アンサンブルコンテストの人数は何人まで?県で違う7項目

オーケストラ

アンサンブルコンテスト(アンコン)は、吹奏楽コンクールとはまったく別の競技だと考えたほうがうまくいきます。50人で1つの曲を作るのではなく、 3人から8人が、指揮者なしで、5分以内に演奏を完結させる。人数が少ないぶん、一人ひとりの判断がそのまま結果に出ます。

そして、ここが見落とされがちなのですが ——アンサンブルコンテストで最初につまずくのは、演奏ではなく「規定の読み違い」です。 人数、演奏時間、使える楽器、編曲の扱い、楽譜のコピー。どれも、本番の何か月も前に決着がついてしまう部分です。

アンサンブルコンテストの人数・演奏時間・編成 - 5人程度の少人数編成が、椅子を内向きの半円に並べて合わせ練習をしている場面。指揮者はいない。顔が写らないよう、後方やや上から撮った構図にする。

この記事は、9月に編成を決めるところから、12月下旬〜1月の本番までを順番に追いかけます。規定については、 全日本吹奏楽連盟が公開している実施規定の条文を根拠にして書きます。伝聞や「先輩がそう言っていた」は使いません。ネット上には、地域によって違う話を「アンサンブルコンテストのルール」として一律に書いた情報が多く出回っています。 どこまでが全国共通で、どこからが自分の県の話なのかを、この記事でははっきり分けて書きます。

この記事では、アンコン(アンサンブルコンテスト)の人数3〜8名・演奏時間5分という全国共通のルールと、申込前に県の要項で確認すべき7項目を、分けて整理します。

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結論:先にやることは3つだけ

9月にやるべきことを、先に書きます。

1. 自分の県(支部)の要項を手に入れる。
 全日本の実施規定と、県の要項は別物です。人数も部門も出場枠も違うことがあります。

2. 編成を先に決め、曲はそのあとで決める。
  「やりたい曲」から入ると、人数や5分の壁に当たってやり直しになります。

3. 楽譜の入手方法を、買う前に確認する。
 コピーの扱いと編曲の許諾は、あとから取り返しがつきません。

この3つを9月中に片づけておくと、10月以降は練習だけに集中できます。逆にここを後回しにすると、11月に「人数が規定オーバーだった」「編曲の許諾が要ると知らなかった」と分かって、本番までの時間を失います。

アンサンブルコンテストの基本|実施規定を条文で確認する

全日本吹奏楽連盟は、全日本アンサンブルコンテストの実施規定を公開しています。まず知っておいてほしいのは、 この規定は毎年出し直されるものではないということです。最終改定は令和3年5月6日で、それ以降は同じ文書が使われています。

机の上に広げられた実施規定のプリントと、その上に置かれた蛍光ペン。文字は判読できない程度にぼかす。「条文を読む」という行為そのものを示す。

これは実務上とても大事な点です。「今年度版がまだ出ていないから確認できない」と言われることがありますが、 実施規定は常設の文書なので、いつでも読めます。 年度ごとに変わるのは、日程・会場・申込方法などを書いた「要項」のほうです。

押さえておく条文

項目 全日本の実施規定での定め
人数 3名以上8名以内
演奏時間 5分以内。超過すると失格
指揮者 置けません
課題曲はなく、 任意の1曲
パート 同一パートに複数人を置くことはできません (第10条)。一人一パートです
コントラバス コントラバスだけで組む編成は認められません
リコーダー 使用できません
編曲 事前の許諾が必要です

「5分以内」の数え方に注意する

演奏時間の5分は、 超えたら失格という厳しい規定です。減点ではありません。ここで気をつけたいのが、練習室で測った時間と本番の時間が一致しないことです。

本番のホールでは、響きが長いぶんテンポが落ちやすく、緊張で間が伸びます。 練習では4分30秒前後に収めておくのが安全圏です。4分50秒で練習していると、本番で越える可能性が現実的に出てきます。

また、時間の計測がどこから始まりどこで終わるかは要項に書かれています。ここも県によって書き方が違うので、必ず自分の県の要項で確認してください。

「3〜8人」は全国大会の話。あなたの県は違うことがある

ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。

「全国共通のルール」と「都道府県ごとに変わるルール」を左右に分けて対比した図。左に全国大会の実施規定、右に県で変わる3項目を日本語で描き込む。県名は入れない。

インターネット上の記事の多くは「アンコンは3〜8人」と一律に書いています。 これは全日本アンサンブルコンテストの規定であって、すべての大会に当てはまるわけではありません。

実際に確認できた地域差

項目 全日本 地域によっては
部門数 4部門 東北・九州・福井は5部門 (小学生の部がある)
1校あたりの出場数 1グループ 東京都(高校)・埼玉県は2チーム
ピアノ 実施規定に明文の条項なし 東京都(高校)・埼玉県は使用不可と明記
人数 3〜8名 福井県は全日本予選以外の部門で2〜12名

とくにピアノは危険です。全日本の実施規定にはピアノを禁じる条文が見当たりませんが、東京都の高校の部と埼玉県では明確に使用不可とされています。 「全国の規定に書いていないから大丈夫」と考えて編成を組むと、県の要項で弾かれます。

だから、最初にやることは要項の入手

要項は、各都道府県吹奏楽連盟のウェブサイトで公開されます。学校あてに配布されることも多いので、まず顧問の先生に「今年の要項をください」と聞くのが早いです。

手に入れたら、次の5点に線を引いてください。 人数の上下限、演奏時間、使用できない楽器、1校あたりの出場枠、申込の締切日。 この5つで、編成の自由度がほぼ決まります。

よくある3つの誤解

誤解1:「持ち替えは禁止されている」

これは非常によく聞く話ですが、 全日本の実施規定に、持ち替えを禁止する条文はありません。

この誤解が生まれた原因は、第10条の読み違いだと考えられます。第10条が定めているのは「同一パートに複数人を置かない」ということ、つまり1つのパートを2人で担当してはいけないという意味です。「1人が2つの楽器を持ち替えてはいけない」とは書かれていません。

ただし——ここが大事なのですが ——県の要項で独自に制限している可能性は残ります。 持ち替えを前提にした編成を組むなら、要項を確認したうえで、不安があれば県連盟に問い合わせてください。「規定にないから大丈夫」で本番に臨むのは避けるべきです。

誤解2:「人数が多いほうが有利」

8人のほうが厚みが出て有利、という思い込みです。実際には、 3名編成で全国大会の金賞を取っているグループが存在します。 全日本吹奏楽連盟が公開している出場グループ一覧を見れば確認できます。

人数が増えると、音量と色彩は増えますが、同時に「合わせる難しさ」も増えます。指揮者がいない以上、8人が呼吸を合わせるのは3人より明確に難しい。 人数は、そのグループが5分間そろえられる範囲で決めるものであって、多いほど有利というものではありません。

誤解3:「県で金賞なら、全国でも金賞のはず」

県大会で金賞を取ったのに全国では銀賞だった、という結果は毎年起きます。実力が落ちたわけではなく、 評価の仕組みそのものが違うためです。

大会 評価の方式
全国大会 相対評価。 審査内規第3条により、金・銀・銅それぞれの数が理事会であらかじめ決められています
福井県大会(一例) 絶対評価。 100点満点で、80点以上が金賞

絶対評価なら、基準を超えたグループは全部が金賞になり得ます。相対評価では、どれだけ良い演奏でも枠から外れれば銀賞です。 これは演奏の質の問題ではなく、制度の問題です。 ここを知らないまま全国に行くと、必要のない自己否定をすることになります。

編成の決め方|人数別の向き不向き

編成を決めるときの考え方を、人数ごとに整理します。

カレンダーとメンバー表を突き合わせて練習日を決めている場面。机の上に紙のカレンダー、付箋、スマートフォンが並ぶ。手元のみ。
人数 特徴 注意点
3人 合わせやすい。練習日程も組みやすい。一人ひとりの表現が届く ミスが隠れません。1人休むと練習が成立しません
4〜5人 曲の選択肢がいちばん多い。和音が作れて、まだ合わせやすい まとめ役を1人決めておかないと方向性が割れます
6〜8人 音量と色彩が出る。編曲物の選択肢が広がる 指揮者なしで合わせる難易度が上がります。全員がそろう日を確保できるかが最大の壁

決める順番

編成を決めるときは、次の順で考えると破綻しません。

  1. 要項で人数の上下限を確認する。 (後述のとおり県差があります)
  2. 実際に集まれるメンバーで組む。 理想の編成より、練習に来られるメンバーのほうが優先です。
  3. 同じパートが重ならないように配置する。 (第10条)
  4. そのうえで曲を探す。

2番を軽視すると、10月以降に苦労します。 「上手い人を集めた編成」より「集まれる人で組んだ編成」のほうが、本番の完成度は高くなりやすいというのが、少人数編成の現実です。

同族編成と混合編成、どちらを選ぶか

編成にはもう一つ、大きな分かれ道があります。 同じ楽器族でそろえるか、違う楽器を混ぜるかです。

同族編成というのは、クラリネット四重奏、サックス四重奏、金管八重奏、打楽器四重奏のように、同じ系統の楽器だけで組む形です。混合編成は、木管と金管、あるいは管楽器と打楽器を組み合わせる形を指します。

編成 向いているところ 難しくなるところ
同族編成 音色がそろうので、和音が合ったときの効果が大きい。楽譜の数も多く、選曲で困りにくい 音色が近いぶん、音程やタイミングのずれがそのまま聞こえます。ごまかしがききません
混合編成 音色の対比がつけやすく、少ない人数でも曲に変化が出せます 楽器ごとに音の出はじめのタイミングが違うため、そろえるまでに時間がかかります。楽譜の選択肢も同族編成より狭くなります

どちらが有利ということはありません。ただ、 9月に編成を組んで12月下旬〜1月に本番という日程を考えると、練習時間が読みやすいのは同族編成のほうです。混合編成を選ぶなら、そろえるための時間を最初から多めに見積もっておいてください。

選曲の3条件|人数・難易度・5分

曲選びで見るのは、次の3つです。

編成が一致しているか

楽譜に書かれた編成と、自分たちの編成が一致していることが前提です。「トランペットのパートをクラリネットで吹く」といった置き換えをすると、それは編曲にあたります。編曲には事前の許諾が必要です(実施規定の表を参照)。

難易度が「今」ではなく「3か月後」に合っているか

9月の時点で完璧に吹ける曲を選ぶと、本番までに伸びしろがありません。逆に、まったく歯が立たない曲を選ぶと、12月まで音を並べるだけで終わります。 今の実力で8割ほど吹けて、残り2割を詰めていける曲が、いちばん伸びます。

5分に収まるか

楽譜に演奏時間が記載されていることもありますが、記載がない曲も少なくありません。記載があっても、それは標準的なテンポでの目安です。 候補曲は必ず一度通して録音し、時間を測ってください。

5分を超える曲を選んでしまった場合、カットするという選択肢が出てきますが、 曲の一部を省略することも編曲にあたる可能性があります。 自己判断で切らず、出版社または県連盟に確認してください。

曲はどこで探すか

順番を間違えないでください。 曲から入るのではなく、編成から入って、その中から選ぶのが9月にやるべき順番です。動画サイトで良さそうな演奏を見つけてから楽譜を探すと、編成が合わない・日本で楽譜が手に入らない・5分に収まらない、といった問題があとから出てきます。

楽譜出版社や楽譜専門店のカタログは「クラリネット四重奏」「金管五重奏」のように編成別に分類されているので、ここから絞り込むのがいちばん確実です。編成別の具体的な候補曲は、 吹奏楽アンサンブルおすすめ曲50選|アンコン曲の選び方にまとめてあります。

候補は3〜5曲に絞り、全部を一度は音出ししてみてください。譜面で読んだ印象と、実際に自分たちで鳴らしたときの手応えは、かなり違います。

楽譜と著作権|ここを間違えると出られない

ここは、演奏の巧拙とはまったく無関係に出場資格に関わる部分です。3つの誤解が特に多いので、順に書きます。

購入したパート譜のセットが袋から取り出され、机の上に人数分並べられている場面。コピー機は写さない。「買った楽譜を配る」という正しい手順を示す。

「IMSLPにあるから、印刷して使ってよい」 ——成り立ちません

IMSLP(国際楽譜ライブラリープロジェクト)には、パブリックドメインの楽譜が大量に置かれています。ただしIMSLPが基準にしているのはカナダの著作権法で、保護期間は原則として著作者の死後50年です。

一方、 日本の保護期間は死後70年です(TPP整備法にともなう改正。文化庁が公表しています)。つまり、 IMSLPでは自由に使える扱いでも、日本ではまだ保護されている作品が存在します。 「IMSLPに載っている」ことは、日本で自由に使ってよい理由になりません。

さらに注意が必要なのが、 校訂譜と編曲譜です。原曲の著作権が切れていても、 その楽譜を校訂した人・編曲した人には、新しく著作権が発生します。 「バッハは死後70年をとっくに過ぎているから、この楽譜は自由」という理屈は通りません。

「部活は授業だから、コピーしてよい」 ——成り立ちません

著作権法第35条には、学校その他の教育機関における複製の例外が定められています。ここから「部活動もコピーしてよい」という説明が広まっていますが、 第35条が部活動をどこまでカバーするかは限定的です。

実際に、JASRACとCARS(著作物利用に関する管理団体)はいずれも、 部活動での楽譜のコピーは許諾が必要という立場を取っています。「学校でやっているから大丈夫」は、根拠になりません。

結論:人数分を買うのがいちばん確実

アンサンブルの楽譜は、多くの場合パート譜がセットで販売されています。 3〜8人分であれば、1セット購入すれば足りることがほとんどです。合唱曲のように「人数分を買う」必要があるケースとは違います。

予算の相談は、顧問の先生を通して部の予算から出すのが一般的です。ここを節約してコピーで済ませると、 大会そのものに出られなくなる可能性がある——という順序で考えてください。

編曲する場合は必ず事前許諾を。 「うちの編成に合わせて少し書き換える」も編曲です。全日本の実施規定でも編曲には事前の許諾が求められています。誰に許諾を取るかは曲によって異なるので、まず出版社に問い合わせるのが確実です。 本番の直前では間に合いません。9月〜10月に動いてください。

逆算スケジュール|9月から本番まで

大会の時期を確認しておきます。 調べた範囲では、地区大会・県大会は12月下旬から1月に行われている例が中心でした。 「11月に地区大会」と書かれている記事もありますが、確認できた範囲ではその例は見つかりませんでした。 自分の県の日程は、必ず要項で確認してください。

9月から本番までの準備の流れを左から右へ並べた帯グラフ。5つの区間に時期と「何をするか」を日本語で描き込む。本文の逆算表と同じ並び順にする。
時期 やること
9月上旬 県の要項を入手する。人数・時間・使用不可の楽器・出場枠・締切を確認
9月中 編成を決める。集まれるメンバーを基準に組む
9月下旬〜10月中旬 候補曲を3曲ほど試奏し、録音して時間を測る。楽譜を発注する。編曲するなら許諾の手続きを始める
10月下旬 曲を確定。以降は変えない
11月 通し練習に入る。毎回録音して聴き返す。演奏時間を毎回記録する
12月上旬 本番と同じ並び順で通す。人前で1回は演奏しておく
12月下旬〜1月 地区大会・県大会(日程は要項で確認)

練習できる時間には上限がある

この逆算表を現実的にするうえで、知っておくべき前提があります。部活動の活動時間には国のガイドラインがあり、 現行のものは令和7年12月22日付の 「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」(文部科学省) です。多くの記事が2018年当時の版を引用していますが、示されている数値自体は変わっていません。

週2日以上の休養日を設ける
・1日の活動時間は平日2時間程度、休日3時間程度
・1週間の活動時間は11時間程度

つまり、9月から12月下旬までのおよそ16週間で、活動時間の合計はおおむね176時間程度ということになります。しかもその全部をアンサンブルに使えるわけではありません。合奏やコンクールの練習と分け合うことになります。

だから「毎日集まって長時間やる」は選択肢に入りません。 限られた時間の中で、いかに「全員がそろった状態の練習」を確保するかが勝負になります。次にその話をします。

申込前に、要項で必ず確認しておく項目

ここまで書いてきたとおり、全日本の実施規定と県の要項は別物です。 申込書を出す前に、次の項目を要項で1つずつ確認してください。 どれも「知らなかった」では取り返しがつかない項目です。

確認する項目 なぜ確認が要るか
申込の締切日 本番の2〜3か月前に設定されていることがあります。締切に間に合わなければ、編成も選曲も無意味になります
人数の上下限 前述のとおり、全国と県で違うことがあります
1校あたりの出場グループ数 1グループのみの地域と、2チームまで出せる地域があります。校内で何組作れるかが変わります
部門の区分 部門数が地域で違います。どの部門に申し込むかを間違えると受理されません
ピアノの可否 東京都(高校の部)と埼玉県のように、明確に使用不可としている地域があります
編曲譜を使う場合の手続き 事前の許諾が必要です。申込時に書類の提出を求められることがあります
演奏時間の計り方 どこからどこまでを計時するかは要項に書かれています。5分は失格ラインなので、認識をそろえておく必要があります

この確認は顧問の先生と一緒に、要項の紙(またはPDF)を見ながらやってください。ウェブ上のまとめ記事や、去年の記憶で判断すると、この記事で挙げてきた地域差にそのまま引っかかります。

少人数だからこその「そろわない問題」

アンサンブルの練習で最大の障害は、技術ではなく日程です。

誰も来ていない練習室に椅子が5脚だけ半円に並んでいる場面。楽器は置かれていない。「そろわない日」の空気を静かに示す。

50人の合奏なら、2〜3人休んでも練習は成立します。ところが3〜8人のアンサンブルは、 1人欠けた時点で合わせ練習が成立しません。 3人編成なら、1人休むと残りの2人は「その曲を合わせる」ことができなくなります。

そして高校生・中学生の予定は、想像以上に分散しています。他の部活との掛け持ち、委員会、模試、通院、家庭の予定、パート練習の割り当て。9月から12月にかけては定期試験も入ります。 「全員がそろう日」は、意識して確保しないと自然には生まれません。

先にやっておくと効くこと

  • 10月から12月までの「来られない日」を、9月のうちに全員から集める。 あとから出てくるほど調整は難しくなります。
  • 全員がそろう日を先に押さえ、そこを「通し練習の日」にする。 揃わない日は個人練習やパート練習に割り当てます。
  • 連絡先と共有場所を1つに決める。 LINE、口頭、部室のホワイトボードに情報が散ると、必ず伝達漏れが出ます。
  • 「そろわない日」に何をするかを、先に決めておく。 当日になって「今日は3人しか来ていないから解散」となるのがいちばんもったいない使い方です。2人ならこの部分を合わせる、1人なら難所をさらう、と決めておけば、欠けた日も練習日として使えます。
3〜8人の少人数だと、1人来られないだけで合わせ練習が成立しません。だから「誰がいつ来られるか」を先に見えるようにしておくと、練習日の決め直しが減ります。
EMMUは、練習日の候補出し・出欠の集計・演奏曲リストの共有をひとつにまとめた無料アプリです。日程調整の往復をアプリの中で完結させられるので、そろう日を早く確定できます。

EMMUで練習日を調整する

本番までのチェックリスト

直前に慌てないための確認事項です。1週間前に一度、前日にもう一度見てください。

  • 楽譜 全員分そろっているか。予備を1セット持つ。書き込みが消えていないか
  • 演奏時間 直近3回の通しで、すべて5分以内に収まっているか
  • 並び順 本番と同じ配置で通したか。椅子と譜面台の高さも決めておく
  • チューニング 誰の音に合わせるか、どの順番で合わせるかを決めておく
  • 出入り 誰が先に入り、どこで礼をし、いつ吹き始めるか。ここは必ず一度通す
  • 持ち物 リード、オイル、替えの弦、チューナー、メトロノーム、譜面台
  • 移動 集合時間、会場までの経路、大型楽器の運搬手段
  • 欠席時の対応 当日に誰かが来られなくなった場合、どうするかを決めておく

このうち、いちばん軽く見られがちで、いちばん本番に効くのが 「出入り」 です。舞台に出てから音を出すまでの数十秒は、どのグループも練習量が足りていない部分です。誰が先頭で歩くか、椅子に座るまでにどれだけ間を取るか、礼のタイミングを誰の動作に合わせるか。ここが決まっていないと、演奏の最初の1音が落ち着きません。 本番1週間前からは、通し練習を必ず「入場から退場まで」で行ってください。

もう1つ、直前期に効くのが録音を残すことです。スマートフォンで構いません。同じ場所・同じ位置で毎回録っておくと、自分たちの変化が分かります。演奏中は気づけない「走っている」「音が縦にそろっていない」といったずれは、あとから聞くとはっきり分かります。時間の計測も同時にできるので、 通し練習は必ず録音つきでやるのが効率的です。

よくある質問

Q1. 実施規定の今年度版はどこで見られますか。
実施規定は年度ごとに出し直される文書ではありません。全日本吹奏楽連盟のサイトで公開されており、最終改定は令和3年5月6日です。年度ごとに変わるのは、日程や申込方法を書いた「要項」のほうです。

Q2. 2人では出られませんか。
全日本の規定では3名以上です。ただし福井県のように、全日本予選以外の部門で2〜12名としている例があります。自分の県の要項を確認してください。

Q3. 持ち替えはしてもいいですか。
全日本の実施規定に、持ち替えを禁止する条文はありません。ただし県の要項で独自に制限している可能性があるため、持ち替えを前提にするなら要項を確認し、不安があれば県連盟に問い合わせてください。

Q4. ピアノを入れてもいいですか。
全日本の実施規定にはピアノを禁じる条文が見当たりませんが、 東京都(高校の部)と埼玉県では使用不可と明記されています。地域差が大きい項目なので、必ず要項で確認してください。

Q5. 少ない人数だと不利ではありませんか。
そうとは限りません。3名編成で全国大会の金賞を取ったグループが実在します。人数より、5分間そろい続けられるかどうかのほうが結果に効きます。

Q6. 県大会で金賞でしたが、全国では銀賞でした。実力が落ちたのでしょうか。
評価の方式が違うためです。全国大会は審査内規第3条により金・銀・銅の数が事前に決まっている相対評価で、絶対評価の県大会とは仕組みが異なります。演奏の質が下がったこととは別の話です。

Q7. 楽譜を人数分コピーしてもいいですか。
避けてください。「部活は授業だから」という説明は成り立ちません。アンサンブルの楽譜は多くの場合パート譜がセットで販売されているので、1セット買えば足りることがほとんどです。

Q8. 5分を超えそうです。カットしてもいいですか。
自己判断で切らないでください。曲の一部を省略することも編曲にあたる可能性があります。出版社または県連盟に確認してください。テンポや曲そのものを見直すほうが早い場合もあります。

Q9. 同族編成と混合編成では、どちらが評価されやすいですか。
編成の種類によって評価が変わる仕組みにはなっていません。ただし練習時間の読みやすさには差があります。9月から本番までという日程を考えると、そろえるまでの時間が短くて済むのは同族編成のほうです。混合編成を選ぶなら、合わせる時間を多めに見積もっておいてください。

Q10. 部活の練習時間が足りません。朝や休日に自主練習を増やしてもいいですか。
まず顧問の先生に相談してください。部活動には国のガイドラインで休養日と活動時間の目安が定められていて、学校ごとの運用もこれに沿って決まっています。 時間を増やす方向より、「全員がそろう日をどれだけ確保できるか」を見直すほうが、少人数編成では効果が出ます。 3〜8人の合わせ練習は、1人欠けた時点で成立しないためです。

Q11. アンコンは最大何人まで出られますか。
全日本の実施規定では上限は8名です。ただし福井県のように、全日本予選以外の部門で2〜12名としている例があるため、上限は自分の県の要項で確認してください。

Q12. 吹奏楽コンクールとアンコンでは、人数の決まりはどう違いますか。
アンコンは3〜8名という上下限が全日本の実施規定で定められています。吹奏楽コンクールは編成区分ごとに人数が決まる別の大会なので、この3〜8人は当てはまりません。

まとめ

1. 9月上旬に県の要項を入手する。 「3〜8人」は全国の話で、県は違うことがある
2. 編成は「集まれるメンバー」で決める。 そのあとで曲を探す
3. 5分は失格ライン。 練習では4分30秒前後を目安にする
4. 楽譜はコピーで済ませない。 編曲するなら9〜10月に許諾の手続きを始める
5. 全員がそろう日を先に押さえる。 1人欠けたら合わせ練習は成立しない
6. 本番は12月下旬〜1月。 日程は要項で確認する

アンサンブルコンテストは、少人数で自分たちだけの音を作る、めったにない機会です。 規定の確認は9月のうちに終わらせて、残りの時間をぜんぶ音楽に使ってください。

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