「吹奏楽のパート譜を 自分で 用意した い」 「自作曲を きれいな楽譜に 清書した い」 「そろそろ手書きの楽譜づくりか ら卒業した い」 ——そんな思いで 楽譜作成ソフトを 探している あなたに、 まずお伝えした いこと が あります。 今は 無料のソフトや アプリで も、 印刷して仲間に 配れる レベルの楽譜が 十分に 作れる 時代だ、 と いうこと で す。
かつては 「本格的な楽譜づくりに は 高機能な有料ソフトが 必要」 と いうイメージが ありました。 しか し現在は、 完全無料で 使える定番のMuseScore Studioを は じめ、 インストール不要で ブラウザか ら使えるクラウド型サービス、 スマホや タブレットで 音符を 書き留められる アプリまで、 選択肢が と ても 充実しています。 さらに、 長年の定番だったFinaleが 2024年に 開発終了を 発表した こと で、 乗り換え先と して無料ソフトに 注目する 人も 増えています。
この記事で は、 定番MuseScore Studioの実力、 PC向け・スマホ向けそれぞれの選択肢、 そして用途別のおすすめの選び方まで、 順番に 整理してお伝えします。 読み終えるころに は、 あなたの使い方に 合う一本が 見えてくるは ずで す。
この記事で は、 無料の楽譜作成ソフト・アプリおすすめ|MuseScoreほか PC・スマホ別比較を 厳選してご紹介します。
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無料の楽譜作成ソフトの選び方|3つの基準

無料の楽譜作成ソフトは 種類が 多く、 「結局どれが 一番良いの? 」 と 迷ってしまう方が 多いと 思います。 ただ、 私の経験か ら言うと、 「一番良いソフト」 を 探すより 「自分の使い方に 合うソフト」 を 探すほうが、 確実に 満足のいく結果に つなが ります。 ソフトごと に 得意分野が 違うので、 万人に と っての正解は 存在しない か らで す。 判断の軸に なるのは、 次の3つの基準で す。
①使う端末で選ぶ (PC・ブラウザ・スマホ)
最初の基準は、 どの端末で 楽譜を 作るか で す。 無料の楽譜作成ソフトは、 大きく次の3タイプに 分けられます。
- PCインストール型:パソコンにインストールして、 じっくり作り込むタイプです。 機能が充実していて、 パート譜の作成や細かなレイアウト調整まで対応できます
- ブラウザ型 (クラウド型) :インストール不要で、 ネット環境があればすぐに始められるタイプです。 データがクラウドに保存されるため、 複数人での共同編集にも向いています
- スマホ・タブレットアプリ型:思いついたメロディーをその場でさっと書き留めたいときに便利なタイプです。 移動中や練習の合間にも使えます
腰を 据えて本格的な楽譜を 仕上げたいならPCインストール型、 手軽さや 共同作業を 重視する ならブラウザ型、 メモ感覚で 使いたいならスマホ・タブレット型、 と いうのが 基本の考え方で す。 も ちろん 「普段は PCで 作り、 外出先で は スマホで 確認する 」 と いった組み合わせも で きます。
②用途で選ぶ (パート譜・コード譜・作曲メモ)
2つ目の基準は、 何のために 楽譜を 作るか で す。 ひと くちに 「楽譜を 作る」 と 言っても、 用途に よって必要な機能は 意外なほど変わります。
- 吹奏楽・合唱のパート譜づくり:スコア全体から各パートの譜面を取り出せる、 パート譜作成機能の有無が重要です
- バンドのコード譜・タブ譜:コード記号の入力や、 ギター用のタブ譜に対応しているかどうかがポイントになります
- 作曲のスケッチ・アイデアメモ:高度な浄書機能よりも、 思いついたフレーズを素早く入力できる手軽さのほうが大切です
吹奏楽部の顧問と、 バンドのギタリストと、 作曲を 始めたばか りの方と で は、 求めるも のが まったく違います。 あなたの目的を 先に は っきりさせておくと、 候補は 自然と 絞り込めます。
③データ互換 (MusicXML対応) で選ぶ
3つ目の基準は 少し地味で すが、 長く使うほど効いてくるも ので す。 それが 「MusicXML」 へ の対応で す。
MusicXMLと は、 楽譜のデータを ソフト間で や り取りする ための標準的なファイル形式で す。 多くの楽譜作成ソフトが 読み込み・書き出しに 対応していて、 これに 対応した ソフトを 選んで おけば、 将来別のソフトに 乗り換えること に なっても、 それまで に 作った楽譜を 引き継げます。 仲間と 違うソフトを 使っていても データを 渡し合えます し、 無料ソフトで 作り始めた楽譜を、 後か ら別の環境で 仕上げると いった使い方も 可能で す。
せっか く時間を か けて入力した 楽譜が 「そのソフトで しか 開けない 」 状態に なってしまうのは、 と ても もったいない こと で す。 最初の一本を 選ぶ段階で は 見落と しが ちな点なので、 私は この基準を ぜひ確認してほしいと 考えています。 この後に 紹介する ソフトを 検討する と きも、 「端末・用途・データ互換」 の3つを 頭に 置いて読み進めてみてください。
まず試したい定番 「MuseScore Studio」 |完全無料でここまでできる

無料の楽譜作成ソフトを 探すと、 必ずと 言っていいほど名前が 挙が るのが 「MuseScore Studio (ミューズスコア・スタジオ) 」 で す。 完全無料のオープンソースソフトで、 Windows・Mac・Linuxのいずれに も 対応しています。 機能制限つきの 「お試し版」 で は なく、 すべての機能を 期限なしで 使えるのが 最大の魅力で、 私自身 「まずどれを 入れればいい? 」 と 聞か れたら、 最初に このソフトの名前を 挙げています。 ここで は、 で きること と、 あらか じめ知っておきたい注意点を まと めて紹介します。
MuseScore Studioでできること
楽譜作成に 必要な機能は、 ひと とおり揃っています。 主なも のを 挙げると 次のと おりで す。
- 楽譜の入力・編集:マウス入力、 パソコンのキーボード入力、 MIDIキーボード入力に対応していて、 あなたのやりやすい方法で音符を置いていけます
- 印刷・PDF出力:作った楽譜をそのまま印刷したり、 PDFにして配布用のデータを作ったりできます
- パート譜の自動作成:スコア (総譜) から各楽器の譜面を切り出せます。 吹奏楽や合唱のパート譜作りで特に重宝する機能です
- タブ譜・コード記号:ギターのタブ譜やコードネームの入力に対応していて、 バンド用途にも使えます
- 「Muse Sounds」 による高品質な再生:無料で追加できる音源 「Muse Sounds」 を使うと、 打ち込んだ楽譜をリアルな音で鳴らせます。 耳で確かめながら書き進められるのは大きな利点です
「これだけ充実した 機能が、 なぜ無料で 使えるの? 」 と 不思議に 思うか も しれません。 MuseScore Studioは オープンソース、 つまり世界中の開発者が 協力しなが ら育てている ソフトだか らで す。 長い時間を か けて改良が 重ねられてきた結果、 いまで は 無料楽譜ソフトの定番と して、 学校の部活動か ら作曲愛好家まで 幅広く使われています。
注意点①:楽譜共有サイトの有料プランはソフトとは別物
MuseScoreに ついて調べている と、 「有料サブスクリプションが ある 」 と いう情報を 目に して、 「無料と 言いつつ、 結局は 課金が 必要なので は ? 」 と 不安に なるか も しれません。 結論か ら言うと、 その心配は いりません。
有料プランが 用意されている のは、 楽譜共有サイト 「musescore.com」 のほうで す。 こちらは 世界中のユーザーが 投稿した 楽譜を 閲覧・利用する ためのコミュニティサービスで、 その一部の機能に 有料サブスクリプションが あります。 一方で、 あなたのパソコンに インストールして楽譜を 作るソフト本体 「MuseScore Studio」 は、 これと は まったく別のも ので す。 楽譜の入力も 編集も 印刷も PDF出力も、 ソフト側の機能は すべて無料で 使えます。
名前が 似ている せいで 混同されや すいので すが、 「作るためのソフトは 無料」 「共有サイトの追加サービスに 有料プランが ある 」 と 分けて覚えておけば迷いません。 共有サイトに 登録しなくても、 ソフト単体で 楽譜作りは 完結します。
注意点②:スマホアプリでは楽譜を 「作れない」
もうひと つ知っておきたいのが、 スマホ用の 「MuseScore」 アプリは 楽譜の閲覧・再生のためのも ので、 作成・編集は PC版のMuseScore Studioで 行う、 と いう役割分担で す。
「スマホだけで 楽譜作りを 完結させたい」 と いう場合に は 別のアプリが 必要に なります。 入力まで できるアプリの選択肢も 含めて、 詳しくは 後の章で 紹介します。
最初のハードルは 「多機能さ」
公平を 期すために、 弱点に も 触れておきます。 MuseScore Studioは で きること が 多いぶん、 初めて起動した と きは 画面のボタンや メニューの多さに 戸惑いや すいソフトで す。 「どこを 押せば音符が 入るのか 分か らない 」 と、 最初の数時間で 感じる人は 少なくありません。
ただ、 実際のと ころ、 最初に 覚えるべき操作は 限られています。 音符の入力、 コピー&ペースト、 パート譜の作成と いった基本操作に 絞って触っていけば、 数日で 一連の流れに 慣れる 人が 多い印象で す。 利用者の多い定番ソフトだけあって、 日本語の解説記事や 操作動画も 豊富に ある ので、 つまずいたと きに 調べや すい環境が 整っています。 焦って全機能を 理解しようと せず、 まずは 知っている メロディーを 1フレーズ打ち込むと ころか ら始めてみてください。 それだけで も 「自分で 楽譜が 作れた」 と いう手応えが つか めるは ずで す。
MuseScore以外の選択肢|PC・ブラウザで使える無料ソフト

MuseScore Studioは 無料ソフトの定番で すが、 実際に 触ってみると 「操作の流れが 自分に は 合わない 」 と 感じること も あります し、 そも そも インストールせずブラウザだけで 完結させたい、 将来は 有料の本格的なソフトへ 移行する 前提で 入り口を 選びたい、 と いった事情も ある は ずで す。 楽譜作成ソフトは 一度慣れる と 長く付き合う道具に なるので、 私は 最初の段階で いくつか の候補を 見比べておくこと を おすすめします。 ここで は、 PC・ブラウザで 使える無料の選択肢と して、 Dorico SE・Sibeliusの無料版・Flat・Noteflightの4つを 整理していきます。
Dorico SE|本格派の無料版
Dorico SEは、 音楽制作ソフトのメーカーと して知られる Steinbergが 提供している、 楽譜作成ソフトDoricoの無料版で す。 Doricoは 「浄書」 、 つまり楽譜を 紙面の上で 美しく読みや すく組み上げる作業へ のこだわりで 知られる 系統のソフトで、 その設計思想に 無料で 触れられる のが SEの持ち味で す。
Dorico SEの大きな魅力は、 上位に 有料版のDorico Elementsと Dorico Proが 用意されていて、 腕前や 用途に 合わせてステップアップしていける道筋が 最初か ら見えている こと で す。 「今は 無料で 始めたいけれど、 いずれは 本格的な浄書ソフトを 使いこなした い」 と 考えている あなたに と って、 SEは 操作感を 無料で 確か められる 入り口に なります。 同じシリーズの中で ステップアップしていく形なので、 無料版で 慣れた操作の感覚を 持ったまま移行しや すい点も 心強いと ころで す。 まずは SEで 自分の作業スタイルに 合うか どうか を じっくり試し、 物足りなさを 感じたら上位版を 検討する、 と いう順番で 進めれば無駄が ありません。
Sibelius|老舗の無料版
Sibeliusは、 Avidが 開発している 老舗の楽譜作成ソフトで す。 長年に わたってプロの現場で も 使われてきた実績のある ソフトで、 楽譜作成の世界で は 広く名前が 知られています。 このSibeliusに も、 機能制限のある 無料版が 用意されています。
無料版で どこまで の機能が 使えるのか は 気に なると ころで すが、 制限内容は 時期に よって見直される こと が あります (確認のしか たは この章の最後に まと めます ) 。 それで も 「プロも 使ってきたソフトの操作感を 無料で 体験で きる」 と いう点だけで、 候補に 入れておく価値は 十分に あります。 また、 学校や 所属団体の周りに Sibeliusを 使っている 人が いる 場合は、 同じ系統の無料版か ら始めると 操作を 教えても らいや すい、 と いう実用的な利点も あります。
Flat・Noteflight|インストール不要のブラウザ型
Flatと Noteflightは、 ここまで 紹介してきたソフトと は 性格が 異なり、 どちらも ブラウザ上で 動くクラウド型の楽譜作成サービスで す。 インストールが 不要なので PCのスペックを ほと んど問いません し、 自由に ソフトを 入れられない 学校や 職場のパソコンか らで も 使えます。 楽譜のデータは クラウド上に 保存される ため、 アカウントに ログインすれば、 自宅のPCで も 外出先の別の端末で も 同じ楽譜の続きか ら編集を 再開で きます。 どちらに も 無料プランが 用意されている ので、 まずは 気軽に 試せます。
特に Flatは、 複数人で の共同編集に 強いのが 特徴で す。 1つの楽譜を メンバー全員で 共有し、 それぞれが 書き込んだ内容を 反映させなが ら仕上げていけるので、 バンドメンバーと 一緒に アレンジを 詰めたり、 合唱団で パートごと に 担当を 分けて1つの楽譜を 作り上げたりする 使い方が で きます。 文書作成のクラウドサービスで 共同編集を 経験した こと が ある なら、 その楽譜版を イメージしても らうと 近いは ずで す。
なお、 この章で 紹介した 無料版・無料プランの内容は、 いずれも 変更される こと が あります。 作りたい楽譜の規模や 使い方に よっては 有料プランが 必要に なる場合も ある ため、 本格的に 使い始める前に、 それぞれの公式サイトで 最新の情報を 確認しておきましょう。
ここまで を 整理する と、 MuseScore Studio・Dorico SE・Sibeliusのようなインストール型のソフトは、 1台のPCに 腰を 据えて楽譜を じっくり作り込みたい人に 向いています。 一方、 Flatや Noteflightのようなブラウザ型のサービスは、 思い立ったと きに すぐ書き始められる 手軽さと、 仲間と の共同作業のしや すさが 持ち味で す。 あなたが 「どこで、 誰と 」 楽譜を 作るのか を 思い浮か べなが ら選ぶと、 自分に 合う系統が 自然に 絞り込めるは ずで す。
スマホ・タブレットで楽譜を作れる無料アプリ

「電車の中で メロディーを 思いついた」 「練習の合間に 楽譜を さっと 直した い」 ——そんな場面で は、 いつも 手元に ある スマホや タブレットが 頼りに なります。 ただし、 モバイルアプリは PCの楽譜作成ソフトと まったく同じこと が で きるわけで は ありません。 アプリごと に 得意なこと が 異なるため、 「どのアプリで 何を する か 」 と いう役割分担を 意識して選ぶこと が 大切で す。 ここで は、 私が 押さえておいてほしいポイントを アプリ別に 整理します。
MuseScoreアプリは 「閲覧・再生」 用
最初に お伝えした いのが、 スマホ用の 「MuseScore」 アプリに ついてのよくある 誤解で す。 「PCで 定番のMuseScoreなら、 スマホアプリで も 楽譜が 作れる は ず」 と 思ってインストールした のに、 いくら探しても 作成画面が 見つか らない ——これは 本当に よくある つまずきで す。
結論か ら言うと、 スマホのMuseScoreアプリは 楽譜の 「閲覧・再生」 のためのアプリで、 楽譜の作成や 編集は で きません。 楽譜を 作りたい場合は、 PC版のMuseScore Studioを 使う必要が あります。
では、 スマホアプリは 何のために ある のか と いうと、 公式の楽譜共有サイト上の楽譜を スマホや タブレットで 表示し、 音を 鳴らして確認する ためのも ので す。 PCで 作った楽譜も、 共有サイトに アップロードしておけばアプリで 開けるので、 パート譜を 練習場所に 持ち込んで 画面を 見なが ら演奏する、 移動中に 楽譜を 眺めなが ら再生して曲のイメージを つか む、 と いった使い方が で きます。 「作るのは PCのMuseScore Studio、 持ち歩いて見るのは アプリ」 と 覚えておくと、 迷わずに 済みます。
スマホで入力するならFlatのアプリ
「閲覧だけで なく、 スマホで も 音符を 入力した い」 と いうあなたに 合うのが、 Flatのアプリで す。 Flatは ブラウザで 動くクラウド型の楽譜作成サービスで すが (詳しくは PC向けの章で 紹介しています ) 、 スマホ・タブレット向けのアプリで も 音符の入力・編集が で きます。
外出先で スマホか らメロディーを スケッチしておき、 家に 帰ったらPCのブラウザで 続きを 開いて仕上げる、 と いう流れが 自然に 作れます。 思いついたフレーズを その場で 楽譜の形に して残せるのは、 紙のメモや 録音と は ひと 味違う便利さで す。 無料プランで 使い始められる ので、 まずは 短いフレーズを 入力してみて、 自分の使い方に 合うか 確か めてみてください。
本格的に記譜するならNotion Mobile
「スマホや タブレットを、 メモ代わりで は なくメインの記譜環境に した い」 と いう人に は、 PreSonusのNotion Mobileと いう選択肢が あります。 モバイル向けに 設計された楽譜・作曲アプリで、 基本無料で 使い始められます (追加音源などの課金要素が あります ) 。
タブレットで じっくり楽譜と 向き合いたい人や、 PCを 持っていない けれど本格的な記譜に 挑戦した い人に と って、 検討する 価値のある アプリだと 私は 感じています。 無料で 使える範囲や 課金要素は、 アプリ内の案内で 確か められます。
タブレット+タッチ操作は相性が良い
ここまで 紹介した アプリは、 スマホよりも 画面の大きいタブレットで 使うほうが 快適に 感じられる 場面が 多くあります。 一度に 見渡せる小節の数が 増えて音符の配置を 確認しや すくなります し、 指や スタイラスペンで 五線譜に 直接触れて入力する 操作も、 画面が 広いほど正確に 行いや すくなります。
そこで 私が おすすめした いのが、 次のような役割分担で す。
- スマホ:思いついたメロディーのメモや、 外出先での楽譜の確認に使う
- タブレット:移動中や練習の合間に進める簡易的な制作に使う
- PC:パート譜の作成やレイアウトの調整まで行う仕上げに使う
すべてを 1台で こなそうと する より、 それぞれの得意な場面で 使い分けるほうが 結果的に 快適で す。 クラウド同期に 対応した サービスを 軸に すれば、 デバイス間のデータの受け渡しも ほと んど意識せずに 済みます。 あなたの生活の中で 「楽譜に 触れる 時間」 が どこに ある か を 思い浮か べなが ら、 組み合わせを 考えてみてください。
用途別の選び方と、 もっと快適に作るコツ

ここまで、 PC向けの定番ソフトか らスマホ・タブレット向けのアプリまで、 さまざまな選択肢を 紹介してきました。 と は いえ 「結局、 自分は どれを 選べばいいのだろう」 と 迷っている 方も 多いは ずで す。 この章で は、 特に ニーズの多い4つの用途を 取り上げて、 それぞれに 合う組み合わせを 整理します。 あなたの目的に いちばん近いと ころか ら読んで みてください。 複数の用途に またが る場合は、 まず中心に なる作業に 合わせて選ぶと 失敗しに くくなります。
吹奏楽・合唱のパート譜を作りたい → MuseScore Studio
スコア (総譜) か ら各パートの譜面を 切り出した いなら、 MuseScore Studioが 第一候補で す。 フルスコアを 1つ作れば、 そこか ら各パート譜を 自動で 作成で きるので、 パートごと に 手作業で 書き直す必要が ありません。 印刷や PDF出力に も 対応している ため、 メンバーへ の配布も スムーズに 進められます。 人数の多い団体ほど、 この仕組みの恩恵は 大きくなります。 完全無料で 始められる ので、 まずは 短い1曲分のスコアで 試してみるのが おすすめで す。
バンドのコード譜・タブ譜を書きたい → MuseScore Studio+スマホアプリ
ギターや ベース向けのタブ譜、 コード記号入りの譜面を 作りたい場合も、 MuseScore Studioで 対応で きます。 五線譜と タブ譜を 並べて表示する こと も で きるので、 メンバーの読みや すさに 合わせた譜面づくりが 可能で す。 じっくり作り込む作業は PCで 行い、 移動中に 浮か んだフレーズや コード進行のメモは、 スマホの章で 紹介した アプリに 残しておくと 便利で す。 PCと スマホの二段構えに すれば、 せっか くの思いつきを 逃さずに 形に で きます。
みんなで1つの楽譜を編集したい → Flat
合唱団や サークル、 学校の授業などで、 複数人が 同じ楽譜に 手を 入れたいならFlatが 向いています。 ブラウザで 動くクラウド型なので インストール不要で 環境を そろえや すく、 共同編集の仕組みも 整っています。 「先生が 用意した 譜面に 生徒が 書き込む」 と いった使い方が で きるのは、 クラウド型ならで は の強みで す。 無料プランで 始められる ので、 まずは 少人数で 試してみてください。
Finaleから乗り換えたい → MuseScore StudioかDorico系を試す
2024年に 開発終了が 発表されたFinaleか らの乗り換え先を 探している なら、 まずは 無料で 使えるMuseScore Studioと Dorico SEの両方を 触ってみること を おすすめします。 操作の考え方が ソフトごと に 違い、 どちらが なじむか は 人に よって分か れる ためで す。 Dorico SEで 手応えを 感じたら、 必要に 応じて有料版へ 進む道も あります。 長年ためてきた楽譜データの移行は MusicXML経由が 基本なので、 続けて手順を 説明します。
乗り換え・データ移行はMusicXMLで
選び方の章で 触れたと おり、 乗り換えは MusicXML形式を 経由する のが 基本で す。 手順は 次の3ステップで す。
- ①今のソフトから書き出す:移行したい楽譜を、 今まで使ってきたソフトからMusicXML形式で書き出します。 曲数が多い場合は、 これからも使う優先度の高い譜面から少しずつ進めましょう。
- ②新しいソフトで読み込む:MuseScore StudioやDorico SEなど、 移行先のソフトでMusicXMLファイルを開きます。
- ③レイアウトを再調整する:読み込んだ楽譜の改行位置や記号の配置を、 新しいソフトの上で整え直します。
ここで 知っておいてほしいのは、 音符などの音楽情報は 引き継げても、 レイアウトは 崩れる こと が 多いと いう点で す。 改行の位置や 細か な配置まで そのまま完璧に 移ると は 考えず、 MusicXMLは 「音の情報を 運ぶための形式」 と 割り切って、 移行後の再調整を 前提に 作業時間を 見積も るのが 現実的で す。 演奏会の直前に まと めて移行する のは 避けて、 時間に 余裕のある タイミングで、 1曲ずつ様子を 見なが ら進めてください。
入力を速くしたいならMIDIキーボードという選択肢
マウスで の音符入力に 慣れてきて 「も っと 速く書きたい」 と 感じたら、 MIDIキーボードの導入を 考えてみてください。 パソコンに つない で 鍵盤を 弾くと、 その音が そのまま音符と して入力される ため、 マウスで 1音ずつ置いていくのに 比べて作業の効率が 大きく変わります。 コンパクトな25鍵タイプなら、 ノートパソコンの手前に も 置きや すいサイズで す。
メリットは、 入力スピードが 上が ること に 加えて、 実際の音を 確か めなが ら書けること で す。 頭の中で 鳴っている 響きと 譜面のずれに、 その場で 気づけます。 一方で 注意点も あります。 ソフト側で MIDIキーボードを 認識させる接続設定が 必要なこと と、 鍵盤の演奏に 慣れていない 人の場合、 最初は マウス入力のほうが か えって速いこと も ある 点で す。 私と しては、 無理に 最初か らそろえる必要は ない と 考えています。 「マウス入力が 作業のボトルネックに なってきた」 と 感じたと きの、 次の一手と して覚えておいてください。
無料の楽譜作成ソフトでよくある質問

ここで は、 無料の楽譜作成ソフトを 検討する と きに つまずきや すい疑問を、 Q&A形式で まと めました。 ソフトを 選ぶ前の不安や、 使い始めてか らの 「これは どうなの? 」 の解消に 役立ててください。
Q. 無料ソフトでも印刷やPDF出力はできますか?
多くの無料ソフトで 印刷や PDF出力が 可能で す。 特に MuseScore Studioは、 印刷も PDF出力も 含めて無料で 使えるため、 パート譜を 紙で 配りたい吹奏楽や 合唱の現場で も そのまま活用で きます。 PDFで 書き出せれば、 印刷だけで なくメンバーへ のデータ共有や タブレットで の譜面表示に も 使えて便利で す。 一方、 Flatや Noteflightのようなブラウザ型サービスは、 無料プランで できる範囲が 変更される こと が ある ので、 書き出し機能を 重視する なら登録前に 最新の内容を 公式サイトで 確認しておいてください。
Q. Finaleが終了したと聞きましたが、 作った楽譜はどうなりますか?
Finaleは 2024年に 開発終了が 発表されました が、 手元に インストールされたソフトが 即座に 使えなくなるわけで は ありません。 ただし、 今後の更新が 見込めない こと を 考えると、 長期的に は 別のソフトへ の乗り換えを 視野に 入れておくほうが 安心で す。 作った楽譜は MusicXML形式で 書き出しておけば、 MuseScore Studioを は じめと した 他のソフトに 音符の情報を 引き継げます。 レイアウトの再調整は 必要に なるも のの、 書きためた作品が 失われる わけで は ない ので、 用途別おすすめの章で 紹介した 手順を 参考に、 少しずつ移行を 進めてみてください。
Q. 作った楽譜を配布・公開してもいいですか?
曲に よって扱いが 変わります。 あなたの自作曲や、 著作権の保護期間が 満了した 曲 (クラシックの古い作品の多くが これに あたります ) で あれば、 原則と して自由に 配布・公開で きます。 ただし、 市販の楽譜 (校訂版・編曲版) を 元に 入力した 場合は その版や 編曲に 別の権利が 残っている こと が あり、 歌詞の権利が 曲と 別に 存続する 場合も ある ため、 公開前に 確認する と 安心で す。 一方、 市販曲や 既存曲の楽譜を 作って、 個人の練習用の範囲を 超えて配布・公開する に は、 著作権者の許諾が 必要で す。 また、 既存の曲を 別の編成向けに 書き直すような編曲に も 権利が 関わるため、 「ソフトが 無料だか ら、 何を 作って配っても いい」 と いうわけで は ない 点に 注意してください。 部活動や サークルで 使う場合も、 SNSへ の投稿など公開の範囲が 広が るほど、 権利の確認が 大切に なります。
Q. 楽譜が読めなくても使えますか?
使えます。 楽譜作成ソフトは 入力した 音符を すぐに 再生で きるので、 音の高さや 長さを 耳で 確か めなが ら、 少しずつ形に していけます。 間違えた音は 聴けば気づけます し、 音符を 置いた場所と 鳴った音が 結びついていくうちに 自然と 楽譜の仕組みが 頭に 入っていくので、 むしろ読譜の学習ツールと して役立つ面が あります。 ギターならタブ譜、 弾き語りならコード記号と いうように、 五線譜以外の書き方か ら入る方法も ある ので、 あなたの得意な形で 始めてみてください。
まとめ|まずはMuseScoreから。 用途が固まったら使い分けよう

この記事で は、 無料で 使える楽譜作成ソフト・アプリを、 選び方の基準か らPC向け・スマホ向け・用途別まで 整理してきました。 私が 要点と してお伝えした いのは、 次の4つで す。
- 迷ったらまずMuseScore Studio:完全無料で、 入力から印刷・PDF出力・パート譜作成まで使える定番ソフトです。 共有サイトの有料サブスクリプションとは別のサービスで、 ソフト本体は全機能を無料で使えます。
- 手軽さと共同編集ならブラウザ型:FlatやNoteflightはインストール不要で始められ、 特にFlatは複数人での共同編集に強みがあります。
- スマホ・タブレットで入力するならFlatアプリやNotion Mobile:閲覧・再生用のMuseScoreアプリとの役割の違いを押さえたうえで選びましょう。
- 選ぶ基準は 「端末」 「用途」 「MusicXML対応」 の3つ:MusicXMLに対応したソフトを選んでおけば、 Finaleからの乗り換えも含めて、 あとから別のソフトへ移る道を確保できます。
手書きの時代なら音符を 書き写すだけで 何時間も か かっていた清書が、 楽譜作成ソフトなら入力して整えるだけで 済みます。 清書に 費や していた時間は、 フレーズを 練り直した り、 ハーモニーを 試した りする、 音楽そのも のを 作る時間に 変わっていきます。 まずは MuseScore Studioを インストールして、 頭の中に ある 好きな8小節を 打ち込んで みてください。 再生ボタンを 押した 瞬間に 自分の書いた音が 鳴る、 その体験が あなたの楽譜づくりの最初の一歩に なります。


