インストゥルメンタルは、歌ではなく楽器による表現を中心とする音楽です。BGMは使い道、カラオケやオフボーカルは歌うための音源・歌を外した版に関わる呼び名で、同じ曲が複数に当てはまる理由を比較表と収録例で整理します。
配信で「Instrumental」と付く曲を選んだら知っているメロディーが聞こえない、歌詞のない曲なのに声が入っている、動画用のBGMとして使ってよいのか分からない。こうした迷いは、曲の種類と音源の版、利用目的を一つの分類で考えると起こります。この記事では三つを分け、鑑賞用・歌唱用の音源の選び方と、動画利用前に確認する点を説明します。

情報確認日:2026年10月23日。
インストゥルメンタルとは|器楽曲と歌なしの版を分ける
インストゥルメンタルの基本的な意味は、歌を伴わず楽器で演奏する音楽です。日本語では「器楽曲」、略して「インスト」と呼ばれます。ピアノ独奏からバンドやオーケストラまで、楽器の数や音量を限定する言葉ではありません。
英語のinstrumentは楽器を指し、instrumentalは音楽の文脈では「器楽の」という意味になります。曲名として用いられる場合には「歌のない曲」という意味でも使われます。ただし、英語では「重要な役割を果たす」という別の意味もあるため、文章中のinstrumentalをすべて音楽用語として訳すことはできません。
まず押さえたいのは、最初から楽器で表現するための作品と、歌入りの作品から主な歌を外した収録版の違いです。どちらにもInstrumentalという表記が使われますが、前者は楽器が旋律や展開を担い、後者では歌う人が入る場所を伴奏が支えています。「インストなら必ず歌のメロディーを楽器が弾いてくれる」と考えると、この二つを取り違えます。
楽器が歌の代わりをするとは限らない
インストには、はっきりした主旋律がある曲も、リズムや音色の変化を中心に組み立てた曲もあります。歌がないという特徴から、全作品に「歌の代役になる楽器」が必要だとは言えません。
たとえば、ピアノが覚えやすいフレーズを繰り返す作品では、その旋律を鼻歌でたどれます。一方、打楽器の組み合わせを楽しむ曲や、電子音が少しずつ変化する曲では、特定の一本の旋律を取り出すこと自体が中心ではありません。音楽を成り立たせる要素は旋律だけでなく、和音、音の強弱、長さ、響きの移り変わりにもあります。
「歌詞がないと何を聴けばよいか」というときは、最も耳に残る音の動きを一つ選ぶと整理しやすくなります。高い音のフレーズが変わるのか、低い音が同じ形を繰り返すのか、全体が静かになってから厚くなるのか。物語の正解を当てる必要はなく、どの要素が曲を先へ動かしているかを追う聴き方です。
「歌詞がない」と「声がない」は同じではない
歌詞のある言葉を使わず、人の声で旋律を歌う音楽もあります。そのため、歌詞が見当たらないという理由だけでは、器楽曲かどうかを決められません。
「アー」などの母音による歌唱、ハミング、声だけで和音を作る演奏には、言葉がなくても人の歌声があります。反対に、楽器中心の録音に短い掛け声や加工した声の断片が入る例もあります。作品紹介でインストと呼ばれる範囲と、辞書的に声を用いない器楽という区分が、完全に一致しない場合です。
声の有無が選択の条件なら、ジャンル表示だけでなく対象の録音を試聴します。ナレーションの後ろで流す音源を探している人には、短い掛け声も気になる可能性があります。歌なしの音楽を鑑賞したい人には、そうした声の断片より楽器の演奏が中心かどうかが判断材料になるでしょう。同じ表示でも、必要な確認は目的によって変わります。
BGM・カラオケ・オフボーカルとの違いを比較
四つの言葉は、どれか一つにしか当てはまらないジャンル名ではありません。インストは音楽の内容、BGMは流す場面、カラオケは歌うための仕組みや伴奏、オフボーカルは主な歌を外した音源の版に注目する呼び名です。
| 呼び名 | 何を表すか | 具体例 | 名前だけでは決まらないこと |
|---|---|---|---|
| インストゥルメンタル | 歌を中心にしない器楽の音楽、または歌なしの版 | ピアノ曲、ギターの器楽曲、シングルのInstrumental版 | 原曲の歌メロディーが楽器で入っているか |
| BGM | 背景として音楽を流す用途 | 店内、映像、作業中に流す音楽 | 歌入りか歌なしか、自由に使えるか |
| カラオケ | 伴奏に合わせて歌う仕組みや、そのための音源 | 歌詞表示やキー変更を備えたカラオケ、歌唱用の伴奏 | 市販作品と同じ録音か、ガイド音やコーラスの有無 |
| オフボーカル | 主な歌声を外した音源の版 | シングルのoff vocal ver. | コーラスや掛け声まで外してあるか |
一つの例で考えると分かりやすくなります。歌入りの曲を店内で流せば、その場ではBGMです。その曲をピアノで演奏した録音は器楽カバーであり、それを店内で流せばインストのBGMになります。さらに、歌手の声を外した公式の伴奏版を自宅で歌唱練習に使うこともできます。内容・用途・版の呼び名が重なるので、どれか一つだけを選ぶ必要はありません。
BGMは背景音楽という使い道を表す
BGMはbackground musicの略で、場面や作業の背景として流す音楽を指します。歌の有無ではなく、その場で音楽がどのような役割を持つかに注目する言葉です。
同じピアノ曲でも、コンサートで演奏そのものに耳を傾けるときと、料理中に部屋で流しているときでは位置づけが異なります。録音内容が変わったのではなく、聴き手の活動との関係が変わっています。したがって、BGMという表記から「芸術性が低い」「鑑賞に向かない」といった価値の上下を導くこともできません。
店内向けの音楽サービスでは、J-POPをジャズやボサノバなどへ編曲した器楽のチャンネルも用意されています。これは「知っている曲の旋律を残しながら、歌声や編成を変えた背景音楽」という選択肢です。元の歌声を除いただけの伴奏版とは作り方が異なり、旋律を何の楽器が担当するか、テンポや和音の配置をどう変えるかも含めて編曲されています。
カラオケは歌いやすくする機能も含む
カラオケは、歌う人が伴奏に合わせて参加するための仕組みです。楽曲の伴奏だけを指す場合もありますが、店舗や家庭用サービスでは歌詞表示、キー変更、歌い始めを助ける音などが組み合わされています。
ガイドメロディーは、歌う旋律を分かりやすく示すために鳴らす補助音です。JOYSOUNDの家庭用サービスの説明にも、ガイドメロディーの大きさを調整する機能が示されています。歌唱を助ける機能であって、通常の器楽作品が必ず備えるものではありません。機能の名称や調整できる範囲は、利用する機種やサービスによって異なります。
カラオケで耳にする伴奏が、市販CDの伴奏と同じ録音とは限りません。歌いやすいように別の演奏で作られた音源や、専用の映像・歌詞情報と組み合わせた音源もあります。「本人映像」と書かれていても、それは映像についての表示であり、伴奏まで市販作品と同じ録音だと即断する材料にはなりません。演奏と映像を別々に見ると、表示の意味が整理できます。
オフボーカルは歌のある作品との関係を示す
オフボーカルは、主なボーカルを外した版を指す呼び名です。元になる歌入り作品との関係を示すため、最初から器楽曲として作られた作品とは出発点が異なります。
主な歌を外したとき、コーラスや掛け声まで外すかどうかは音源によります。コーラスは、主な歌に重ねる別の歌声です。主役の声を除いても後ろの歌声が残っていれば、「オフボーカルなのに声がある」という状態になります。表記が間違いだと決める前に、何を外した版なのかを見る必要があります。
同じ曲を三つの音源に分けると何が違うか
歌入り、オフボーカル、器楽カバーを比べると、違いの中心は「主旋律を誰が担当するか」です。ここでは実在の録音を分解したものではなく、説明用の仮想的な三つの編成で考えます。

| 音源の形 | 主旋律 | 伴奏とリズム | 適した目的の例 |
|---|---|---|---|
| 歌入りの原曲 | 歌手が担当 | ギター・ベース・ドラムなど | 歌詞と歌声を含めて作品を聴く |
| 主な歌を外した版 | 歌う人が加える場所を残す | 元の伴奏を残す例 | 歌唱練習、伴奏の構成を聴く |
| ピアノによる器楽カバー | ピアノが担当 | ピアノで伴奏も作る例 | 同じ旋律を別の音色で聴く |
三つ目では、元のギターやドラムをそのまま残す必要はありません。ピアノ一台に合わせて音の並びや低音の動きを作り替えることもあります。このように、楽器の担当や響きを組み直すことを編曲と呼びます。原曲と同じ曲名でも、演奏の密度、前奏、間奏、終わり方が変わる理由です。
二つ目は歌の不在を、三つ目は楽器による新しい表現を中心に聴くと、期待と実際のずれが減ります。「歌なし」という一点だけを共通点にして、長さや盛り上がりまで同じと考えないことが大切です。とくに映像へ合わせる場合、同じ曲の異なる版を途中で差し替えると、場面転換の位置と音楽の区切りが合わなくなる可能性があります。
公式の伴奏版と音声分離で作った音源の違い
制作時に歌と伴奏を分けて用意した版と、完成した録音から後で歌声を取り除く音声分離は、処理の出発点が違います。後者は重なった音から成分を推定して取り出すため、元の伴奏を完全に復元する保証はありません。
歌と楽器には、似た高さや響きの音が含まれます。声を減らした結果、ギターやシンバルの一部まで薄くなったり、声の残響が残ったりすることがあります。音声分離の結果が「伴奏」と表示されても、公式に用意されたInstrumental版と同じ録音状態になったことを意味しません。
選び分けは、欲しいものが公式の収録版なのか、手元の素材を分けた作業用音源なのかで行います。曲の構成を聴く練習なら分離結果が参考になる場合もありますが、音源の来歴を説明するときは「公式オフボーカル」と混同しない呼び方が必要です。操作そのものは、ボーカルを分離して保存する方法で、書き出しまでの手順を確認できます。
CDや配信のInstrumental表記を実例で読む
収録曲欄のInstrumental、inst、off vocalは、同じような歌なしの版を指して使われることがあります。用語を完全に別物へ分類するより、曲名、収録形態、盤の種類を一緒に読む方が確実です。

LiSA「紅蓮華」は盤によって4曲目の表記が違う
LiSA「紅蓮華」の発売案内では、初回生産限定盤と通常盤の4曲目が「紅蓮華 -Instrumental-」、期間生産限定盤の4曲目が「紅蓮華 -TV ver.-」と記載されています。曲名と曲順が似ていても、同じ版ではありません。
この例でInstrumentalが示しているのは歌なしの版であり、TV ver.はテレビ用の版という区別です。「4曲目だから伴奏版だろう」「同じシングル名なら収録内容も同じだろう」と考えると、欲しい音源と違う盤を選んでしまいます。探す順序は、作品名、通常盤・限定盤などの区分、曲名の末尾の表記です。
購入や配信の画面では、ジャケットだけで識別せず、収録曲一覧を開いて対象の行を読みます。画像が似た再発売盤や配信版がある場合も、音源の版を示す文字列が選択の決め手になります。ここで示したのは発売案内の収録例であり、現在すべての形式で入手できるという販売保証ではありません。
AKB48の収録案内ではinstとoff vocalが併用される
AKB48「元カレです」Type B通常盤の公式案内は、全体を「新曲3曲+inst3曲」と説明し、後半3曲をそれぞれoff vocal ver.と表記しています。この収録例では、instとoff vocalが異なる二種類の音源を意味しているわけではありません。
このため、「インストは必ず旋律入り、オフボーカルは必ず旋律なし」という固定的な説明は適切ではありません。作品の総称としての器楽曲と、歌入り作品に付く版名としてのInstrumentalを分けた上で、個々の収録内容を見ます。同じ単語が使われる場所によって、読み取る関係が変わるのです。
配信サービスで同名の曲が複数表示されたときも、この考え方を使えます。アーティスト名が一致しているか、原曲なのか別の演奏者によるカバーなのか、曲名末尾にInstrumentalやTV Sizeなどが付いているかを順に見ます。「歌のない曲を聴く」という目的なら複数が候補になりますが、「本人の伴奏版で歌う」という目的なら候補は絞られます。
インストの中で主旋律・伴奏・リズムはどう働くか
インストを聴くときは、楽器名だけでなく音楽の役割に注目すると構成が見えてきます。主旋律は中心になるフレーズ、伴奏はそれを支える響き、リズムは音の長さや配置による動きです。

ピアノの右手が主旋律、左手が伴奏を担当する場面では、一つの楽器が複数の役割を受け持ちます。バンドでは、ギターが旋律を弾いていた後に鍵盤へ引き継いだり、ベースが前へ出る部分を作ったりできます。楽器と役割は一対一に固定されていません。音色が変わったところを聴くと、役割の交代に気づきやすくなります。
独奏・少人数・大編成では聴き比べる軸が変わる
独奏では一人の演奏の中にある旋律と伴奏の関係、少人数の合奏では音の受け渡し、大編成では楽器群の重なりが比較の手がかりになります。人数の多さが作品の優劣を決めるわけではありません。
ギター独奏なら、高い音の旋律と低い音の支えが同時に聞こえるか、音を伸ばしたまま別の音が入るかに注目できます。二本のギターなら、同じ旋律を重ねる場面と、片方が伴奏へ回る場面の違いを追えます。同じ楽器でも、人数が変わると音を分担する方法が変わります。
オーケストラでは、弦楽器、木管楽器、金管楽器、打楽器などの群を大きな単位として聴く方法があります。最初からすべての楽器を言い当てる必要はありません。薄い響きから厚い響きへ変わる、似たフレーズが別の音色で戻る、といった変化が、歌詞の区切りに頼らず曲の展開を捉える入口になります。
歌詞がない曲の構成をどう追うか
同じフレーズの再登場と、その間に起こる変化を追うと、歌詞のない曲でも区切りを捉えられます。ここでいうフレーズは、ひとまとまりとして聞こえる短い音の動きです。
説明用に、最初の旋律をA、違う旋律をBと呼び、A→B→Aという流れを考えてみます。二度目のAが同じ音で始まっても、楽器が増えたり、低音の動きが変わったりすれば、最初と違う印象になります。AやBは和音の名前ではなく、構成を区別するための仮の記号です。実際の作品がすべてこの形を取るわけではありません。
即興を含む演奏では、決まった主題の後で演奏者がその場で旋律を展開することもあります。即興は無秩序という意味ではなく、拍や和音など共有された条件の中で音を選ぶ表現を含みます。いつも同じメロディーが続かないことを「原曲を間違えている」と捉えず、主題とその展開を分けて聴くと理解しやすくなります。
クラシック・ジャズ・ロックなどを横断する呼び名
インストゥルメンタルは、クラシックやジャズと並ぶ一つの様式だけを意味する言葉ではありません。複数のジャンルに器楽中心の作品があり、それぞれに歌を用いる作品も存在します。

| 分野 | 器楽中心の例 | 比較しやすい要素 |
|---|---|---|
| クラシック | ピアノ曲、弦楽四重奏、管弦楽曲 | 旋律の受け渡し、強弱、編成 |
| ジャズ | ピアノトリオ、管楽器を含む合奏 | 主題と即興、楽器同士の応答 |
| ロック・ポップス | ギターや鍵盤を中心にしたバンド曲 | 短い反復、音色、リズムの押し引き |
| 電子音楽 | シンセサイザーなどによる器楽的な作品 | 音色の変化、反復、重なり |
| 映画・ゲーム音楽 | 場面に添える音楽である劇伴の器楽作品 | 主題の再登場、場面との関係 |
クラシックのすべてがインストというわけでもありません。歌曲、合唱、オペラなどは声を用います。ジャズにも歌手による作品があり、ロックのバンドが器楽曲を作ることもあります。「クラシックだから歌がない」「ロックだから必ず歌がある」という分け方では、実際の作品を整理できません。
電子音を使う音楽も、楽器を生で録音していないという理由だけでインストから外れるわけではありません。シンセサイザーは電子的に音を作る楽器です。打ち込みは音の高さや長さなどの情報を入力して演奏させる制作方法で、歌の有無とは別の軸になります。制作方法、ジャンル、声の使い方を分けると混乱しません。
インストバンドという呼び方の読み方
インストバンドは、歌を中心に置かず、楽器の演奏で作品を表現するバンドを指す呼び方です。ただし、そのアーティストのすべての曲や共演が必ず歌なしであるという保証ではありません。
ゲスト歌手との共演や、一部の作品だけで歌を取り入れる活動もあり得ます。アーティストの分類は普段の活動の特徴を示し、個別の曲の編成はその録音ごとに決まります。プレイリストを作るなら「インストバンドの曲だから」と一括して選ばず、採用する曲の実際の版を確認する方が目的に合います。
人数、楽器編成、主旋律の音色という三つの条件を添えて探すと、単に「インスト」と検索するより好みに近づけます。たとえば「二本のアコースティックギター」「ピアノと低音とドラム」のような編成の言葉は、聴きたい響きを具体化します。
最初の一曲は作品名と演奏者を組にして選ぶ
最初に聴く曲は、知名度の順位より、聴いてみたい音色や編成から選ぶと違いが分かります。次の例はランキングではなく、公式の作品紹介や映像から探せる入口です。
| 作品・演奏者の例 | 入口になる音色や編成 | 選ぶときの視点 |
|---|---|---|
| DEPAPEPE「START」 | アコースティックギターのユニット | 二本のギターの旋律と伴奏の関係 |
| 清塚信也「Baby, God Bless You」 | ピアノを軸にした作品 | ピアノの音のつながりと編曲の違い |
| 久石譲「One Summer’s Day」 | 映画音楽の主題を扱う演奏 | ピアノや合奏など、選ぶ録音の編成 |
| ルドヴィコ・エイナウディ「Experience」 | ピアノを含む反復と展開 | 同じ形が戻るところと音の重なり |
DEPAPEPEは、公式プロフィールで二人組のギター・インストゥルメンタル・ユニットとして紹介されています。アコースティックギター二本を中心とする活動なので、楽器名と編成を結び付けて探す例になります。ギターの弦を弾く音の輪郭や、片方が旋律を担当するときのもう片方の支えに注目するという比較軸を持てます。
清塚信也、久石譲、エイナウディの作品は、ユニバーサルミュージックの公式インスト曲プレイリストにも映像がまとめられています。同じ作品名でも、新しい編曲、コンサート映像、スタジオ録音が並ぶことがあります。作品名だけでなく演奏者と版名を記録すると、気に入った演奏を再び探しやすくなります。
原曲を知っている人は、器楽カバーを入口にする方法もあります。その場合は原曲の歌手と、今聴こうとしている演奏者を分けて見ます。誰が作った曲か、誰が今回演奏しているか、誰が編曲したかは別の情報です。これらを区別すると、カバー演奏を原曲の公式伴奏版と取り違えにくくなります。
目的別に音源を選ぶ|鑑賞・歌唱・背景音楽
音源選びは「歌がないか」だけでなく、何をしたいかを先に決めると候補を絞れます。旋律を聴く、歌を加える、別の作業や映像の背景へ置く、という三つでは必要な条件が違います。
旋律を楽しみたいなら器楽作品や器楽カバー
旋律を楽しむ器楽カバーは、曲名と楽器名を組み合わせて探し、試聴で主旋律の担当を確かめると選びやすくなります。
たとえば好きな歌をピアノで聴きたい場合は、曲名に「piano cover」や「ピアノアレンジ」といった語を組み合わせ、演奏者の公式音源を探します。試聴で確認するのは、ピアノが主旋律を弾くか、伴奏だけを弾くかです。同じ「ピアノ版」でも、歌の練習用伴奏と鑑賞用の独奏では役割が違います。
一方、知らない曲との出会いが目的なら、好きな楽器や編成から候補を作れます。一曲を聴いて気に入ったら同じ演奏者の作品、別の編成による同じ曲、同じ楽器の別の演奏者へと広げると、何を好んでいるか比較しやすくなります。曲数を増やす前に比較軸を一つ決める方法です。
歌いたいならキー・長さ・歌い始めをそろえる
歌唱用では、主な歌声のない伴奏を選び、キー、曲の長さ、前奏と終わり方を確認します。キーとは曲全体の音の高さの基準で、Instrumentalという名称から原曲と同じキーだとは決まりません。
練習用に短い版を選ぶと、覚えている二番や間奏が省かれていることがあります。また、別の演奏者が作った伴奏では、歌い始めの前の長さが違う場合があります。原曲を覚えているだけで入りの時刻を決めず、使う伴奏の最初から最後までを一度たどると、曲の区切りの違いを把握できます。
他の人と合わせるなら、曲名だけでなく「誰の音源の、何という版か」を共有します。歌う人が通常版、伴奏担当が短縮版を用意すると、途中で構成がずれます。キーを変えた版なら、その変更も添えます。これは演奏の上手下手より前に、同じ構成を参照するための準備です。
作業や会話の背景では声以外の要素も見る
背景音楽を選ぶときは、歌詞がないことに加え、音量の変化、音の密度、強いアクセントも判断材料になります。インストであれば誰にでも集中しやすい、という一律の効果は言えません。
静かな導入から突然大きな合奏へ移る曲は、鑑賞には魅力があっても、会話を続ける場では音量調整が必要になることがあります。逆に、一定の音量で同じ型が続く曲でも、本人が旋律に注意を向けてしまえば作業の背景にはなりにくいでしょう。「歌なし」を万能な選択基準にせず、実際の活動との組み合わせで考えます。
文章を読む、単純作業をする、対面で話す、といった活動を分けることも役立ちます。同じ人でも、目的によって音楽の存在が気になる程度は変わります。学習への影響を詳しく知りたい場合は、勉強中の音楽を研究から考える記事で、課題や音楽の条件を分けて確認できます。
インストを動画や配信に使うときの権利
歌がない音源にも、曲そのものの権利と録音に関する権利があります。インスト、オフボーカル、BGMという名前は、動画や配信で自由に利用できる許可を意味しません。

楽曲の著作権は、作曲などの創作に関わる権利です。これとは別に、録音を作った音源製作者や演奏者には著作隣接権などが関わります。JASRACの案内も、市販CDやダウンロード音源を動画へ使う場合には、楽曲の手続きとは別に音源製作者などの許諾が必要であると説明しています。歌詞を使わなくても、この区別は残ります。
自分で楽器を演奏して録音したカバーと、市販のInstrumental版をそのまま背景へ入れる場合では、使う録音が違います。自分の演奏なら市販の録音を使っていないという違いはありますが、元の曲の権利まで消えるわけではありません。投稿先のサービス、曲の管理状況、編曲や利用方法によって必要な対応を確認します。
音源配布ページを見るときは、利用できる媒体、収益化を含む商用利用、加工、クレジット表記、再配布の扱いを読みます。「無料ダウンロード」は入手時の費用についての説明であり、用途が無制限であるという意味ではありません。利用条件のURLや許諾文を保存しておくと、後からどの条件で入手した音源なのかを確認できます。
音の役割を聴き分ける道具を選ぶなら
手持ちのイヤホンやスピーカーでもインストの鑑賞は始められます。机で楽器の重なりを繰り返し聴くために有線ヘッドホンを選ぶ場合には、接続端子とコードの長さが具体的な判断材料になります。
audio-technica ATH-M20x|机で聴くための有線モデル
ATH-M20xは、40mmのドライバーを搭載した密閉型の有線ヘッドホンです。コードは3.0m、質量はコードを除いて約190gで、3.5mmと6.3mmのステレオ接続に対応します。ドライバーは音を出す内部の部品を指します。
長いコードは机上の再生機器や楽器へつなぐ際の余裕になりますが、外出時には余りやすくなります。Bluetoothで無線接続する製品ではなく、USB-Cだけの端末へ直接挿すこともできません。端末の音声出力に合う変換機器が必要かを先に確認すると、ヘッドホンだけを買って接続できない事態を避けられます。
向いているのは、有線接続できる機器を持ち、机で音源を聴き比べる人です。通勤中の無線利用を優先する人には別の条件の製品が合います。ここではメーカーの仕様から用途を整理しており、特定の音源が必ず聞き取りやすくなるという試聴結果や、装着感の保証を示しているわけではありません。
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インストゥルメンタルについてのよくある質問
似た言葉を短く確認したい場合は、次の答えから本文の比較へ戻れます。曲の内容と、収録版や用途を分けることが基本です。
インストゥルメンタルとは何ですか?
歌を伴わず楽器で表現する音楽を指します。器楽曲という意味のほか、歌入り作品の歌なし版の名前にも使われます。
インストルメンタルで有名な曲は?
入口の例にDEPAPEPE「START」や久石譲「One Summer’s Day」があります。順位ではなく、編成と演奏者を組にして選びましょう。
「Instrumental」とはどういう意味ですか?
音楽では「器楽の」「歌のない曲」を意味します。英語には「重要な役割を果たす」という別の意味もあり、文脈で区別します。
Instrumentalsの読み方は?
英語の複数形で、カタカナでは「インストゥルメンタルズ」と表せます。曲の一覧などでは複数の器楽曲や歌なし音源を指します。


