DTMにモニターヘッドホンは必要?イヤホン代用の限界とおすすめ8選【実売価格つき】

DTM・制作

DTMを始めると、たいてい一度はここで止まります。「モニターヘッドホンって、本当に買わないといけないのか」。手持ちのイヤホンやゲーミングヘッドセットで代用できるなら、その2万円はプラグインやソフト音源に回したい。当然の考え方だと思います。

先に結論を書きます。作った曲を人に聴かせるつもりがあるなら必要です。自分だけで楽しむ範囲で、まだ打ち込みの操作を覚えている段階なら急ぐ必要はありません。そしてマイクで録音をするなら、音質とはまったく別の理由で例外なく必要になります。

この記事では、なぜそうなるのかを先に説明します。そのうえで「買う」と決めた方に向けて、8モデルを実売価格つきで比較します。価格はAmazonから毎日自動で取得しているので、いま開いた時点の実勢がそのまま表示されます。「1.5〜2万円台」といった目安ではなく、実際の数字で予算を組めます。

なお筆者は録音のチェックにSONY MDR-CD900STを使っています。定番機の実際の使い勝手も途中で書きました。

  1. 結論:モニターヘッドホンが「いらない人」と「必要な人」
    1. 録音をするなら、音質とは別の理由で必要になる
  2. イヤホンで代用すると何が起きるのか
    1. ① 低音の量を判断できない
    2. ② 左右の広がりが誇張される
    3. ③ 長時間の作業で耳の基準がずれる
    4. それでもイヤホンを使うべき場面がある
  3. 普段使いのヘッドホンとは何が違うのか
  4. スタジオ定番のMDR-CD900STで見る、モニターヘッドホンの実像
    1. 長く使えるように作られている
    2. 使ってみて戸惑うところ
    3. 向く人・向かない人
  5. 買うと決めた人へ:DTM用モニターヘッドホンおすすめ8選
    1. 1. audio-technica ATH-M20x|予算を抑えて始めるならまずこれ
    2. 2. SONY MDR-CD900ST|録音するなら最有力の定番
    3. 3. YAMAHA HPH-MT8|フラットさ重視でミックスを詰める
    4. 4. beyerdynamic DT 770 PRO|遮音性が高く、長時間でも疲れにくい
    5. 5. SONY MDR-M1|現代的な密閉型で録音とミックスを兼ねる
    6. 6. SONY MDR-MV1|開放型で空間と定位を確認する
    7. 7. Sennheiser HD 490 PRO|制作とミックスを使い分ける開放型
    8. 8. beyerdynamic DT 1990 PRO MK II|マスタリング確認まで見据える
  6. 予算別の結論
    1. 1万円前後:まず基準を1つ持つ
    2. 2〜3万円台:録音まで見据える
    3. 4万円以上:判断の精度を上げる
  7. 密閉型と開放型はどう使い分けるのか
    1. 録音は密閉型で確定
    2. ミックスは開放型が有利。ただし必須ではない
  8. 買う前に確認する5つのポイント
    1. ① インピーダンス
    2. ② 重量と側圧
    3. ③ ケーブルが着脱できるか
    4. ④ 交換部品が手に入るか
    5. ⑤ プラグの種類
  9. よく比較される定番モデル
  10. よくある質問
    1. DTMで作曲するときモニターヘッドホンは必要ですか?
    2. DTMをやるならイヤホンとヘッドホンのどちらがいいですか?
    3. モニターヘッドホンは普段使いできますか?
    4. コスパ最強のモニターヘッドホンはどれですか?
    5. モニターヘッドホンと普通のヘッドホンは何が違うのですか?
    6. 開放型は音漏れするのに、何のためにあるのですか?
  11. まとめ:迷ったらこの順番で決める

結論:モニターヘッドホンが「いらない人」と「必要な人」

まず自分がどちらかを判断してください。すべての人に必要な機材ではありません。

あなたの状況 判断 理由
DAWの操作を覚えている最中 いらない 覚えることが多い時期に音質の判断まで抱えなくていい
打ち込みの練習が目的で、人に聴かせる予定がない いらない 自分が楽しめていれば目的を達している
既存のプリセットやAIミックスに任せている 後回しでいい 自分で判断する場面がまだ来ていない
配信・投稿・コンペ提出をする 必要 他人の再生環境で破綻していないか確認が要る
ボーカルや楽器をマイクで録る 例外なく必要 後述のとおり音質以前の問題がある
ミックスの音量バランスを自分で決める 必要 基準のない環境で決めた音量は他の環境で崩れる
バンドや部活のデモ音源を作る 必要 複数人が聴く前提の音になる

録音をするなら、音質とは別の理由で必要になる

スピーカーや開放型ヘッドホンから音を出しながらマイクで録ると、その音がマイクに回り込みます。歌と一緒に伴奏がうっすら録音され、あとから消すことはできません。

密閉型のヘッドホンで聴きながら録るのは、音の好みの話ではなくやり直しがきかない事故を防ぐための手順です。ここだけは代用がききません。宅録でボーカルを一発録りして「なんとなく音が濁る」という場合、原因がこれであることは珍しくありません。

イヤホンで代用すると何が起きるのか

「聴こえるんだから問題ないのでは」と思うかもしれません。実際、音は聴こえます。問題は聴こえ方が実際とずれることで、そのずれた基準で音量を決めてしまう点にあります。

① 低音の量を判断できない

カナル型のイヤホンは耳の中で密閉されるため、低域が実際より多く聴こえます。その状態でベースやキックの音量を決めると、スピーカーやカーステレオで再生したときに低音が足りない曲になります。

逆に低域の出ないイヤホンで作れば、今度は低音が過剰な曲になります。どちらに転ぶかはイヤホン次第で、そもそも基準がないことが問題です。

② 左右の広がりが誇張される

イヤホンは左右の音が完全に分離するため、パンを振ったときの広がりが実際より大きく聴こえます。ヘッドホンにも同じ傾向はありますが、イヤホンのほうが極端に出ます。

「広げたつもりだったのに、スピーカーで聴いたら真ん中に固まっていた」というズレはここから生まれます。

③ 長時間の作業で耳の基準がずれる

これは機材の性能ではなく人間側の話です。カナル型で音量を上げたまま数時間作業すると、耳が高域に慣れて感度が落ちます。その状態で「高音が足りない」と感じて足すと、翌日聴いたときに耳に刺さる曲になっています。

装着が軽く、耳を塞ぎきらないヘッドホンのほうが、この現象は起きにくくなります。

それでもイヤホンを使うべき場面がある

イヤホンが無意味なわけではありません。完成したミックスを「実際に聴かれる環境」で確認する用途では、むしろイヤホンやスマホのスピーカーで聴くべきです。多くのリスナーはその環境で聴くからです。

使い分けの問題で、制作の基準にするかどうかが分かれ目になります。基準はモニターヘッドホン、最終確認はイヤホンとスマホ。この順番が現実的です。

普段使いのヘッドホンとは何が違うのか

モニターヘッドホンと普通のヘッドホンの違い

リスニング用のヘッドホンは「気持ちよく聴かせる」ことを目的にチューニングされています。低域と高域を持ち上げて音を前に出す。メーカーの個性が最も出る部分です。

モニターヘッドホンはその逆で、粗が見えることを目的にしています。ノイズ、リップノイズ、ピッチのズレ、リバーブのかけすぎ。聴いていて楽しいかどうかは設計目標に入っていません。

比較項目 モニター用 リスニング用
設計の目的 粗が見えること 気持ちよく聴けること
音の傾向 誇張が少ない 低域と高域を持ち上げる
装着感 遮音と定位を優先 快適さを優先
イヤーパッドの交換 交換部品が売られている前提 用意されていないことが多い
ノイズキャンセリング 基本的に非搭載 搭載が主流
選ぶ基準 用途に合うか 好みの音か

ノイズキャンセリングが載っていないのは手抜きではありません。ノイズキャンセリングは逆位相の音を足して騒音を打ち消す仕組みなので、再生している音そのものを加工してしまいます。判断の基準にする機材としては都合が悪いのです。

スタジオ定番のMDR-CD900STで見る、モニターヘッドホンの実像

言葉で説明するより、実物を1本見たほうが早いと思います。編集部で録音のチェックに使っているSONY MDR-CD900STを例にします。1989年に登場し、いまも日本の商業スタジオで事実上の標準になっているモデルです。

長く使えるように作られている

このヘッドホンはすべての部品が単品で買えて、自分で交換できます。イヤーパッド、ケーブル、内側のスポンジ、さらにドライバーユニットまで補修部品として流通しています。断線しても買い直しではなく修理で戻せる。10年単位で使う前提の設計です。

もうひとつの利点は基準を共有できることです。スタジオに持ち込んだとき、エンジニアと同じヘッドホンで同じ音を確認できます。自宅で詰めた音がスタジオでどう聴こえるかの答え合わせが早く終わります。音質そのものより、この一致のほうが効いてくる場面があります。

そして細部が隠れません。ノイズ、リップノイズ、演奏のミス。聴きたくないものまで聴こえるのがこのヘッドホンの仕事です。

使ってみて戸惑うところ

正直に書きます。買ってすぐ気持ちよく鳴る機種ではありません。

プラグが6.3mm固定です。ケーブルは直出しで、先端は標準ステレオプラグ。パソコンやスマホの3.5mmミニ端子に挿すには変換プラグが要ります。オーディオインターフェースを使うなら、そのまま挿さります。

イヤーパッドが薄く、側圧があります。数時間つけていると耳が痛くなります。交換用の低反発パッドに替えて使っている人が多いのはこのためです。

音楽鑑賞用として買うと期待外れになります。低音の量感で楽しませる方向には振っていません。「作業のための道具」と割り切れるかどうかが分かれ目です。

向く人・向かない人

向くのは、録音をする人、いずれスタジオやバンドと音を共有する人、1本を長く使いたい人です。向かないのは、普段使いも兼ねたい人、長時間つけっぱなしにする人、低音の量感が欲しい人です。

このあたりの割り切りは、どのモニターヘッドホンにも程度の差で当てはまります。次の8モデルは、その割り切りの度合いが違うと考えてください。

買うと決めた人へ:DTM用モニターヘッドホンおすすめ8選

下の表は、価格を含めた一覧です。価格はAmazonから毎日自動取得している実売価格で、目安ではありません。評価は◎とても向く/○向く/△条件付き/×不向きです。

モデル 価格 タイプ インピーダンス 重量 ケーブル着脱 録音 ミックス 長時間作業 初心者の最初の1台度 注意点
audio-technica ATH-M20x ¥8,249 密閉型 47Ω 約190g 固定式 本格的なミックス確認には限界
SONY MDR-CD900ST ¥21,930 密閉型 63Ω 約200g 固定式 イヤーパッドが薄め。長時間は休憩を
beyerdynamic DT 770 PRO ¥29,259 密閉型 32/80/250Ω 約270g 固定式 初心者は32/80Ω推奨。250Ωはアンプ前提
SONY MDR-M1 ¥37,399 密閉型 50Ω 約216g 着脱式 価格はやや高め
YAMAHA HPH-MT8 ¥26,000 密閉型 37Ω 約350g 着脱式 やや重い。制作が進んだ人向け
SONY MDR-MV1 ¥42,677 開放型 24Ω 約223g 着脱式 × 音漏れが大きく録音には不向き
Sennheiser HD 490 PRO ¥63,706 開放型 130Ω 約260g 着脱式 × 価格高め。ステップアップ向け
beyerdynamic DT 1990 PRO MK II ¥109,450 開放型 30Ω 約376g 着脱式 × × 重量があり上級者・比較候補向け

価格は Amazon.co.jp 調べ ・ 2026年8月28日 11:00時点です。価格および在庫状況は変更される場合があります。


以下、8モデルを1つずつ見ていきます。並びは価格帯の低い順です。

1. audio-technica ATH-M20x|予算を抑えて始めるならまずこれ

低価格帯ながら、DTMの基礎用途には十分に対応する密閉型です。インピーダンス47Ωなのでオーディオインターフェースに直挿ししても音量が取りやすく、最初の1台として扱いやすいモデルです。

「まだ買うか迷っている」段階の人にとっては、この価格帯があることが答えになります。イヤホンで代用し続けて基準を持たないままでいるより、1万円前後で基準を1つ手に入れたほうが先に進めます。

向いている人:とにかく予算を抑えたい/これからDTMを始める/オーディオインターフェース直挿しで使いたい/サブのモニターとして1本足したい
向いていない人:高解像度のミックス確認をしたい/着脱式ケーブルが必要/低音の量感を重視したい

密閉型/47Ω/約190g/固定式ケーブル 録音○・ミックス△・長時間作業○・初心者の最初の1台◎

audio-technica ATH-M20x

2. SONY MDR-CD900ST|録音するなら最有力の定番

日本の録音現場で最も見かけるモデルです。中域が前に出て細部が確認しやすく、ボーカルや楽器を録るときの粗探しに向いています。前述のとおり全部品が交換できるので、長期の相棒になります。

注意点は6.3mmプラグと薄めのイヤーパッド。オーディオインターフェースがあること、休憩を挟みながら使うことが前提になります。

向いている人:ボーカルや楽器を録音する/スタジオと基準を合わせたい/長く使いたい/定番から入りたい
向いていない人:普段使いも兼ねたい/長時間つけっぱなしにする/変換プラグを増やしたくない

密閉型/63Ω/約200g/固定式ケーブル(6.3mmプラグ) 録音◎・ミックス○・長時間作業△・初心者の最初の1台○

SONY MDR-CD900ST

3. YAMAHA HPH-MT8|フラットさ重視でミックスを詰める

密閉型でありながらミックス確認に強いモデルです。音量バランスの判断がしやすく、録音もこなせるので1本で兼用したい人の候補になります。

ただし約350gと重量があります。制作がある程度進んで「バランスの判断を精度良くやりたい」段階になってから効いてくるモデルで、最初の1台としては重さがハードルになります。

向いている人:ミックスの精度を上げたい/密閉型で兼用したい/フラットな鳴りを求める
向いていない人:軽さを優先したい/これからDTMを始める/予算を抑えたい

密閉型/37Ω/約350g/着脱式ケーブル 録音○・ミックス◎・長時間作業○・初心者の最初の1台△

YAMAHA HPH-MT8

4. beyerdynamic DT 770 PRO|遮音性が高く、長時間でも疲れにくい

遮音性とベロア系イヤーパッドの快適さを両立した密閉型です。長時間の作業で最も評価が高くなるモデルのひとつで、録音とミックスの両方に対応します。

購入時に必ず確認してほしいのがインピーダンスの選択です。32Ω・80Ω・250Ωの3種類があり、250Ωはヘッドホンアンプ前提です。パソコンや小型のオーディオインターフェースに直挿しすると音量が足りません。初めてなら32Ωか80Ωを選んでください。

向いている人:長時間作業する/遮音性を重視する/録音とミックスを両方こなしたい
向いていない人:インピーダンスの選択を間違えたくない(型番の確認が必要)/軽量機を探している

密閉型/32・80・250Ωから選択/約270g/固定式ケーブル 録音◎・ミックス○・長時間作業◎・初心者の最初の1台○

beyerdynamic DT 770 PRO

5. SONY MDR-M1|現代的な密閉型で録音とミックスを兼ねる

CD900STより後の世代の設計で、高遮音性と広帯域再生を両立した密閉型です。自宅録音から編集、ミックス確認まで一本でこなしたい人に向きます。着脱式ケーブルなので断線時の扱いも楽です。

CD900STと迷う場合、「スタジオと基準を合わせたい」ならCD900ST、「1本で完結させて装着感も取りたい」ならMDR-M1、という分け方になります。

向いている人:現代的な密閉型を選びたい/録音とミックスを1本で兼ねたい/着脱式ケーブルがいい/装着感も重視する
向いていない人:最安を狙っている/開放型の広い音場が目的

密閉型/50Ω/約216g/着脱式ケーブル 録音◎・ミックス○・長時間作業◎・初心者の最初の1台○

SONY MDR-M1

6. SONY MDR-MV1|開放型で空間と定位を確認する

空間表現と定位の確認に向いた開放型です。リバーブの深さやパンの位置を判断しやすく、ミックスの後半で効いてきます。

録音には使えません。開放型は構造上そのまま音が漏れるので、マイクに回り込みます。密閉型を1本持っている人が「2本目」として足すモデルです。

向いている人:ミックスで定位を詰めたい/すでに密閉型を持っている/立体音響を扱う
向いていない人:これが1本目になる/録音をする/周囲に音が漏れる環境で使う

開放型/24Ω/約223g/着脱式ケーブル 録音×・ミックス◎・長時間作業○・初心者の最初の1台△

SONY MDR-MV1

7. Sennheiser HD 490 PRO|制作とミックスを使い分ける開放型

2種類のイヤーパッドが付属し、制作向けとミックス向けで鳴り方を切り替えられる開放型です。長時間のミックス作業を前提に設計されていて、疲れにくさも高く評価されています。

インピーダンスが130Ωと高めなので、オーディオインターフェースのヘッドホン出力の余力を確認してから選んでください。音量が取れないと本来の性能が出ません。

向いている人:長時間ミックスをする/制作と確認で音を切り替えたい/ステップアップしたい
向いていない人:録音をする/予算を抑えたい/ヘッドホン出力が弱い機材を使っている

開放型/130Ω/約260g/着脱式ケーブル 録音×・ミックス◎・長時間作業◎・初心者の最初の1台△

Sennheiser HD 490 PRO

8. beyerdynamic DT 1990 PRO MK II|マスタリング確認まで見据える

解像度と音場を重視したハイエンドの開放型です。細部の判断が必要なミックス後半からマスタリング確認までを想定したモデルで、比較候補の最上位にあたります。

約376gと重いので、長時間の連続作業には向きません。また最初の1台として選ぶ機材ではありません。ここまで来た人が「判断の精度をもう一段上げたい」ときの選択肢です。

向いている人:ミックス後半からマスタリング確認まで詰める/すでに密閉型と開放型を使い分けている
向いていない人:最初の1台を探している/録音をする/軽さを重視する

開放型/30Ω/約376g/着脱式ケーブル 録音×・ミックス◎・長時間作業△・初心者の最初の1台×

beyerdynamic DT 1990 PRO MK II

予算別の結論

上の表と見比べながら読んでください。価格は日々変わるので、実際の数字は表のほうを基準にしてください。

1万円前後:まず基準を1つ持つ

ATH-M20xの一択でいいと思います。この価格帯で迷って時間を使うより、買って基準を作ってしまったほうが早く進みます。あとで上位機に買い替えても、この1本はサブや持ち出し用として残ります。

2〜3万円台:録音まで見据える

録音をするならMDR-CD900ST、長時間作業が多いならDT 770 PRO、ミックスの精度を優先するならHPH-MT8です。この価格帯が最も選択肢が多く、用途を決めてから選ぶと迷いません。

「オーディオインターフェースを持っているか」も判断材料になります。持っていなければCD900STの6.3mmプラグは不便です。

4万円以上:判断の精度を上げる

すでに密閉型を持っていて、ミックスの判断をもう一段細かくしたい段階です。MDR-M1は密閉型のまま精度を上げる方向、MDR-MV1とHD 490 PROは開放型で空間を確認する方向。DT 1990 PRO MK IIはその先です。

ここで気をつけたいのは、この価格帯の機材を1本目に選んでも、期待した効果は出にくいことです。判断の精度が上がるのは「何を聴き分けたいか」がはっきりしてからで、それは作業量の中でしか育ちません。

密閉型と開放型はどう使い分けるのか

DTM初心者向け密閉型と開放型ヘッドホンの違い
種類 向いている用途 メリット 注意点
密閉型 録音・打ち込み・夜間の作業 音漏れが少ない/遮音性が高い/周囲を気にしなくていい 長時間で蒸れる/音場は狭め
開放型 ミックス・定位や空間の確認 音場が広い/自然な鳴り/疲れにくい そのまま音が漏れる/録音には使えない/静かな環境が要る

録音は密閉型で確定

理由は前述のとおりです。マイクへの回り込みを防げるのは密閉型だけです。ここに選択の余地はありません。

ミックスは開放型が有利。ただし必須ではない

開放型は音場が広く、リバーブの深さやパンの位置を判断しやすくなります。ただし密閉型でミックスができないわけではありません。実際、密閉型1本で完結させている人はたくさんいます。

最初の1台は密閉型を選んでください。録音に使えて、夜も使えて、周囲を気にしなくていい。制約が少ないほうが先です。開放型は2本目として、必要になってから足すのが順番として正しいと思います。

録音用とミックス用モニターヘッドホンの使い分け

買う前に確認する5つのポイント

DTMヘッドホン選びの5つのポイント

① インピーダンス

数字が大きいほど、鳴らすのに力が要ります。250Ωや130Ωといった高インピーダンス機は、パソコン直挿しや小型のオーディオインターフェースでは音量が足りません。DT 770 PROのように同じ型番で複数のインピーダンスがある機種は、購入時に必ず確認してください。初めてなら32〜80Ω程度が安全です。

② 重量と側圧

DTMは1回の作業が長くなります。300gを超えると重さを感じ始め、側圧が強い機種は耳が痛くなります。スペック表で軽く見える差が、3時間後には大きな差になります。

③ ケーブルが着脱できるか

ヘッドホンが壊れる原因で最も多いのがケーブルの断線です。着脱式ならケーブル交換だけで直ります。固定式でも、CD900STのように補修部品が流通していれば修理はできます。着脱式か、補修部品があるか。どちらかは満たしているモデルを選んでください。

④ 交換部品が手に入るか

イヤーパッドは消耗品です。1〜2年でボロボロになります。交換用が売られていないモデルは、そこで寿命になります。定番機が定番であり続けるのは、この部分の供給が続いているからです。

⑤ プラグの種類

3.5mmミニプラグか、6.3mm標準プラグか。オーディオインターフェースは6.3mmが多く、パソコンやスマホは3.5mmです。変換プラグは数百円ですが、接触不良の原因が1つ増えます。手持ちの機材の端子を先に確認してください。

よく比較される定番モデル

下の4モデルは検索でよく並べられる組み合わせです。MDR-7506とATH-M40x/M50xは併売が続いている定番で、CD900STと比較検討されることが多いモデルです。

モデル タイプ 価格帯目安 DTMで向く用途 強み 注意点
SONY MDR-CD900ST 密閉型 2万円前後 録音・編集・音の粗探し 日本の録音現場の定番。細かい粗が見つけやすい ケーブルは固定式。低域確認は別機種で補うと安心
SONY MDR-7506 密閉型 1.5〜2万円台 録音・モニター全般 海外スタジオでも定番。汎用性が高い 仕様・価格は公式と販売店で最新を確認
audio-technica ATH-M40x 密閉型 1〜1.5万円台 入門〜ミックス練習 フラット寄り。着脱式ケーブルで折りたたみ可 迫力よりも素直な鳴り方を好む人向け
audio-technica ATH-M50x 密閉型 1.5〜2.5万円台 DTM・DJ・普段使い兼用 45mmドライバー。着脱式で持ち運びやすい 低域のキャラクターは好みが分かれる

よくある質問

DTMで作曲するときモニターヘッドホンは必要ですか?

打ち込みの練習中で、人に聴かせる予定がないなら急ぐ必要はありません。配信や投稿をする、マイクで録音する、ミックスの音量を自分で決める。このいずれかに当てはまるなら必要です。特に録音は音質ではなく「音がマイクに回り込む」という物理的な理由で密閉型が要ります。

DTMをやるならイヤホンとヘッドホンのどちらがいいですか?

制作の基準にするならヘッドホンです。イヤホンは低域の量と左右の広がりが誇張されるため、そこで決めた音量は他の環境で崩れます。ただし完成後の確認用としてはイヤホンも使ってください。多くのリスナーがその環境で聴くからです。

モニターヘッドホンは普段使いできますか?

できますが、楽しくはありません。低域と高域を持ち上げていないので、音楽鑑賞用と比べると地味に聴こえます。普段使いも兼ねたいなら、モニター用は作業専用と割り切って、リスニング用は別に持つほうが結果的に満足度が高くなります。

コスパ最強のモニターヘッドホンはどれですか?

「何をするか」で変わります。とにかく安く基準を1つ持つならATH-M20x、録音まで含めるならMDR-CD900ST、長時間作業まで含めるならDT 770 PROです。上の表の実売価格と、録音/ミックス/長時間作業の評価を見比べて決めてください。

モニターヘッドホンと普通のヘッドホンは何が違うのですか?

設計の目的が逆です。普通のヘッドホンは気持ちよく聴かせるために音を作ります。モニターヘッドホンは粗が見えるように作ります。ノイズやミスが隠れないことが価値になる機材です。

開放型は音漏れするのに、何のためにあるのですか?

音を閉じ込めないぶん、音場が広く自然に聴こえるからです。リバーブの深さやパンの位置を判断しやすく、長時間でも疲れにくい。録音には使えませんが、ミックスの後半では密閉型より有利になります。

まとめ:迷ったらこの順番で決める

1. そもそも必要かを判断する。録音する/人に聴かせるなら必要、練習中なら急がない
2. 密閉型から選ぶ。開放型は2本目
3. 手持ちの機材の端子とヘッドホン出力を確認する。インピーダンスとプラグの選択を間違えない
4. 予算を決めて表から選ぶ。1万円前後ならATH-M20x、録音するならMDR-CD900ST、長時間ならDT 770 PRO

機材を揃える順番としては、ヘッドホンの前にDAWとオーディオインターフェースが来ます。まだそこが決まっていない方は、DTM初心者向けの無料DAWソフト比較DTM用オーディオインターフェイスの選び方を先に読んでください。

ヘッドホンで基準ができたら、次はスピーカーです。モニタースピーカーおすすめ|DTM初心者の最初の1台でヘッドホンとの使い分けを書いています。ミックスの手順そのものに迷っている場合はDTMミキシング初心者の手順6ステップが入口になります。

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