がJASRACまたはNexToneの管理曲か、データベースで確認した
- 投稿先がその管理団体と包括契約を結んでいるか確認した(Xは個別申請が必要)
- 使う音源が「自分の演奏」または「許諾済み音源」であることを確認した
- オフボーカル音源の規約で、収益化の可否とクレジット表記の条件を確認した
- 市販の楽譜・タブ譜を画面に映していない
- 歌詞のテロップを無許諾で全文表示していない
- 収益化をオンにする場合、その音源が商用利用OKであることを確認した
次の表は、初心者がとくにやってしまいがちなNG行動と、その安全な代替策です。
| やってしまいがちなNG | なぜダメか | 安全な代替策 |
|---|---|---|
| 市販CD音源をそのまま伴奏に使う | 原盤権の侵害になる可能性が高い | 許諾済みのオフボーカル音源を使う/自分で伴奏を作る |
| 市販の楽譜・タブ譜を画面に映す | 楽譜は出版社の著作物にあたる | 演奏だけを撮影し、譜面は映さない |
| 他人の「演奏してみた」音源を勝手に使う | その人の実演・録音にも権利がある | 本人の許可を取る/許諾済み音源に差し替える |
| 歌詞をテロップで全文表示する | 歌詞も著作物で、複製権・公衆送信権に関わる | 許諾の有無を確認してから。不明なら表示しない |
| 規約を読まずに「フリー音源」を使う | クレジット表記・商用不可などの条件がある | 配布元の利用規約を読み、条件を守る |
| Xに市販音源入りの動画を直接アップする | 包括契約がなく、原盤権も未処理になる | YouTubeに上げてXにリンクを貼る |
よくある質問(歌ってみた・弾いてみた・踊ってみたの著作権)
歌ってみたは違法ですか?
「歌ってみた」自体がただちに違法になるわけではありません。JASRAC/NexToneと包括利用許諾契約を結んでいるサービス(YouTube、ニコニコ動画など)で、管理されている楽曲を自分で歌う場合は、手続きなしで投稿できます。違法になりやすいのは、市販CDや配信音源(原盤)をそのまま伴奏に使うケースです。「曲を歌うこと」と「音源を使うこと」を分けて考えれば、判断を間違えにくくなります。
歌いたい曲がJASRAC管理曲かどうかは、どこで調べられますか?
JASRACの作品データベース「J-WID」で、曲名やアーティスト名から検索できます。見つからない場合はNexToneの作品検索データベースも確認してください。どちらにもない場合は管理団体を通した手続きができないため、権利者に直接許諾を求めるか、別の曲を選ぶことになります。なお、この検索でわかるのは作詞・作曲の著作権だけで、音源そのものの権利(原盤権)は管轄外です。
X(旧Twitter)に歌ってみた・弾いてみたを投稿するには、いくらかかりますか?
2026年時点でXはJASRAC・NexToneのいずれとも包括契約がないため、投稿者自身の個別申請が必要です。個人が非営利で配信する場合の使用料は、1曲なら年額1,200円ほど、複数曲(10曲程度まで)なら年額10,000円ほどの定額が目安です。ただし広告収益を受け取っているアカウントは営利扱いとなり、月額5,000円ほど〜の商用料金に変わります。金額は改定されることがあるので、申請前に各団体の最新の使用料規程を確認してください。
歌ってみたで収益化はできますか?
できる場合があります。ただし「収益化できない」と言われる理由は、Content IDで権利者が申し立てを行うと、その動画の広告収益が権利者側に分配されるためです。自分の収益にしたい場合は、商用利用OKと明記されたオフボーカル音源を使うか、伴奏を自分で演奏・打ち込みするのが確実です。非営利限定と書かれた音源を使うと、収益化設定をオンにできません。
カラオケ店で歌った動画をYouTubeに上げてもいいですか?
カラオケ店で流れている伴奏音源には、その音源そのものに権利があります。店内で録音した映像をそのまま投稿すると、原盤の面でも店舗・配信事業者の利用規約の面でも問題になる場合があります。DAMやJOYSOUNDなどが提供する公式の録音・投稿機能があるかどうか、その利用規約を確認するのが安全です。
Content IDの申し立てが来たらどうすればいいですか?
まずは申し立て元・対象区間・適用ポリシー(収益化/ブロック/トラッキング)を確認します。許諾済み音源や自分の演奏で明らかな誤検出であれば異議申し立てを検討し、許諾がない場合は該当部分の削除・音源の差し替え・非公開を検討しましょう。異議申し立てには著作権侵害の警告につながるリスクもあるため慎重に行ってください。なお、1分を超えるYouTubeショートは、申し立てを受けると全世界でブロックされるとされています。
歌ってみたをSpotifyなどのサブスクで配信できますか?
動画投稿とは別の手続きになります。個人がサブスクに配信するには音楽ディストリビューターを経由するのが一般的で、作詞・作曲の使用料は配信事業者側で処理されるため投稿者の個別申請は通常不要です。ただし原盤は自分で用意する必要があり、市販音源や配布オフボーカル音源をそのまま含めた歌ってみたを配信するのは原盤権の問題でほぼ不可能です。カバー曲の受付条件はサービスごとに違うため、申し込み前に規定を確認してください。
まとめ|3ステップを覚えれば、もっと自由に表現できる
最後に要点を振り返ります。
- OK/NGは「①曲」「②投稿先」「③音源」の3ステップで判定できる。
- 曲はJASRACの「J-WID」とNexToneの作品検索データベースで、管理団体を確認する。
- YouTube・ニコニコ動画・TikTok・Instagramは包括契約があり、自分で歌う・演奏する分には手続き不要。
- X(旧Twitter)は2026年時点でJASRAC・NexToneとも包括契約がなく、個別申請が必要。迷うならYouTubeに上げてXにリンクを貼るのが確実。
- 最大の注意点は「市販音源をそのまま使わない」こと。原盤権は包括契約では解決しない。
- 踊ってみたは「音源」と「振り付け」の2つに注意。アプリ内音源ライブラリがもっとも安全。
- 収益化は「できない」のではなく「音源の権利がクリアなほど自分の収益になる」。商用利用OKの音源を選ぶ。
- サブスク配信・楽曲リリースは動画投稿と別枠。伴奏まで自分で用意する必要がある。
著作権のルールは、表現を縛るためのものではなく、作り手も使い手も安心して創作を楽しむための約束ごとです。仕組みがわかれば、不安なく堂々と作品を発表できます。
さあ、次のアクションです。まずは歌いたい曲をJ-WIDで検索して、管理団体を確認してみてください。そして安全な音源を用意して、最初の一本を投稿しましょう。あなたの「歌ってみた・弾いてみた・踊ってみた」が、たくさんの人に届くことを願っています。
監修・確認について
この記事はJASRAC、NexTone、日本レコード協会、YouTubeヘルプ、TikTok公式ヘルプなどの公開情報をもとに、一般的な投稿時の注意点を整理した一般的な情報です。個別の楽曲・音源・案件によって必要な許諾は異なり、法的判断を保証するものではありません。判断に迷う場合は、権利者、配布元、各プラットフォームの最新規約、弁護士・弁理士などの専門家に確認してください。
最終確認日:2026年7月29日


