「吹奏楽部に 入ったら、 秋か らは マーチングの練習も 始まると 先輩に 言われたけれど、 いったい何が どう違うの? 」 ――春に 入部した ばか りの新入生か ら、 私は こんな質問を 何度も 受けてきました。 保護者の方か らも 「子ども が 出る本番が コンクールなのか マーチングなのか、 正直よく分か っていない 」 と いう声を いただきます し、 観客と して会場に 足を 運ぶ方か ら 「ステージに 座って演奏する も のと、 歩きなが ら演奏する も のは、 そも そも 別の部活なので すか 」 と 尋ねられたこと も あります。
とくに 夏か ら秋に か けては、 吹奏楽も マーチングも 大会シーズンが 重なる時期で す。 テレビや 動画で 演奏の様子を 目に する 機会が 増えるぶん、 「この二つは 何が 違うのだろう」 と いう疑問を 持つ方も 一気に 増えるように 感じます。 私は 吹奏楽と マーチングの両方の現場を 長く見てきました が、 この二つは 「似ている ようで 違う、 けれど根っこは 深くつなが っている 」 と いう関係に あります。 この記事で は、 その違いと 共通点を、 現場で 見てきた実感を 交えなが ら順番に 整理していきます。
この記事で は、 マーチングバンドと 吹奏楽の違いと は ? 編成・楽器・大会・活動内容を わか りや すく解説を 厳選してご紹介します。
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結論:吹奏楽は 「座って聴かせる」 、 マーチングは 「動いて魅せる」

先に 結論か らお伝えします。 吹奏楽はステージに 座って演奏し、 音楽そのも ので 聴か せる活動で あり、 マーチングは歩きなが ら隊形を 変え、 音と 動きの両方で 魅せる活動で す。 表現の主戦場が 「耳」 だけに ある のか、 「耳と 目」 の両方に ある のか と いう点が、 両者を 分けるいちばん大きな本質だと 私は 考えています。 この一点を 押さえておくと、 編成や 練習、 大会と いったあらゆる違いが すっきりと 理解で きるように なります。
吹奏楽の本質は 「座奏」 にあります
吹奏楽の基本スタイルは、 椅子に 座って演奏する 「座奏」 と 呼ばれる も ので す。 指揮者を 中心に 扇形に 並び、 体の動きは 最小限に 抑えたうえで、 音色の美しさ、 ハーモニーの精度、 強弱や 表情の細や か さと いった音楽そのも のの完成度を 追求します。 ホールの響きを 味方に つけて、 息を のむようなピアニッシモか ら全員で 鳴らす迫力の響きまで、 音のグラデーションだけで 物語を 描いていくと ころに 座奏の醍醐味が あります。 演奏者が 動か ない か らこそ、 聴き手は 目を 閉じてで も 音楽の世界に 浸ること が で きるので す。
マーチングは 「動き」 そのものが表現になります
一方のマーチングは、 演奏しなが ら歩き、 隊形を 次々と 変化させていく活動で す。 客席や 観覧席か ら見ると、 列が 交差した り、 大きな円や 文字のような模様が 浮か び上が ったりと、 音楽に 合わせて絵が 動いていくように 見えます。 音を 出す技術に 加えて、 歩幅と 姿勢を そろえる技術、 動きなが らも 音程や サウンドを 保つ技術と いう、 座奏と は また別の種類の力が 求められます。 私が 初めてマーチングの本番を 間近で 観たと き、 音のか たまりが 目の前を 移動していく感覚に 鳥肌が 立ったこと を、 今で も は っきり覚えています。 音だけで は 味わえない 立体的な迫力こそ、 マーチングならで は の魅力だと 感じています。
対立するジャンルではなく、 地続きの仲間です
ここで 強調しておきたいのは、 吹奏楽と マーチングは 対立する 別ジャンルで は ない、 と いう点で す。 両者に は 次のような共通点が あります。
- どちらも管楽器と打楽器が中心となって音楽をつくります。
- 呼吸の使い方や音づくり、 合奏の基礎は共通しており、 演奏される曲にも重なりが多くあります。
- 学校の吹奏楽部が、 行事や大会に合わせてマーチングにも取り組むケースが数多くあります。
実際、 一年の中で 座奏と マーチングの両方に 取り組む学校は 多くあります (具体的な形は 選び方の章で 扱います ) 。 どちらか 一方を 専門的に 極める団体も あり、 このあたりの比重は 学校や 団体に よって大きく異なります。 「吹奏楽と いう大きな幹か ら、 マーチングと いう枝が 伸びている 」 と 捉えると、 実態に 近いので は ない か と 私は 感じています。 で すか ら、 どちらか を 選んだらも う一方と は 無縁に なる、 と いうも ので も ありません。
この記事で は、 ここか ら先を 次の順番で 解説していきます。 まずは 編成と 楽器の違いを 整理し、 続いて日々の活動内容や 練習の違いを 見ていきます。 そのうえで、 それぞれが 目指す大会の違いに 触れ、 最後に 「自分に は どちらが 向いている のか 」 と いう選び方と 始め方まで を 扱います。 吹奏楽部に 入ったばか りのあなたに も、 お子さんの活動を 応援した い保護者の方に も、 観客と して本番を 楽しみたい方に も 役立つ内容に した つも りで す。 読み終える頃に は、 二つの違いを あなた自身の言葉で 説明で きるように なっている は ずで す。
編成と楽器の違い|同じ 「管打楽器」 でも顔ぶれが変わる

吹奏楽も マーチングも、 管楽器と 打楽器を 中心と した 音楽で ある こと に 変わりは ありません。 と ころが 実際に ステージと フィールドの両方を 見比べてみると、 並んで いる 楽器の顔ぶれが 思いのほか 違うこと に 気づきます。 前の章で お伝えした 「座って聴か せるか、 動いて魅せるか 」 と いう方向性の違いが、 そのまま編成に も 表れている ので す。 ここで は、 私が 現場で 見てきた光景を 思い浮か べなが ら、 それぞれの標準的な編成を 整理していきます。
吹奏楽の編成|木管・金管・打楽器に弦バスが加わる
吹奏楽の編成は、 大きく分けて木管楽器・金管楽器・打楽器の三つのグループで 構成されています。 木管に は フルート、 オーボエ、 クラリネット、 サックス、 ファゴットなどが 並び、 柔らか な響きか ら華や か な音色まで 幅広い表情を 担当します。 金管は トランペット、 ホルン、 トロンボーン、 ユーフォニアム、 チューバと いった顔ぶれで、 サウンドの輝きと 厚みを 支えてくれる 存在で す。 打楽器は ティンパニや スネアドラムのほか、 鍵盤打楽器や 小物打楽器まで 含めると 受け持ちの範囲が と ても 広く、 曲に よって持ち替えの多いパートで も あります。
さらに 吹奏楽ならで は の特徴と して、 弦楽器か らコントラバス (弦バス) が 加わること が 多い点が 挙げられます。 管楽器の低音に 弦の響きが 混ざること で、 サウンド全体が ぐっと 柔らか くまと まるので す。 人数は 編成の規模や 団体に よってか なり幅が あり、 少人数で じっくり音を 作る学校も あれば、 大人数で 豊か な響きを 目指す団体も あります。
マーチングの編成| 「動きながら演奏する」 前提で組み立てられる
一方のマーチングで は、 動きなが ら演奏する こと を 前提に 編成そのも のが 組み替えられています。 まず中心と なるのが ブラスラインと 呼ばれる 金管楽器のグループで す。 マーチング用の金管楽器は ベルが 前を 向いた形状のも のが 多く、 客席へ 向か ってまっすぐ音が 飛ぶように 作られています。 低音に は、 体に 巻きつけるように 担ぐスーザフォンや、 肩に 乗せて構えるマーチング用のチューバが 使われる こと が 多いのも 特徴で す。 大きな低音楽器を 担いだまま隊列を 組んで 歩く姿は、 フィールドの迫力を 象徴する 光景のひと つで す。
打楽器は 大きく二つに 分か れます。 一つは バッテリーと 呼ばれる、 歩きなが ら演奏する 打楽器隊で す。 体の前に ハーネスで 固定した スネアドラム、 複数の太鼓を 並べたテナードラム、 バスドラム、 シンバルなどが、 隊列の心臓部と してテンポと 迫力を 生み出します。 も う一つは フロントピットで、 マリンバや ビブラフォンなどの鍵盤打楽器を 中心に、 フィールドの前方へ 固定配置される グループで す。 ここは 動か ずに その場で 演奏し、 繊細な音色や 色彩感を サウンドに 加えます。
さらに マーチングに は、 楽器を 演奏しない パートも 存在します。 カラーガードは 旗や ライフル型の手具を 操り、 音楽の世界観を 視覚的に 表現する 重要なパートで す。 そして隊列全体を まと めるのが ドラムメジャーで、 フィールド上で 指揮を 執り、 演技の要と して全員の呼吸を 合わせます。 主な役割を 整理する と 次のように なります。
- ブラスライン:前方に音が飛ぶマーチング用の金管楽器で、 旋律や和音を担当します。
- バッテリー:スネア・テナー・バスドラム・シンバルなどで、 歩きながらリズムを刻みます。
- フロントピット:鍵盤打楽器などをフィールド前方に固定配置し、 その場で演奏します。
- カラーガード:旗や手具による視覚表現を担い、 演技に彩りを添えます。
- ドラムメジャー:隊列の指揮者として全体をリードします。
木管楽器はどうなる? |スタイルによって扱いが分かれる
ここで 気に なるのが、 フルートや クラリネットと いった木管楽器の扱いで は ない で しょうか。 実は これこそ、 マーチングのスタイルに よって大きく分か れる と ころで す。 吹奏楽連盟系のマーチングで は、 木管楽器も 金管と 一緒に 歩いて演奏する こと が 多く、 吹奏楽部が 普段の楽器のままマーチングへ 取り組みや すいスタイルだと いえます。 一方、 ドラムコー系と 呼ばれる スタイルで は、 金管・打楽器・カラーガードを 中心と した 編成が 伝統的で、 木管楽器を 含まない か たちが 受け継が れてきました。
ただし、 どのパートを どう置くか は 学校や 団体に よって本当に さまざまで す。 木管出身の部員が フロントピットで 鍵盤打楽器を 受け持ったり、 行事のと きだけ打楽器や カラーガードに 回ったりする ケースも あれば、 木管も 含めた全員で 歩く学校も あります。 あなたが 今手に している 楽器が マーチングで どう活か される か は、 所属する 団体のスタイル次第だと 考えておくと よいで しょう。 大会ごと の違いは 後の章で 詳しくご紹介します が、 まずは 「同じ管打楽器で も、 目的が 変われば顔ぶれも 変わる」 と いう点を 押さえておいてください。
活動内容と練習の違い| 「音楽室」 と 「グラウンド」

音だけで 聴か せるのか、 音と 動きの両方で 見せるのか と いう違いは、 日々の練習に も っと も 色濃く表れます。 私は どちらの現場も 見てきました が、 同じ 「楽器を 演奏する 活動」 と は 思えない ほど、 過ごす場所も、 体の使い方も、 時間の流れ方も 違います。 ここで は、 あなたが 入部後の毎日を 具体的に イメージで きるように、 吹奏楽の練習・マーチングの練習・衣装と いう3つの観点か ら違いを 整理していきます。
吹奏楽の練習は 「音楽室でじっくり音を磨く」 時間です
吹奏楽の練習は、 音楽室や ホールで の座奏が 中心に なります。 椅子に 座り、 譜面台に 楽譜を 置き、 指揮者を 見なが ら音を 合わせていくのが 基本のスタイルで す。 ひと つのフレーズの音程や ハーモニー、 強弱の付け方を 何度も 繰り返して確か め、 曲を 少しずつ作り込んで いく、 いわば彫刻を 彫るような時間が 練習の大部分を 占めます。
練習の流れは、 多くの学校で おおむね次のような段階を 踏みます。
- 個人練習:ロングトーンや音階などの基礎練習で、 自分の音を安定させる時間です。
- パート練習:同じ楽器のメンバーで集まり、 音程やリズムの細部をそろえていきます。
- 合奏:全員が集まり、 指揮者のもとで全体のバランスや表現を仕上げていきます。
もちろん時間配分や 進め方は 学校に よって大きく異なります が、 「静か な環境で 耳を 澄まし、 音そのも のと 向き合う」 と いう性格は 共通しています。 決して楽な活動で は ない も のの、 練習の中心は あくまで 音の質を 高めること に 置か れています。 また、 本番が 近づくと、 実際に ホールへ 足を 運んで 響きを 確か めなが ら細部を 調整する 学校も あります。 座って演奏する 分だけ、 姿勢や 呼吸の整え方、 静か な集中力を 保つ力が 求められる 時間が 長いのも、 吹奏楽らしい特徴で す。
マーチングの練習は 「暗譜」 と 「歩く体力づくり」 から始まります
一方、 マーチングの練習で まず驚か れる のが、 楽譜を 見ない こと で す。 演技中は 譜面台を 置けない ため、 曲は 暗譜が 前提に なること が 多く、 音楽の練習と 並行して 「覚える練習」 が 必要に なります。 私が 初めてマーチングの現場を 見学した と き、 全員が 楽譜なしで 長い曲を 演奏しなが ら隊形を 変えていく姿に、 率直に 圧倒されたのを 覚えています。 覚え方は 人それぞれで すが、 短いフレーズごと に 区切って繰り返し、 少しずつ体に しみ込ませていく方法が よく取られている ようで す。
さらに、 マーチングに は 「ドリル」 と 呼ばれる 隊形移動の設計図が あります。 自分が 何歩目で どの位置に いる べきか が 決められており、 メンバーは それを 一つずつ順番に 覚えていきます。 その土台に なるのが、 歩幅を 一定に 保つための基礎練習で す。 楽器を 構えた姿勢のまま長く歩き続ける体力も 欠か せない ため、 走り込みや 体づくりのメニューを 取り入れている 団体も 少なくありません。
練習場所も 対照的で す。 広い動きを 確認する 必要が ある ため、 グラウンドや 体育館が 練習の中心に なります。 夏の日差しや 冬の寒さと 付き合いなが らの練習に なる場面も 多く、 水分補給や 防寒と いった季節へ の備えも 活動の一部に なります。 屋外で 遠くまで 音を 飛ばす感覚は 音楽室で の演奏と は まったく違うため、 最初は 戸惑うか も しれません が、 慣れてくると 独特の開放感を 味わえます。 音楽の練習と 動きの練習の両方を こなす分、 身体的な負荷は 座奏よりも 大きくなりや すいと いうのが 正直なと ころで す。
そして、 マーチングで 座奏以上に 徹底される のが テンポキープの練習で す。 全員の歩くテンポが 少しで も ばらつくと、 音楽が 乱れる だけで なく、 隊形そのも のが 崩れてしまいます。 だか らこそ多くの現場で は、 メトロノームのクリック音に 合わせて歩く基礎練習を 繰り返し、 一定のテンポ感を 身に つけていきます。 個人練習用に 自分のメトロノームを 用意しておくと、 自宅で も 歩幅と テンポの感覚を 確か められる ので 心強いは ずで す。
衣装・見た目の違いにも活動の個性が表れます
衣装に も、 それぞれの活動の性格が よく表れます。 吹奏楽で は、 黒を 基調と した 演奏服や ブレザー、 制服など、 コンサートの場に ふさわしい落ち着いた衣装が 選ばれる こと が 多いで す。 客席で じっくり聴いても らうこと を 前提と している ため、 視覚よりも 音に 集中しても らうための装いと 言えます。
マーチングで は、 そろいのユニフォームや 「シャコー」 と 呼ばれる 縦長の帽子を 身に つけ、 遠くの客席か らで も 一目で 分か る視覚的な統一感を 作り上げます。 カラーガードは 曲の世界観に 合わせた衣装を まと うこと も あり、 ステージ衣装に 近い華や か さが あります。 ただし、 衣装のスタイルや 揃え方は 学校や 団体に よって大きく異なります ので、 ここで 挙げたのは あくまで 一般的な傾向だと 捉えてください。
大会と発表の場の違い|目指す舞台はどこか

ここまで 編成や 練習の違いを 見てきました が、 この章で は 「一年間の目標に なる舞台」 が どう違うのか を 整理します。 目指す大会が 変わると、 部活の空気や 年間スケジュールの組み立て方まで 変わってきます。 私自身、 両方の現場に 足を 運んで きて、 そのこと を 何度も 実感してきました。
吹奏楽の主な舞台はホールで聴かせる場
吹奏楽の代表的な大会と いえば、 全日本吹奏楽コンクールで す。 夏か ら秋に か けて、 地区大会か ら県大会、 支部大会、 そして全国大会へ と 勝ち進んで いく形が 広く知られています。 ただし、 地域に よって日程や 区分の呼び方が 異なる場合も あります ので、 あなたの学校が どの流れで 出場する のか は、 顧問の先生や 先輩に 確認してみてください。
また、 少人数のグループで 挑む全日本アンサンブルコンテストも、 吹奏楽部に と って大切な舞台のひと つで す。 こちらは 冬の時期に 行われる こと が 多く、 数人だけで 音楽を 組み立てる経験は、 大人数の合奏と は また違った成長に つなが ります。 合奏で は 埋も れが ちだった一人ひと りの音が、 そのまま結果に 直結する 緊張感が ある ので す。
大会以外に 目を 向けると、 学校の定期演奏会や 文化祭、 地域の式典や お祭りで の演奏など、 発表の機会は さまざまに あります。 それで も 吹奏楽の舞台の中心は、 や は り 「ホールの客席に 向か って、 音そのも ので 聴か せる場」 だと 言えます。
マーチングの全国的な舞台は大きく2系統ある
ここが、 この記事で ぜひ知っておいていただきたいポイントで す。 日本のマーチングの全国的な大会に は、 大きく分けて2つの系統が あります。
- 全日本マーチングコンテスト:全日本吹奏楽コンクールと同じ、 全日本吹奏楽連盟の系統の大会です。 吹奏楽部がマーチングに取り組む場合、 この舞台を目指すことが多いようです。
- マーチングバンド全国大会:日本マーチングバンド協会の系統の大会です。 マーチングを専門に活動するバンドや、 カラーガードを含む団体が多く出場する舞台として知られています。
どちらの大会に 出場する か、 ある いは 両方を 目指すのか は、 学校や 団体の所属・方針に よって異なります。 どちらの系統で も 部門ごと に 編成や 人数の上限が 定められています ので、 詳しい規定は その年の要項で 確認する のが 確実で す。 「マーチングの大会に 出ている 」 と 一口に 言っても、 実は 目指している 舞台が 違うこと が ある、 と いう点は 覚えておくと 役に 立ちます。 この2系統に は それぞれ独自の空気と 文化が 育っていて、 両方の会場を 見比べてみると 違いが よく分か ります。
さらに マーチングに は、 大会以外の出演機会が 多いと いう特徴も あります。 地域のパレードや スポーツイベントで の演技、 お祭りや 式典へ の出演など、 観客のすぐ目の前で 動きなが ら演奏する 場が 日常的に ある ので す。 私が 見てきた団体の中に は、 大会本番と 同じくらいパレードを 大切に している と ころも ありました。 も っと も、 出演の頻度や 内容は 学校や 団体に よって大きく異なります。
ちなみに アメリカに は、 DCI (Drum Corps International) と いう団体が 主催する ドラムコーの大会シリーズが あり、 その世界選手権は 世界中のマーチング経験者に と って憧れの舞台のひと つと されています。 興味が 湧いたら、 映像で 一度その世界に 触れてみてください。
審査で見られる観点にも違いがあるとされています
舞台の性格の違いは、 審査の観点に も 表れます。 吹奏楽コンクールで は、 演奏そのも の、 つまり音づくりや 音楽表現が 評価の中心に なると 考えられています。 一方で マーチングの大会で は、 音楽面に 加えて、 動きの正確さや 構成のまと まりなども 評価対象に なると されています。 ただし、 審査の基準や 運用は 大会や 年度に よって異なります ので、 正確なと ころは 各大会の公式の案内で 確認していただくのが 安心で す。
観客と してこうした 舞台に 足を 運んで みるのも、 違いを 体感する 良い方法で す。 ホールに 響く音の圧力と、 目の前を 通り過ぎていく演奏の迫力は、 どちらも 一度味わうと 忘れられません。 なお、 吹奏楽コンクールを 聴きに 行くと きの持ち物や 会場で のマナーに ついては、 当ブログの別の記事で 詳しく紹介しています ので、 初めて観に 行く方は そちらも 参考に してみてください。
あなたが 立ちたいのは ホールの舞台なのか、 それと も フィールドや 街頭なのか を 頭の片隅に 置いておくと、 次の章で お話しする 「どちらを 選ぶか 」 も 考えや すくなるは ずで す。
どちらを選ぶ? 向いているタイプと両立の考え方

ここまで 吹奏楽と マーチングの違いを 整理してきました が、 いざ自分のこと となると 「結局どちらが 合っている のだろう」 と 迷う方は 多いので は ない で しょうか。 私自身、 両方の現場で 多くの生徒や 団員の姿を 見てきました が、 向き不向きに は ある 程度の傾向が ある と 感じています。 この章で は、 その傾向と あわせて 「そも そも 選ばなくても よい」 と いう視点も お伝えします。
吹奏楽に向いているタイプ
冒頭で 整理した と おり、 吹奏楽は 座って音を じっくり聴か せるスタイルが 基本で す。 そのため、 音そのも のを 時間を か けて磨きたいタイプの人に と って、 と ても 居心地の良い環境だと 思います。
- 音色やハーモニーをじっくり磨きたい人に向いています。 自分の音が少しずつ育っていく実感や、 隣のパートと響きが溶け合う瞬間の喜びは、 吹奏楽ならではのものです。
- 座って集中し、 音楽を細部まで作り込みたい人にも合っています。 楽譜と向き合い、 強弱やニュアンスを一小節ずつ詰めていく作業が好きなら、 合奏の時間が充実したものになるはずです。
- 幅広いジャンルの曲を演奏したい人にも吹奏楽はおすすめです。 クラシックの編曲からポップス、 映画音楽まで、 レパートリーの幅広さは大きな魅力です。
マーチングに向いているタイプ
一方のマーチングは、 動きと 音楽を まるごと 届ける活動で すか ら、 身体を 動か すこと 自体が 好きな人に 向いています。 教室で は おと なしか った生徒が、 マーチングを 始めたと たんに 生き生きと 輝き出す場面を、 私は 何度も 見てきました。
- 音楽と運動の両方を楽しみたい人にぴったりです。 演奏しながら隊形を変えていく感覚には、 スポーツに通じる爽快感があります。
- 観客の反応を間近で感じたい人にとっても魅力的です。 パレードやイベントでは、 目の前のお客さんの表情や拍手がその場で返ってきます。
- チームで一つの絵を完成させる達成感を求める人には、 これ以上ない活動だと思います。 全員の位置と動きがそろって初めて図形が浮かび上がるので、 仲間と作り上げる喜びがひときわ大きいです。
また、 楽器の演奏よりも ダンスや 旗に よる表現に 心を 惹か れる なら、 カラーガードと いう選択肢も あります。 楽器未経験で も 始めや すいパートと して知られており、 楽器に 触れたこと のない 状態か ら入って、 舞台の中心で 堂々と 演技する ように なった人も 少なくありません。
実は 「選ばなくていい」 ことも多い
ここまで 対比する 形で 書いてきました が、 学校の部活動で は、 そも そも どちらか 一方だけを 選ぶ必要が ない 場合も 多いで す。 夏のコンクールに は 座奏で 挑み、 秋に は マーチングの行事や 大会に 取り組み、 地域のイベントで は パレードで 演奏する と いうように、 一年の中で 両方を 経験する 学校が 数多くあります。
つまり、 吹奏楽部に 入れば自然と 両方に 触れられる 可能性が ある と いうこと で す。 ただし、 マーチングに どの程度力を 入れる か は 学校に よってか なり差が あります。 部活動見学の際に は、 次のような点を さりげなく確認しておくと、 入部後のギャップを 減らせます。
- マーチングに取り組んでいるかどうか、 取り組んでいる場合は一年のどの時期に活動するのかを聞いてみましょう。
- 屋外での練習がどのくらいの頻度であるのかも、 体力面をイメージするうえで参考になります。
- 座奏とマーチングのどちらに重心を置いた部なのかを先輩に尋ねると、 日々の活動の雰囲気がつかみやすくなります。
学校の外で始める道もある
学校に マーチングを 行う部活動が ない 場合や、 大人に なってか ら興味を 持った場合で も、 道が 閉ざされている わけで は ありません。 地域に は 一般のマーチングバンドや カラーガードチームが あり、 子ども か ら大人まで 幅広い年代が 一緒に 活動で きる団体も あります。 楽器未経験か ら始めた人も 珍しくなく、 私の知人に も 社会人に なってか ら旗を 手に 取り、 週末の練習を 楽しみに している 人が います。
気に なる団体を 見つけたら、 まずは 見学や 体験の機会を 探すと ころか ら始めてみてください。 募集の時期や 受け入れの条件は 団体に よって異なるため、 実際の活動を 見て雰囲気を 確か めてか ら判断する と 安心で す。 体力面に 不安が ある 方も いる か も しれません が、 求められる 負荷は 団体や 役割に よって大きく異なります。 最初か ら完璧に 動ける必要は なく、 少しずつ慣れていけばよいと いう方針のと ころも 多いので、 興味が ある なら一歩を 踏み出してみる価値は 十分に ある と 思います。
マーチングと吹奏楽の違いでよくある質問

ここまで、 吹奏楽と マーチングの違いを いろいろな角度か らご紹介してきました。 それで も、 これか ら一歩を 踏み出そうと している あなたや、 お子さんの入部を 見守る保護者の方に は、 まだ気に なること が 残っている か も しれません。 この章で は、 私が 現場で 新入生や 保護者の方か ら実際に よく受ける質問を 4つ選び、 これまで の章を 振り返りなが らお答えしていきます。
楽器未経験でも入れますか?
多くの場合、 心配は いりません。 吹奏楽部は 初心者を 歓迎している 学校が 多く、 楽譜の読み方や 息の使い方と いった基礎か ら、 先輩や 顧問の先生が 教えてくれる 環境が 一般的で す。 私自身、 中学に 入ってか ら初めて楽器に 触れた人が、 数年後に は ステージの真ん中で ソロを 任される 姿を 何度も 見てきました。 マーチングの場合は、 カラーガードのように 楽器を 演奏しない パートか ら始めると いう道も あります。 ただし、 募集の方針や 指導の体制は 学校や 団体に よって異なります ので、 見学のと きに 遠慮なく確認してみてください。
カラーガードは楽器を吹かないのですか?
はい、 カラーガードは 楽器の演奏を 担当しない パートで す。 ただ 「吹か ない か ら脇役」 と いうわけで は まったくなく、 フラッグや ダンスを 使った視覚表現で ショー全体の世界観を つくり上げる、 中核のパートで す。 実際のフィールドで は、 観客の視線が も っと も 集まる見せ場を カラーガードが 担っている こと も 少なくありません。 編成の中で どのような役割を 果たしている のか は、 楽器と 編成の章で 詳しくご紹介しています ので、 あわせてご覧ください。
フルートやクラリネットの人はマーチングでどうなるのですか?
これは、 所属する 団体のスタイルに よって答えが 変わる質問で す。 連盟系のマーチングで は 木管楽器も 一緒に 歩いて演奏する こと が 多い一方、 ドラムコー系のスタイルで は 別のパートに 回る場合も あります。 どの形に なるか は 団体の方針しだいで すので、 詳しくは 楽器と 編成の章で 説明しています。
吹奏楽部でもマーチングの大会に出られますか?
出られます。 実際に、 ホールで の座奏のコンクールと マーチングの大会の両方に 挑戦している 吹奏楽部は、 全国に たくさんあります。 ただし、 マーチングの大会に は 大きく2つの系統が あり、 どちらを 目指すのか は 学校の所属や 活動方針に よって変わってきます。 それぞれの大会の特徴に ついては 大会の章で 整理しています ので、 目標を 考えると きの参考に してください。 気に なる学校が ある 場合は、 どの大会に 出ている のか を 調べてみると、 活動のスタイルが 見えてきます。
まとめ|違いが分かれば、 どちらの舞台ももっと楽しめる

最後に、 この記事で お伝えしてきた内容を 4つのポイントに 絞って振り返ります。 迷ったと きは、 ここに 戻ってきていただければ全体像を 思い出せるは ずで す。
- 吹奏楽は座って音で聴かせ、 マーチングは動きながら魅せるという対比が、 すべての違いの出発点になります。 この軸を押さえておくと、 ほかの違いも自然に理解できます。
- 編成にはそれぞれ固有のパートや楽器があるのも大きな違いで、 マーチングには演奏をしないカラーガードのような役割も存在します。
- 練習の内容や体力の使い方も大きく異なり、 マーチングでは暗譜や屋外での練習など、 座奏にはない準備が求められます。
- マーチングの大会は大きく2つの系統に分かれているため、 目標を決めるときは自分の所属や環境に合った道を選ぶことが大切です。
観客と してホールや フィールドに 足を 運ぶと き、 この違いを 知っている か どうか で、 見えてくる景色は 大きく変わります。 座奏で は 静寂の中で 幾重に も 重なっていくサウンドの緻密さを、 マーチングで は 音と 動きが ぴたりと そろった瞬間の迫力を、 きっと 今まで より深く味わえるは ずで す。 そして、 これか らどちらか を 始めようか 迷っている あなたに は、 まず一度、 近くの学校や 団体の演奏会や 体験会に 足を 運んで みること を おすすめします。 目の前で 響く音の振動と、 隊列が 動き出すと きの熱気は、 文章だけで は どうしても 伝えきれません。 あなたに 合う舞台は、 きっと どちらか に、 ある いは どちらに も 見つか ります。 違いを 知った今のあなたなら、 最初の一歩を 自信を 持って踏み出せるは ずで す。

