ギターエフェクターは、歪み系・空間系・モジュレーション系・音量系・音色系・音程系・補助用の7系統に整理できます。ただ、系統名を覚えるだけでは最初の1台は決まりません。決め手になるのは「今の音の何を変えたいか」と、「本体以外に何が必要で、いくらかかるか」です。
この記事では、7系統の一覧表で音の変化を見比べたうえで、最初に買う順の早見表・新品実売レンジの目安・本体以外に必要なものまでまとめました。主にエレキギター用のコンパクトエフェクターを例に、代表的な種類と聴き分け方、試す順番を解説します。

専門用語はその場で意味を説明します。すべてを一度に買いそろえる必要はありません。まずは好きな曲の一部分を思い浮かべながら、欲しい効果を一つ見つけていきましょう。
ギターエフェクターの種類一覧|何を変える道具なのかで整理しよう
エフェクターは、楽器から送られてくる電気信号を加工して音を変える道具です。足でオン・オフを切り替えるペダル型だけでなく、アンプ内蔵の機能や、録音ソフトに追加して使うプラグインという形もあります。見た目が違っても、音をどう変えるかという基本の考え方は共通です。

ここでは代表的なものを次のように整理します。分類の境界はメーカーやお店によって異なり、複数の働きを併せ持つ機種もあります。「空間系だから必ずこの回路」という厳密な分類ではなく、欲しい音から探すための目次として使ってください。
| 大きな分類 | 代表的な種類 | 主に変わるもの | 探すときの言葉 |
|---|---|---|---|
| 歪み系 | オーバードライブ、ディストーション、ファズ | 音の質感、倍音、弾いたときの反応 | ザラッと、太く、荒々しく |
| 空間系 | ディレイ、リバーブ | 反復、余韻、奥行き | やまびこ、響き、残響 |
| モジュレーション系 | コーラス、フランジャー、フェイザー、トレモロ、ビブラート | 音の揺れ、周期的な変化 | ゆらゆら、うねり、厚み |
| 音量・強弱の調整 | コンプレッサー、ブースター、ボリュームペダル | 強弱の幅、出力する音量 | 粒をそろえる、持ち上げる |
| 音色の帯域調整 | イコライザー、ワウ、オートワウ | 低音・中音・高音のバランスや動き | こもりを取る、ワウワウ |
| 音程系 | オクターバー、ピッチシフター、ハーモナイザー | 音の高さ、重ねる音程 | 1オクターブ下、ハモり |
| 補助・練習用 | ノイズゲート、チューナー、ルーパー | 無演奏時の雑音、調律、録音の反復 | 雑音を抑える、伴奏を繰り返す |
倍音とは、もとの音の高さに重なって音色を形づくる成分のことです。また、帯域は低音域・中音域・高音域のような音の高さの範囲を指します。これらを覚えると、「歪みを増やしたい」のか「中音域を増やしたい」のかを分けて伝えられます。
最初は「歪ませる・響かせる・揺らす」の3つを聴き分ける
短い音を一つ弾き、止めてみてください。音自体がザラつくなら歪み、止めたあとに繰り返しや余韻が残るなら空間系、伸ばしている間に周期的な変化が聴こえるならモジュレーション系を疑うと整理しやすくなります。ただし、曲の録音では複数の処理が重なるため、一つの特徴だけで使用機材を断定することはできません。
「透明感がある」「音が太い」といった感想は、どの系統にも使われます。お店で相談するときは、「弾いたあとに音が3回ほど返ってくる」「伸ばすと音量が波打つ」のように、変化のしかたを付け足すのがコツです。
エフェクターとは?アンプ内蔵の効果・DTMプラグインとの違い
エフェクターとは、楽器の電気信号を加工して音色を変える機器の総称です。同じ処理は足元に置くペダル型(コンパクト/マルチ)、アンプに内蔵された機能、録音ソフトに追加するプラグインの3つの形で手に入ります。
違いは操作の場所と、音を出す経路です。ペダル型は演奏中に足で切り替えられ、スタジオの機材を変えずに持ち運べます。アンプ内蔵は追加費用がかからない反面、そのアンプにある効果しか使えません。プラグインは録音後でも設定を変えられますが、パソコンと音を入出力する機器が前提で、ライブでそのまま踏み替える用途には向きません。分類の考え方はどの形でも共通なので、この一覧は録音ソフトの効果選びにも読み替えられます。
コンパクトとマルチ、どちらから始める?
効果を1つだけ試したいならコンパクト、複数の系統を一度に聴き比べたいならマルチが候補です。マルチは1台で歪み・空間系・モジュレーションを切り替えられるため、どの系統が欲しいか決まっていない段階では確認用として使えます。
逆に、欲しい音が「軽く歪ませたい」だけに絞れているなら、つまみが3〜4個のコンパクトのほうが役割を覚えやすく、あとから1台ずつ足せます。両者の比較はコンパクトエフェクターとマルチエフェクターの違い、マルチの機種選びはギター用マルチエフェクターおすすめ10選で扱っています。
歪み系の違い|オーバードライブ・ディストーション・ファズ
歪み系は、音の波形を変化させてザラつきや厚みを作るエフェクターです。波形とは、音の振動を線で表したもの。ギターでは、この変化を失敗として扱うのではなく、ロックの伴奏や伸びやかなソロの表現に使います。歪みが目立たない澄んだ音は「クリーン」、軽く歪んだ状態は「クランチ」と呼ばれます。

オーバードライブ:軽い歪みから弾き方の表情をつけたいときに
オーバードライブは、アンプを強く鳴らしたような歪みを作る系統です。弱く弾くと比較的澄んだ音、強く弾くとザラッとした音になるなど、演奏の強弱が音色の違いとして出る機種があります。和音を一気に鳴らすコード弾きや、一音ずつ弾くアルペジオで、その変化を確かめてみましょう。
「オーバードライブは必ず弱い歪み」とは限りません。歪み量を大きく変えられる機種もあり、設定によってディストーションに近い印象になります。また、すでに歪んでいるアンプへ入力する音を大きくし、さらに歪ませる使い方もあります。名称だけでなく、いつものアンプと組み合わせたときの反応を確認してください。
ディストーション:歪んだ質感をはっきり作りたいときに
ディストーションは、強い歪みや持続感を作る候補です。短いフレーズを繰り返すリフや、主旋律を目立たせるソロで、音の輪郭と伸び方を比べると向き不向きがわかります。2音程度で構成するパワーコードを弾き、低音弦を刻む音がつぶれすぎないか聴いてみましょう。
歪みを増やすほど迫力が出るように感じても、バンドの中では細かい音が混ざって聴き取りにくくなることがあります。単独で気持ちよく鳴る設定と、歌やベースと一緒に鳴らす設定は同じとは限りません。音が埋もれたら、まず歪みを少し減らす、低音を整理する、といった調整を試します。
ファズ:荒い質感や個性的な音を狙うときに
ファズは、強くつぶれたような質感や、毛羽立つような響きを作る系統です。ただし、滑らかに伸びるもの、音の消え際が途切れるようなもの、ギターの音量を下げると澄んだ音へ近づくものなど、機種ごとの差が大きい点が特徴です。「ディストーションをさらに強くしたもの」とだけ考えると、欲しい音とずれることがあります。
ファズを試すときは、強く弾く場面だけでなく、小さく弾く、ギターの音量を下げる、音が消えるまで待つ、という確認も加えましょう。一部の回路はギターの直後に置くかどうかでも反応が変わります。気になる機種があるなら、説明書に示された接続条件も確認すると安心です。
GAIN・TONE・LEVELはそれぞれ何を変える?
- GAIN/DRIVE:主に歪みの量を変えるつまみです。上げると歪みや音の伸びが増す傾向がありますが、反応は機種によって違います。
- TONE:主に明るさや高音の出かたを変えます。上げれば必ずよい音になるわけではなく、耳につくなら下げて比べます。
- LEVEL/VOLUME:エフェクターから次の機器へ送る音量です。最初はオンとオフで同程度に聴こえる位置に合わせます。
比較では、GAINを変えたあとにLEVELを調整して音量差を小さくします。大きな音のほうがよく聴こえる印象に引っ張られにくくなるためです。すべてのつまみを同時に回すと変化の原因がわからなくなるので、一つずつ動かす方法をおすすめします。
空間系の違い|ディレイは反復、リバーブは残響
空間系は、弾いた音のあとに時間的な広がりを足すエフェクターです。まずは「ディレイはやまびこのような反復」「リバーブは部屋やホールで感じる残響」と捉えると区別しやすくなります。どちらも音を豊かにできますが、かけすぎると次の音に重なり、演奏の輪郭がぼやけます。

ディレイ:弾いた音を遅らせて繰り返す
ディレイは、入力した音を遅れて再生する効果です。短く設定して音に厚みを足したり、長めにしてフレーズの隙間へ反復音を入れたりできます。音の間隔を曲に合わせると、実際に弾いた音と戻ってくる音が組み合わさって、リズミカルなフレーズを作れます。
代表的なつまみは、反復までの間隔を決めるTIME、繰り返しの量を調整するFEEDBACK、効果音の大きさを決めるE.LEVELやMIXです。MIXは原音と加工した音の混ざり具合を表すことが多いものの、実際の動作は機種によって異なります。原音をドライ、加工音をウェットと呼ぶ場合もあります。
試すときは反復音を小さめにし、数回返ってくる程度から始めましょう。FEEDBACKを大きくすると、機種や設定によって反復が増大し続ける「発振」が起きることがあります。強い効果を試す場合も再生音量を控えめにし、困ったらFEEDBACKや効果音量を下げます。
ディレイの時間はmsという単位で表示されることがあります。msはミリ秒で、1,000msが1秒です。たとえば1分間に120拍のテンポで、1拍ごとに音を返したいなら500msが目安になります。計算は「60,000÷1分間の拍数」です。これは4分音符1拍分の例で、細かな音符に合わせる場合は間隔をさらに分けます。
リバーブ:音が鳴っている場所の響きを足す
リバーブは、多数の反射音が重なるような残響を作ります。小さな部屋を想定したRoom、大きな会場のようなHall、金属板を使った残響装置を模したPlate、ばねによる響きを模したSpringなどの名前が代表的です。同じ名前でも機種ごとに音は違うため、名前は方向を絞る目印と考えます。
最初は残響の長さを示すTIMEやDECAYを短めにし、効果音を小さく混ぜます。一音弾いて止め、響きが自然に消えるかを聴いてください。速い伴奏では短め、音数の少ないフレーズでは少し長め、といった具合に、音と音の隙間を聴きながら調整します。
アンプ側ですでにリバーブがかかっている場合、ペダル側と重ねると響きすぎることがあります。違いを確かめる段階では、どちらか一方から始めると変化がわかりやすくなります。音が遠く感じるときは、残響を長くする前に、効果音の量を下げてみましょう。
どちらを先に選ぶ?
「単音ソロの後ろに同じ音が返ってきてほしい」ならディレイ、「反復を目立たせず、乾いた音に自然な響きを足したい」ならリバーブが候補です。アンプの内蔵リバーブで十分なら、追加のリバーブを急いで買う必要はありません。逆に、好きな曲の特徴がはっきりした反復音なら、ディレイを先に試す理由になります。
モジュレーション系の違い|何が揺れているかを聴こう
モジュレーションとは、音の性質を時間とともに変化させることです。ギター用エフェクターでは、ゆっくりした揺れや周期的なうねりを作るものが、この分類にまとめられます。空間系と同じく広がりを感じることもありますが、ここでは「伸ばした音がどう動くか」に注目してください。

コーラス:少しずれた音を重ね、厚みを感じさせる
コーラスは、わずかに揺らした音を原音へ重ね、複数の音が重なったような厚みや広がりを作ります。クリーンなコード弾きやアルペジオで違いを聴き取りやすい効果です。ほんのり広げる程度にも、大きく揺らして存在感を出す使い方にもできます。
RATEは揺れの速さ、DEPTHは揺れの深さを示す代表的なつまみです。まずRATEをゆっくり、DEPTHを浅めにし、オンとオフを比べてみましょう。効果がわかりにくければ一度少し深くして変化をつかみ、その後に薄く戻すと、ちょうどよい量を見つけやすくなります。
フランジャー:金属的なうねりや通り抜けるような響き
フランジャーは、ごく短く遅らせた音と原音を重ね、その時間差を変化させることで特徴的なうねりを作ります。強くかけると、ジェット機が通過するような印象や金属的な響きになります。控えめな設定では、コーラスに近い厚みとして感じられることもあります。
試奏では、短く切る音だけでなく、和音を長く伸ばして一周期の変化を待ちます。周期とは、同じ揺れが一巡する間隔です。設定によっては変化がゆっくりなので、短い演奏だけでは効果の特徴が見えません。強い設定を覚えたうえで、伴奏の邪魔をしない程度へ戻す使い方もできます。
フェイザー:音色がなめらかに移り変わるうねり
フェイザーは、位相という音の波の進み具合を変えた音を原音と混ぜ、特定の高さの成分が強め合ったり弱め合ったりする動きを作ります。聴感としては、なめらかなうねりや「シュワッ」とした変化が目印になります。
フランジャーと似て聴こえる場面もありますが、仕組みが同一ではありません。どちらが正解かを名前で決めず、単音、和音、短く切る伴奏で聴き比べましょう。フェイザーを歪みの前へ置くと、歪みの後ろへ置いた場合とは質感が変わるため、順番も表現の一部になります。
トレモロとビブラート:音量の揺れか、音程の揺れか
エフェクターのトレモロは、音量を周期的に大きくしたり小さくしたりします。一方、ビブラートは音の高さを揺らす効果です。「音が大きく小さく波打つ」のか、「高さがゆらゆらする」のかに分けると、同じ揺れでも選ぶ道具が変わります。
ギターの部品名にはトレモロアームという呼び方もありますが、この部品は一般に弦の張り具合を変えて音程を動かします。部品の名称とエフェクターの効果名を、そのまま一対一で対応させないようにしましょう。また、演奏技法としてのトレモロという言葉もあるため、機材を探すときは「トレモロ・エフェクター」と伝えると確実です。
モジュレーションを足して音が落ち着かなくなったら、速さだけでなく深さも下げてみます。揺れが主役の曲もあれば、気づかないほど薄い揺れが合う曲もあります。曲を止めずに弾いたとき、歌やリズムの聴きやすさが保たれるかを判断基準にしてください。
ほかの種類も知っておこう|音量・音色・音程を整える道具

コンプレッサーとブースターは役割が違う
コンプレッサーは、大きな音を抑えて強弱の幅を調整する道具です。そのうえで出力音量を補う設定にすると、小さな音や音の伸びが聴き取りやすくなります。短く切るカッティングや、一音ずつ弾くフレーズの粒をそろえたい場面で候補になります。
強くかければ演奏がすべて均一になるわけではありません。弾き始めの強さや音を止めるタイミングは残りますし、設定によっては強弱の表情が薄くなり、雑音も目立ちます。最初は「少し弾きやすくなる」程度を探し、効果なしの演奏とも比べましょう。
ブースターは、主に次の機器へ送る信号の大きさを持ち上げます。ただし、すでに強く歪んでいる機器の前へ置くと、音量より歪みが増える場合があります。ソロだけ音量を上げたいなら、どこに接続するかも含めて検討します。足で連続的に音量を変えるボリュームペダルは、また別の操作目的を持つ道具です。
イコライザーとワウ:強調する音域を選ぶ
イコライザーはEQとも表記され、低音・中音・高音などの帯域を個別に増減させます。「低音が膨らみすぎる」「中音が足りず、バンドで埋もれる」といった問題を調整する候補です。すべてを上げる前に、目立ちすぎる帯域を少し下げて聴く方法も試してください。
ワウは、強調する帯域を足の動きなどで変え、「ワウワウ」としゃべるような変化を作ります。オートワウは、演奏の強さや設定された動きに応じて自動で変化させる機能を持つものです。音域を一定に整えたいならEQ、音色を動かしてリズムや表情を付けたいならワウ、と考えると選び分けやすくなります。
オクターバー・ピッチシフター・ハーモナイザー
オクターバーは、もとの音に対して1オクターブ下や上の音などを作る道具です。1オクターブは、あるドから次の高いドまでのような音の隔たりです。ピッチシフターは、より広く音程を変える機能を指し、ハーモナイザーは主旋律に対してハモりの音を作る用途で使われます。
音程系を選ぶときは、単音向けか、複数の音を同時に弾く和音にも対応するかを確認しましょう。入力した音をどれだけ正しく追いかけるかを「トラッキング」と呼びます。低い音や素早いフレーズで自然に追従するか、不要な弦の音を止めたときに安定するかを試します。
曲の調に合わせてハモりを作る機種では、キーの設定も必要です。キーとは、曲がどの音を中心にまとまっているかという調のこと。どの音にも同じ幅で上下の音を重ねる処理と、曲の調に合わせて音を選ぶ処理は異なるため、「ハモり機能あり」だけで決めないようにします。
ノイズゲート・チューナー・ルーパー
ノイズゲートは、小さな信号を一定の条件で抑え、主に弾いていない間の雑音を減らす道具です。設定を強くしすぎると、伸ばした音の最後まで切れてしまう場合があります。壊れかけたケーブルや合わない電源が原因なら、まず原因側を確認することが大切です。
チューナーは、弦の音程を合わせるための機器です。ルーパーは、短い演奏を録音して繰り返し再生する機器で、伴奏の上にメロディーを練習できます。ディレイにも反復はありますが、練習用の伴奏を録音して再生する操作が目的なら、録音開始・停止を扱いやすいルーパーが候補になります。
初心者向けの選び方|最初の1台を決める5つの手順

1.好きな曲の「どの瞬間の音か」を決める
曲全体を再現しようとするより、「イントロの揺れる和音」「サビのザラッとした伴奏」「ソロの後ろに返ってくる音」のように、一場面を選びます。時間位置をメモし、どんな変化が聴こえるかを自分の言葉で書き出してみましょう。「音を太くしたい」だけより、相談や試奏の目的が具体的になります。
録音では、別々に弾いたギターを重ねて厚みを出している場合もあります。演奏を重ねた効果を、1台のペダルだけで完全に再現できるとは限りません。機材名の特定にこだわりすぎず、「今の演奏へどの要素を足すか」を目標にすると進めやすくなります。
2.手持ちのアンプや機材で足りている機能を確認する
アンプに歪みやリバーブがあり、その音が気に入っているなら、同じ機能を重ねて買う必要はありません。アンプ内蔵の効果を一つずつ切り替えてみるだけでも、種類を学べます。録音ソフトがあるなら、付属エフェクトでディレイとコーラスの違いを試す方法もあります。
自宅ではヘッドホン、練習スタジオではギターアンプというように、音を出す先が違うと印象も変わります。普通の歪みペダルは、ヘッドホンを直接挿して練習するための機器とは限りません。自宅練習が目的なら、ヘッドホン出力の有無と、ギターアンプやスピーカーの響きを再現する機能が必要かを先に確認します。
3.欲しい変化を一つ選ぶ
- 澄んだ音から軽くザラつかせたい:オーバードライブを試す。
- 伴奏に強い歪みを作りたい:ディストーションを試す。
- 反復や余韻を足したい:ディレイとリバーブを聴き分ける。
- クリーンの和音を広げたい:コーラスを試す。
- うねりをフレーズの個性にしたい:フェイザーやフランジャーを試す。
- まだ何が欲しいかわからない:内蔵エフェクトやマルチエフェクターで各種類を一つずつ試す。
マルチエフェクターは、複数種類の効果を1台にまとめた機器です。幅広く試せる利点がある一方、機種によっては画面の切り替えや設定の保存を覚える必要があります。一つの効果をつまみで直感的に触りたいならコンパクト型、複数の音をまとめて呼び出したいならマルチ型、という操作上の違いも判断材料です。
4.購入前に音量をそろえて、いつもの演奏で比較する
試奏するフレーズは難しくなくて構いません。いつも弾く和音、単音を伸ばすフレーズ、短く切る伴奏の3つがあると、効果の長所と扱いにくさを確かめられます。お店では、可能なら普段に近いギターやアンプの設定で比較し、同じフレーズをオンとオフで弾いてみてください。
試奏のメモには「音が好き」だけでなく、「弱く弾くと澄む」「速いフレーズでは反復が多い」「つまみを少し動かすと変化が大きい」といった具体的な感想を残します。あとで動画を見る際も、その観点で聴けば比較がぶれにくくなります。紹介動画の設定値は、その機材と演奏環境での一例です。
5.本体以外の接続・電源・操作まで確認する
コンパクト型をギターとアンプの間へ入れるなら、入力側と出力側に楽器用ケーブルが必要です。複数台をつなぐときの短い接続ケーブルはパッチケーブルと呼ばれます。電池に対応するか、電源アダプターが付属するかも機種で異なります。本体だけで予算を使い切らず、必要な付属品まで含めて比較しましょう。
電源は、指定された電圧、交流・直流の種類、プラスとマイナスの向き、必要な電流を説明書で確認します。端子が挿さるだけで互換性があるとは限りません。複数台へ電気を配るパワーサプライを使う場合も、各出力の条件と機器の指定を照らし合わせます。詳しいボードの組み方を考える前に、まず1台を正しくつないで音を出せることを目標にしてください。
最初に買う順の早見表|優先度・価格帯・本体以外に必要なもの
結論として、そろえる順番はチューナー → 歪み系1台 → 空間系1台です。歪み系は音のキャラクターを最も大きく変え、空間系は同じ演奏の印象を広げます。モジュレーション系や音程系は、特定の曲で必要になってから足せば足ります。
下の表は、前掲の7系統を「最初に買うかどうか」で並べ替えたものです。価格は新品コンパクト単体の一般的な実売レンジの目安(2026年9月6日時点)で、機種・中古・セール・為替で変わります。購入前にメーカー公式サイトと販売店の商品ページで、現在価格と仕様を確認してください。
| 優先度 | 系統・機器 | これで解決すること | 新品実売レンジの目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | チューナー(ペダル型・クリップ型) | 音程を合わせる。効果より先に必要 | 1,500〜12,000円台 |
| 2 | 歪み系(オーバードライブ/ディストーション) | 音の質感を変える。曲の印象への影響が最大 | 7,000〜20,000円台 |
| 3 | 空間系(ディレイ/リバーブ) | 余韻・反復を足し、同じ演奏を広く聴かせる | 10,000〜30,000円台 |
| 4 | モジュレーション系(コーラスなど) | 揺れや厚みを足す。特定の曲で必要になる | 10,000〜25,000円台 |
| 5 | 音量・強弱系(コンプレッサー、ブースター) | 粒をそろえる、ソロで音量を持ち上げる | 8,000〜25,000円台 |
| 6 | 音色・帯域系(イコライザー、ワウ) | こもりを整理する、ペダルで音色を動かす | 8,000〜30,000円台 |
| 7 | 音程系(オクターバー、ピッチシフター) | 音程を重ねる・変える。用途が限定的 | 12,000〜35,000円台 |
本体以外に必要なもの|1台目の総額を計算する
コンパクト1台を使うには、本体のほかに楽器用ケーブル2本と9Vの電源が必要です。ギターからエフェクターのINPUTへ、エフェクターのOUTPUTからアンプのINPUTへと2本使うため、ケーブルが1本しかない場合は買い足しになります。
| 必要なもの | 用途 | 目安価格 | 1台目で必要か |
|---|---|---|---|
| 楽器用ケーブル(シールド)2本 | ギター↔エフェクター↔アンプの接続 | 1本1,000〜4,000円台 | 必要 |
| 9V ACアダプター | 電池を使わない給電。電池非対応の機種もある | 2,000〜5,000円台 | ほぼ必要 |
| 9V電池(006P型) | アダプターがないときの給電 | 300〜900円台 | 代替手段 |
| パッチケーブル | エフェクター同士をつなぐ短いケーブル | 2本入り1,500〜4,000円台 | 2台目から |
| パワーサプライ | 複数台へまとめて給電する | 5,000〜25,000円台 | 3台目以降 |
| エフェクターボード・ケース | 並べて固定し、持ち運ぶ | 4,000〜30,000円台 | 持ち運ぶなら |
つまり必要最低限の構成は、歪み系1台+楽器用ケーブル2本+9V電源です。本体7,000円台の機種を選んでも、ケーブルと電源を含めれば合計1万円台前半になります。本体価格だけで予算を決めると、届いた日に音を出せない状態になりやすい点に注意してください。電源は電圧・極性(センターマイナスが一般的)・必要電流を説明書で確認し、端子が挿さることを互換性の根拠にしないでください。
定番メーカーの傾向|どのブランドから見ればよいか
最初の基準にしやすいのは、国内の流通量が多く中古も探しやすいBOSSです。型番と効果の対応が整理されており、同じ系統の他社製品と音を比べるときの出発点として使いやすいからです。
そのほか、歪み系ではIbanez、MXR、Electro-Harmonix、空間系ではTC ElectronicやStrymon、マルチではBOSS、ZOOM、LINE 6などが定番として名前が挙がります。ブランドで音が決まるわけではないので、先に系統を決め、同じ系統の中で比べるのが手順として確実です。実売5,000円前後の低価格ブランドもありますが、電源の仕様表記や必要電流が公開されているかを確認してから選んでください。
3つの系統を試す具体例|BOSSのコンパクトペダル
ここでは、歪み・空間系・モジュレーションの違いを試す具体例として、BOSSの3機種を挙げます。順位や人気の比較ではなく、求める効果に合うかを判断するための例です。製品機能はメーカー公式情報で確認していますが、以下の向き不向きはその機能を踏まえた選び方の提案であり、実機を試奏したレビューではありません。
BD-2 Blues Driver:弾く強さによる歪みの変化を試す
BD-2は、GAIN・TONE・LEVELの3つのつまみで調整するオーバードライブです。入力音量やピッキング、つまり弦を弾く強さへの反応を特徴としており、軽い歪みから強めのドライブまでを試す候補になります。
利点は、つまみの役割を覚えながら歪みの基礎を学びやすいことです。一方、ディレイやコーラスは備えておらず、1台で揺れや残響まで作る目的には向きません。欲しい歪みの質感になるかは、手持ちのアンプとの組み合わせで確認します。
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DD-8 Digital Delay:反復音の間隔とキャラクターを比べる
DD-8は、11種類のモードを備えるデジタルディレイです。通常の反復から個性的な音までを探せるほか、録音を重ねるルーパー機能もあります。まず一つの標準的なディレイ音を選び、TIME・FEEDBACK・E.LEVELの変化を順に聴くと役割を理解しやすくなります。
利点は、1台で複数のディレイの方向性を比較できることです。一方、モードごとの動作や、ペダルで時間を指定する操作を確認する必要があり、最初から全機能を使おうとすると迷いやすくなります。反復の種類より単純な操作を優先したい人は、必要な機能を絞って比較してください。
BOSS DD-8 Digital Delay デジタルディレイ
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CH-1 SUPER Chorus:揺れの速さ・深さ・混ざり具合を調整する
CH-1は、RATE・DEPTHに加え、効果音の音質を調整するEQ、音量を調整するE.LEVELを備えたコーラスです。原音を残しながら、揺れた音をどの程度重ねるかを試す候補になります。
利点は、揺れの強さと効果音の大きさを分けて調整できることです。一方、コーラス専用なので、音量が波打つトレモロや反復音を作るディレイの代わりにはなりません。2系統の出力による広がりを使うには対応した接続先が必要なため、アンプ1台ならその環境の音を基準に選びましょう。
BOSS CH-1 SUPER Chorus コーラス
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接続順の基本|順番も音作りの一部
複数のエフェクターをつないだとき、後ろの機器には、前の機器で加工された音が入ります。これが接続順によって音が変わる理由です。最初の比較用には、ギター → 歪み → コーラスなどのモジュレーション → ディレイ → リバーブ → アンプという流れから始めると、各効果を整理しやすくなります。

これは必ず守る規則ではありません。たとえばディレイを歪みの前へ置くと、反復音もまとめて歪みます。くっきりした反復が欲しいときには扱いにくくても、全体が混ざるような音を狙うときには表現として使えます。順番を変える際は音量を下げ、一度に一組だけ入れ替えて比較しましょう。
アンプ自体を歪ませるときはエフェクトループも確認する
アンプの歪みを使う場合、アンプの入力前へつないだディレイやリバーブも、アンプ内部で歪みの影響を受けます。エフェクトループは、アンプ内部の音作り部分などの後ろへ外部機器を入れるための接続で、SENDから外へ送り、RETURNへ戻す端子を使います。対応するアンプでは、残響を歪みの後ろへ置く選択肢になります。
ただし、ループの仕様や扱う信号の大きさはアンプごとに異なります。ペダル側と組み合わせ可能かを説明書で確認してください。チューナー、音程系、一部のファズ、ワウなどの配置にも機種固有の条件があります。まずは使う機器を少なくして基本の音を確認し、目的ができてから組み合わせを増やしましょう。
複数台を実際に並べる段階になったら、板への固定・電源のまとめ方・ケースの選び方をエフェクターボードの組み方で解説しています。アンプのRETURN端子へ直接つなぐ設定はJC-120リターン接続のやり方を参照してください。
よくある疑問|音が出ない・効果が強すぎるときの確認
ギターの定番エフェクターは?
定番はオーバードライブ、ディストーション、ディレイ、リバーブ、コーラス、コンプレッサーの6種です。上位2つが歪み系で、バンドの曲づくりでは最も出番が多い系統になります。
機種名では、BOSSのOD-3・DS-1・DD-8・CH-1、IbanezのTS系などが流通量が多く、店頭や中古で試しやすい候補です。定番とは「誰にでも最適」ではなく「比較の基準にしやすい」という意味なので、欲しい変化と照らして選んでください。
エフェクターはどれがいいですか?
「歪ませたい・響かせたい・揺らしたい」のどれか1つを先に決めてください。系統が決まれば候補は数機種に絞れ、あとは手持ちのアンプで音量をそろえて比べるだけになります。
それでも決まらない場合は、系統をまたいで試せるマルチで一通り確認し、よく使った効果をコンパクトで買い直す方法もあります。最初から3台以上そろえると、音が変わらない原因を切り分けられなくなるため、1台ずつ増やすほうが確実です。
コスパ最強のエフェクターは?
1台あたりの効果数で見れば、複数の系統を1台に収めたマルチエフェクターが最も割安です。実売1万〜3万円台で、歪み・空間系・モジュレーションとチューナーまで入る機種があります。
ただし安いほど得とは限りません。効果を1つしか使わないのにマルチを買えば操作項目が余り、逆にコンパクトを4台そろえるとケーブルと電源で本体以外に1万円以上かかります。使う効果の数で損益が入れ替わるので、必要な系統を決めてから比べてください。機種別の価格比較はギター用マルチエフェクターおすすめ10選にまとめています。
エフェクターは初心者にも必要?
必須ではありません。ギターとアンプだけで練習を始められますし、アンプ内蔵機能で音を変えられる場合もあります。ただ、好きな曲の特徴を試せると練習の楽しみが増えることがあります。必要かどうかは経験年数ではなく、今の音で困っていることや、試したい表現があるかで判断してください。
ベースやエレアコにギター用を使ってもよい?
使える組み合わせもありますが、入力条件や出力先への適合を確認したうえで、低音の残り方や音量の変化を比べます。ギター用の歪みでは、ベースの低音が物足りなく感じる場合があります。エレアコは音を電気信号として取り出せるアコースティックギターのことですが、響きを自然に残したいなら、その目的に合う機種を選びます。
マイクは端子の形や必要な電源が異なる場合があるため、歌へ使いたいときも楽器用ペダルをそのまま挿せるとは限りません。楽器名だけで判断せず、入力・出力の仕様を確認することが共通の基本です。
つないだら音が出なくなった
まずアンプの音量を下げ、ギターをアンプへ直接つないで音を確かめます。直接なら鳴る場合は、電源、INPUTとOUTPUTの向き、ケーブル、LEVELなどの出力設定を順に確認します。複数台あるなら1台ずつ追加し、どこで変化するかを切り分けてください。
電池を使う機種では、入力端子へケーブルを挿すことが電源スイッチの代わりになる場合があります。ランプだけで十分な電源供給を判断せず、説明書の動作条件を確認しましょう。ケーブルの抜き差しは再生音量を下げてから行うと、急な音を避けやすくなります。
効果を足したら、かえって下手に聴こえる
ディレイの反復が次の音へ重なったり、強い歪みが不要な弦の音まで目立たせたりすると、弾きにくく感じることがあります。いったん効果をオフにし、もとの演奏を確認してから、歪み量・効果音量・反復回数を控えめに戻します。消したい弦に触れて音を止めるミュートも、音作りの一部です。
最初からすべてを強くかけるより、効果を一つだけ使って短いフレーズを録音してみましょう。弾いているときと録音を聴くときでは気づく点が変わります。「余韻が長すぎた」「和音は少し薄い歪みのほうが聴きやすい」など、次の調整が具体的になります。
まとめ|欲しい変化を一つ選び、手持ちの音と比べよう
エフェクターの種類は、まず歪み系・空間系・モジュレーション系の違いから押さえると整理しやすくなります。歪み系は音の質感、ディレイとリバーブは反復や残響、モジュレーション系は揺れやうねりを加えます。そのほかに、強弱を整えるコンプレッサー、音域を調整するEQ、音程を変える機器などがあります。
最初の1台は、人気や台数からではなく「好きな曲のどの瞬間に近づけたいか」で選んでみてください。手持ちのアンプの機能を確認し、足りない効果を一つ決め、音量をそろえて試す。この順番なら、必要な道具と、今は買わなくてもよい道具を分けやすくなります。
次の練習では、和音・単音の伸ばし・短く切る伴奏をそれぞれ弾き、オンとオフを比べてみましょう。欲しい変化を言葉にできれば、エフェクター選びは機材名を覚える作業から、あなたの音を作る楽しみに変わります。


