ジャズの名曲・スタンダード50選|作曲者・キー・形式つき一覧(セッション定番)

ジャズの名曲・スタンダード50選|作曲者・キー・形式つき一覧(セッション定番) ミュージック

ジャズの名曲・スタンダード50選を、作曲者・キー・形式つきの一覧にまとめました。「曲名は聞いたことがあるけれど、何から覚えればいい?」「セッションで演奏が始まると、今どこにいるか分からなくなる」。そんなあなたが、聴く楽しみから合奏の準備へ進めるように、一曲ごとの練習ポイントも添えています。

スタンダードとは、多くの演奏家に繰り返し取り上げられ、共通のレパートリーになっている曲のことです。映画やミュージカルの歌、ジャズ奏者のオリジナル曲、ブルース、ボサノバなど、出自はさまざま。ここでの50曲は人気順位ではなく、曲の構成やリズムを幅広く学ぶための選曲です。地域やお店、参加者によって定番曲は変わるため、参加予定のセッションの案内も確認してください。

ジャズの名曲・スタンダード50選|作曲者・キー・形式つき一覧(セッション定番)- 小編成のジャズ演奏を、ピアノ・サックス・ベースと演奏者の手元で示す横長の場面

私は、最初から50曲を暗記するより、好きな一曲を最後まで聴き、旋律を歌い、一周の長さを確かめる進め方を勧めます。この一覧は試験範囲ではありません。気に入った曲を見つけて、繰り返し聴けるレパートリーを少しずつ増やすために使ってください。

この記事では、ジャズの名曲・スタンダード50選|作曲者・キー・形式つき一覧(セッション定番)を厳選してご紹介します。

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  1. 一覧の読み方:キーは実音、形式は曲の一周を表す
    1. AABA・ABACと小節数の関係
  2. ジャズの名曲・スタンダード一覧①:まず親しみたい10曲
    1. 1〜10曲の聴きどころ・練習ポイント
  3. ジャズの名曲・スタンダード一覧②:ブルースを軸にした10曲
    1. 11〜20曲の聴きどころ・練習ポイント
  4. ジャズの名曲・スタンダード一覧③:旋律を味わうバラード10曲
    1. 21〜30曲の聴きどころ・練習ポイント
  5. ジャズの名曲・スタンダード一覧④:歌ものと転調を学ぶ10曲
    1. 31〜40曲の聴きどころ・練習ポイント
  6. ジャズの名曲・スタンダード一覧⑤:モード・ラテン・変拍子の10曲
    1. 41〜50曲の聴きどころ・練習ポイント
  7. 小節数で迷いやすい曲は「数字と区切り」で覚える
  8. 初心者が最初の5曲を選び、セッション用に覚える順番
    1. 最初は旋律と一周、その後に和音を確かめる
    2. 即興は「旋律の一か所を変える」から
    3. 一日20分なら、止まった理由を一つ残す
  9. 楽譜と練習道具は、目的と楽器の表記で選ぶ
    1. Hal LeonardのThe Real Book:旋律とコードを調べるための曲集
    2. KORG MA-2:画面を見ながら拍を確かめるメトロノーム
  10. セッション前に共有したい5項目
  11. ジャズ・スタンダードについてよくある質問
    1. 50曲を全部覚えないと参加できませんか?
    2. 動画と楽譜のキーが違うのは間違いですか?
    3. 譜面と録音でコードが違うときは?
    4. 有名な演奏者と作曲者は同じですか?
  12. 好きな一曲を、最後まで聴いて一周をつかもう

一覧の読み方:キーは実音、形式は曲の一周を表す

キーは、曲の中心になる音と、長調・短調などの響きのまとまりです。 以下ではピアノなどで実際に鳴る音、つまり「実音」での代表的な演奏キーを載せています。原曲・初録音の調を統一的に示した一覧ではなく、すべての演奏に当てはまる固定値でもありません。特に歌では、歌い手の声域に合わせてキーを変える移調が普通に行われます。

実音B♭メジャーに対してC楽器・B♭管・E♭管の譜面のキーが異なる対応図

Cはド、Dはレ、Eはミ、Fはファ、Gはソ、Aはラ、Bはシ。 ♭は半音下げる記号です。「メジャー」は長調、「マイナー」は短調を意味します。ブルースは長調・短調の二択では説明しきれない響きを含むので、「Fブルース」のように中心音と種類で表記しました。ドリアンは短調に似た響きを持つ音階の種類で、詳しくは後半で説明します。

テナーサックスやトランペットなどのB♭管、アルトサックスなどのE♭管は、譜面の音名と実際に鳴る音名が違う移調楽器です。たとえば実音B♭メジャーの曲は、B♭管の譜面ではCメジャー、E♭管ではGメジャーになります。オクターブの違いを別にすると、同じ音を鳴らすために異なる音名を読む関係です。表のキーを自分の譜面のキーと直接比べず、「実音か、楽器用の表記か」を確認しましょう。

AABA・ABACと小節数の関係

小節は拍をまとめた単位です。4/4拍子なら通常は四分音符を一拍として四拍で一小節。AやBは旋律・和音のまとまりを区別する目印で、AABAなら「A、A、違うB、A」の順に進みます。Bはブリッジ、またはサビと呼ばれることもありますが、日本のポップスでいう一番盛り上がる場所と必ず一致するわけではありません。

八小節ずつ四区間に分けたAABAとABACを上下で比較する図

標準的な三十二小節のAABAは、八小節ずつを四つ並べた形です。ただしAABAという文字だけでは長さは決まりません。 Doxyは四小節ずつで十六小節、The Girl from IpanemaはBが十六小節で合計四十小節。A′は、最初のAに変化を加えたまとまりを表します。曲の区切り方には分析上の違いもあるので、文字の名称より、実際の譜面で何小節ずつ進むかを大切にしてください。

表の小節数は、原則として前奏・間奏・後奏を除いた、演奏で繰り返す本体の一周です。この一周をコーラスと呼びます。合唱という意味のコーラスとは使い方が異なります。テーマとは曲を特徴づける主なメロディー、ソロとは一人が中心になって即興演奏する部分です。録音全体の長さと、一コーラスの長さは分けて考えましょう。

ジャズの名曲・スタンダード一覧①:まず親しみたい10曲

旋律の親しみやすさ、ほかの曲に応用できる構成、練習のしやすさを入口に選びました。「初心者向け」は、簡単に名演を再現できるという意味ではありません。まずテーマをゆっくり演奏し、一周をつかむ課題として取り組みます。作曲者欄は基本的に作詞者や有名な演奏者と分け、共同名義は併記しています。

ジャズ・スタンダード1〜10
番号・曲名 作曲者 実音キーの例 形式・一周の長さ
1. Autumn Leaves(枯葉) Joseph Kosma(ジョゼフ・コスマ) Gマイナー/Eマイナー 32小節・AABC
2. All of Me Gerald Marks/Seymour Simons Cメジャー 32小節・ABAC
3. Blue Bossa Kenny Dorham(ケニー・ドーハム) Cマイナー 16小節
4. Satin Doll Duke Ellington/Billy Strayhorn Cメジャー 32小節・AABA
5. Take the “A” Train(A列車で行こう) Billy Strayhorn(ビリー・ストレイホーン) Cメジャー 32小節・AABA
6. Fly Me to the Moon Bart Howard(バート・ハワード) Cメジャー(冒頭はAm) 32小節・ABAC
7. Days of Wine and Roses(酒とバラの日々) Henry Mancini(ヘンリー・マンシーニ) Fメジャー 32小節・ABAC
8. There Will Never Be Another You Harry Warren(ハリー・ウォーレン) E♭メジャー 32小節・ABAC
9. Just Friends John Klenner(ジョン・クレナー) Gメジャー/Fメジャー 32小節・ABAC
10. On the Sunny Side of the Street(明るい表通りで) Jimmy McHugh(ジミー・マクヒュー) Cメジャー 32小節・AABA

1〜10曲の聴きどころ・練習ポイント

1. Autumn Leaves(枯葉)
長調と短調の響きを行き来する流れを聴く入口です。前半だけ覚えて安心せず、後半の旋律が変わる場所を歌って確認しましょう。同じ曲でも二つのキーが使われるので、伴奏音源を選ぶ前に調を見てください。

2. All of Me
広く親しまれる歌ものの一曲。大きく動くメロディーをまずゆっくり口ずさみ、音と音の距離を覚えます。前半と後半では結びが違うため、二つの終わり方を区別すると、一周の途中で迷いにくくなります。

3. Blue Bossa
短い一周の中に、別の調へ移る転調が含まれます。中間のD♭メジャーの響きを目印にして、元の調へ帰る感覚をつかみましょう。ボサノバ系の伴奏に対して、旋律まで強く跳ねさせすぎないことも課題です。

4. Satin Doll
似たリズムの短いまとまりを聴き比べやすい曲。コードが変わるたびに指を慌てて動かすより、メロディーのまとまりがどこへ向かうかを感じてみてください。最後のAへ戻る直前を伴奏と一緒に確かめます。

5. Take the “A” Train(A列車で行こう)
デューク・エリントン楽団で親しまれた曲ですが、作曲者はストレイホーンです。明るい旋律の中で少し緊張感が増す音を聴き取り、全部の音を同じ強さにせず、フレーズの山を一つ作ってみましょう。

6. Fly Me to the Moon
冒頭のコードがAmでも、曲全体のキーをCメジャーとして扱う例があります。最初の和音だけで調を決めない練習に向きます。ここでは4拍子の演奏を想定していますが、原曲の3拍子との違いも確認しましょう。

7. Days of Wine and Roses(酒とバラの日々)
明るさの中に和音の細かな変化がある曲です。長く伸びる音を、次の小節へ急いで進めないように練習します。前半と後半で似た旋律が出てきても、その先の進み方は同じとは限らない点を意識してください。

8. There Will Never Be Another You
長いメロディーの流れを保ったまま、和音の移り変わりを追う練習に使えます。八小節ずつ区切って歌い、区切りの頭を目印にしましょう。速い演奏をまねる前に、自分が一周を止まらず弾ける速さを選びます。

9. Just Friends
キーの中心となる和音から始まるとは限らないことが分かる曲です。最初のコード名だけ見て曲の調を伝えると食い違うことがあります。演奏前には「実音でG」などと共有し、最後の落ち着き先まで聴きましょう。

10. On the Sunny Side of the Street(明るい表通りで)
歌うようなフレーズと、軽やかな拍の乗り方を楽しめます。曲名の印象だけで速くせず、旋律を落ち着いて言い切れるテンポから始めましょう。伴奏を聴きながら、長い音の後にも同じ拍を保つ練習ができます。

ジャズの名曲・スタンダード一覧②:ブルースを軸にした10曲

十二小節ブルースは、短い一周の中でテーマと即興のつながりを体験できる形式です。四小節ずつ三つのまとまりとして聴くと、現在位置をつかみやすくなります。ただし同じキーと小節数でも、曲によって和音やテーマの終わり方は異なります。Footprintsは三拍系の数え方が関わるため、ほかの九曲と拍子を分けて確認してください。

十二個の枠を四個ずつ三段に並べて一周を数える構造図
ジャズ・スタンダード11〜20
番号・曲名 作曲者 実音キーの例 形式・一周の長さ
11. Freddie Freeloader Miles Davis(マイルス・デイヴィス) B♭ブルース 12小節ブルース
12. Blue Monk Thelonious Monk(セロニアス・モンク) B♭ブルース 12小節ブルース
13. Bag’s Groove Milt Jackson(ミルト・ジャクソン) Fブルース 12小節ブルース
14. Now’s the Time Charlie Parker(チャーリー・パーカー) Fブルース 12小節ブルース
15. Billie’s Bounce Charlie Parker(チャーリー・パーカー) Fブルース 12小節ブルース
16. Straight, No Chaser Thelonious Monk(セロニアス・モンク) Fブルース/B♭ブルース 12小節ブルース
17. Sandu Clifford Brown(クリフォード・ブラウン) E♭ブルース 12小節ブルース
18. Tenor Madness Sonny Rollins(ソニー・ロリンズ) B♭ブルース 12小節ブルース
19. Au Privave Charlie Parker(チャーリー・パーカー) Fブルース 12小節ブルース
20. Footprints Wayne Shorter(ウェイン・ショーター) Cマイナー 6/4で12小節/3/4で24小節

11〜20曲の聴きどころ・練習ポイント

11. Freddie Freeloader
同じ十二小節でも、終盤の和音の扱いが汎用のブルース伴奏と異なる点に耳を向けたい曲です。手持ちの伴奏を何となく流すより、曲用の譜面と音源を合わせて確認すると、曲固有の表情を残せます。

12. Blue Monk
半音ずつ動く旋律が耳に残り、一周を追う目印になります。指の形だけを覚えると拍が崩れやすいので、まず旋律を歌ってから楽器に移します。テーマの最後から次の一周の頭へ、自然に戻れることを目標にします。

13. Bag’s Groove
繰り返される短い音型をリフと呼びます。この曲ではリフの音だけでなく、休む長さも覚えるのが近道です。弾かない間も拍を数え、次の入り口で伴奏と合うかを録音して確かめてみましょう。

14. Now’s the Time
リフを手がかりに、テーマと即興のつながりを体験できます。初めは元の旋律から一か所だけリズムを変え、次の一周では元へ戻します。毎回すべてを変えようとしない方が、現在位置を保ちやすくなります。

15. Billie’s Bounce
同じFブルースでも、細かな旋律を拍の中に収める課題が増えます。音が多い場所だけ速度を落として、前後の小節とつなげて練習しましょう。最後まで行けたら、テーマを二周続けても走らないか確認します。

16. Straight, No Chaser
繰り返す音型の位置がずれて聞こえる面白さがあります。耳に強く残る音が必ず小節の頭とは限りません。旋律に引っ張られて数え直さず、一定の拍の上に置く練習をすると、リズムの遊びを楽しめます。

17. Sandu
FやB♭以外でもブルースを演奏する入口になります。キーが変わると指づかいは変わりますが、一周の位置関係は共通です。好きな短い音型をE♭へ移し、移す前後で同じリズムを保てるか比べましょう。

18. Tenor Madness
短い呼びかけと応答を意識して、相手の音を聴く練習ができます。一人でも四小節のフレーズを録音し、次の四小節で答えてみましょう。音数を増やすことより、同じ長さの中で受け渡せることを優先します。

19. Au Privave
ブルースの枠の中で、細かな旋律の運びを学ぶ曲です。難しい部分を一音ずつ確かめた後は、必ず前の小節からつなげます。弾けない場所の直前で毎回止まる練習だけにしないことが、通し演奏につながります。

20. Footprints
繰り返す低音と三拍系の流れが特徴です。譜面の拍子によって小節数が変わるため、十二小節という数字だけで共有しないようにします。採用する録音と譜面をそろえ、どこで一周が終わるかを確認してください。

ジャズの名曲・スタンダード一覧③:旋律を味わうバラード10曲

バラードは、ゆったりしたテンポで旋律や響きを味わう演奏のことです。曲そのものに一つのテンポが固定されているわけではなく、同じ曲が速いスウィングで演奏されることもあります。以下は落ち着いた演奏で親しみたい選曲。速い指の動きが少なくても、長い音の間で拍を保ち、伴奏と呼吸を合わせる難しさがあります。

ジャズ・スタンダード21〜30
番号・曲名 作曲者 実音キーの例 形式・一周の長さ
21. Misty Erroll Garner(エロール・ガーナー) E♭メジャー 32小節・AABA
22. Body and Soul Johnny Green(ジョニー・グリーン) D♭メジャー 32小節・AABA
23. My Funny Valentine Richard Rodgers(リチャード・ロジャース) Cマイナー 36小節・AABA′
24. Stella by Starlight(星影のステラ) Victor Young(ヴィクター・ヤング) B♭メジャー 32小節・ABCA′
25. The Nearness of You Hoagy Carmichael(ホーギー・カーマイケル) Fメジャー 36小節・AABA′
26. My One and Only Love Guy Wood(ガイ・ウッド) Cメジャー 32小節・AABA
27. Polka Dots and Moonbeams Jimmy Van Heusen(ジミー・ヴァン・ヒューゼン) Fメジャー 32小節・AABA
28. I Can’t Get Started Vernon Duke(ヴァーノン・デューク) Cメジャー 32小節・AABA
29. In a Sentimental Mood Duke Ellington(デューク・エリントン) Dマイナー/Fメジャーを中心に 32小節・AABA
30. Darn That Dream Jimmy Van Heusen(ジミー・ヴァン・ヒューゼン) Gメジャー 32小節・AABA

21〜30曲の聴きどころ・練習ポイント

21. Misty
ゆったりした旋律を美しくつなぎたい曲です。遅いテンポでは拍の間隔が広がるため、音を伸ばしている間に拍を見失うことがあります。心の中で細かく数えながら、語尾にあたる音を丁寧に終えましょう。

22. Body and Soul
途中で調の景色が大きく変わるバラードです。B部分だけを独立して覚え、最後のAへ戻るつながりを練習すると整理できます。D♭とC♯は同じ高さを表せますが、ここでは読みやすいD♭表記に統一します。

23. My Funny Valentine
最後のまとまりが長くなる形を先に把握すると安心です。三十二小節で終わるつもりで次の人に渡さず、残りの四小節まで数えます。低音の動きと旋律を別々に聴くと、静かな曲の中の変化が見つかります。

24. Stella by Starlight(星影のステラ)
同じメロディーの単純な反復だけでは追いにくい曲です。八小節ごとの入り口を四つの目印として覚え、和音の変化と旋律を結び付けましょう。バラードにもスウィングにもなるため、速さと雰囲気を共有します。

25. The Nearness of You
息の長い旋律を歌うように演奏できます。最後のAが十二小節になる形では、終わりを急がないことが大切です。伴奏者と最後の着地点を確認し、長い音に入った後も残りの拍を聴く習慣をつけましょう。

26. My One and Only Love
音域が広い旋律なので、曲の一番高い音と低い音を先に確かめます。歌う場合は定番キーに無理に合わせず、自分の声で自然に届く調を選びましょう。楽器でも、難しい跳躍を滑らかにつなぐ練習になります。

27. Polka Dots and Moonbeams
柔らかなメロディーの中で、B部分の響きの変化を聴き取ります。指を覚えるだけでなく、Aとの気分の違いを言葉にすると記憶に残ります。伴奏を小さめに流し、旋律の音の終わりまで自分で支えてみましょう。

28. I Can’t Get Started
ゆっくりとした演奏で、メロディーの入り方や間の置き方を味わえます。音源の自由な歌い回しをいきなり再現せず、まず拍に沿った形で一周を覚えます。その後で、伴奏の拍を保ちながら表情を加えてください。

29. In a Sentimental Mood
短調の陰りと長調の明るさを聴き分けたい曲です。途中のB部分ではさらに響きが変わるので、冒頭の調だけで全体を説明しきろうとしません。テーマを歌いながら、どこで景色が変わるか印を付けましょう。

30. Darn That Dream
和音が細かく移る中で、旋律の長い線を保つ課題があります。コード名を一つずつ追って呼吸が途切れるときは、四小節単位にまとめてみます。音の多い伴奏よりも、少ない音で着地点を感じる練習から始めます。

ジャズの名曲・スタンダード一覧④:歌ものと転調を学ぶ10曲

転調とは、曲の途中で中心となる調が変わることです。別の和音が出るたびに必ず転調するわけではありませんが、まとまりの中で落ち着き先が変わることを聴き取れると、長い曲を覚えやすくなります。表では出発点や代表的なキーを示し、途中のすべての調を列挙する代わりに、気を付けたい構成を添えました。

ジャズ・スタンダード31〜40
番号・曲名 作曲者 実音キーの例 形式・一周の長さ
31. All the Things You Are Jerome Kern(ジェローム・カーン) A♭メジャーを中心に転調 36小節・8+8+8+12
32. Alone Together Arthur Schwartz(アーサー・シュワルツ) Dマイナー 44小節・14+14+8+8
33. Beautiful Love Victor Young/Wayne King/Egbert Van Alstyne Dマイナー 32小節・ABAC
34. But Not for Me George Gershwin(ジョージ・ガーシュウィン) E♭メジャー 32小節・ABAC
35. Softly, as in a Morning Sunrise(朝日のようにさわやかに) Sigmund Romberg(シグマンド・ロンバーグ) Cマイナー 32小節・AABA
36. Have You Met Miss Jones? Richard Rodgers(リチャード・ロジャース) Fメジャー 32小節・AABA
37. What Is This Thing Called Love? (恋とは何でしょう) Cole Porter(コール・ポーター) Cメジャー 32小節・AABA
38. Someday My Prince Will Come(いつか王子様が) Frank Churchill(フランク・チャーチル) B♭メジャー 32小節・ABAC/3拍子
39. It Could Happen to You Jimmy Van Heusen(ジミー・ヴァン・ヒューゼン) E♭メジャー 32小節・ABAC
40. I’ll Remember April(四月の思い出) Gene de Paul(ジーン・デ・ポール) Gメジャー 48小節・ABA(各16小節)

31〜40曲の聴きどころ・練習ポイント

31. All the Things You Are
調が次々と移り、最後の区間が長い曲です。最初の和音はFmでも、曲のキーはA♭として共有することが多い点にも注意します。三十二小節で機械的に戻らず、最後の十二小節の旋律を独立して覚えましょう。

32. Alone Together
十四小節のまとまりが二回続くため、八小節ずつの思い込みで数えると迷います。テーマを聴きながら一周を紙に区切り、長いA部分の終わりに目印を置きます。慣れるまでは速さよりも区切りの一致を優先します。

33. Beautiful Love
短調の流れと、前半・後半の結びの違いを聴く曲です。最後の八小節から冒頭へ戻る練習を加えると、ソロを続けやすくなります。作曲者の共同名義を一人の演奏家名と混同しないように記録しておきましょう。

34. But Not for Me
同じ曲でもテンポや伴奏の雰囲気によって印象が変わります。まず旋律が追いやすい演奏を選び、別の演奏と同じ部分を聴き比べましょう。和音を大きく置き換えた版もあるため、使う譜面との対応を確かめます。

35. Softly, as in a Morning Sunrise(朝日のようにさわやかに)
短調のAと、明るさが増すBの対比を意識できます。同じAが続くところで今が一回目か二回目かを見失わないよう、八小節の大きなまとまりを数えましょう。BからAへ戻る境目を耳でつかむのも有効です。

36. Have You Met Miss Jones?
B部分で調が遠くへ移る感覚を学べます。全曲を同じ音階だけで弾こうとせず、Bの中の着地点をゆっくり確かめましょう。Aが弾けるからと速いテンポを選ばず、Bも含めて止まらない速さに設定します。

37. What Is This Thing Called Love? (恋とは何でしょう)
長調と短調に関わる和音の響きを聴き分ける練習になります。似たコード記号を見落とさず、特に短調側の緊張感を耳で確かめましょう。速い演奏が魅力でも、最初は旋律を省略せず弾けるテンポが適しています。

38. Someday My Prince Will Come(いつか王子様が)
一小節が三拍で進むジャズ・ワルツの入口です。四拍子の癖で一拍付け足さないよう、伴奏と一緒に三拍を歩く感覚を作ります。三十二小節という長さは同じでも、一周に含まれる拍数は四拍子と異なります。

39. It Could Happen to You
似た出だしから違う終わり方へ進む形を耳で覚えたい曲です。前半だけを繰り返す練習に偏らず、後半の入り口からも弾き始めます。途中から再開できる場所を増やすと、合奏で迷ったときにも戻りやすくなります。

40. I’ll Remember April(四月の思い出)
一周が長く、AとBはそれぞれ十六小節あります。AABAの各八小節という習慣を持ち込まないことが大切です。長調と短調の響きの変化を手がかりに、一周を三つの大きな区間として追ってみましょう。

ジャズの名曲・スタンダード一覧⑤:モード・ラテン・変拍子の10曲

モードは音階の種類を指し、モードを軸にしたジャズでは、細かな和音の連続だけでなく、一つの響きの中で旋律を展開する面白さを味わえます。ラテンはここではボサノバやカリプソなどを含めた広い整理で、それぞれのリズムは同一ではありません。変拍子は五拍子など、慣れた四拍子や三拍子とは違う拍のまとまりです。

So Whatの三十二小節をDドリアンとE♭ドリアンの四区間で示す図
ジャズ・スタンダード41〜50
番号・曲名 作曲者 実音キーの例 形式・一周の長さ
41. So What Miles Davis(マイルス・デイヴィス) Dドリアン/B部分はE♭ドリアン 32小節・AABA
42. Impressions John Coltrane(ジョン・コルトレーン) Dドリアン/B部分はE♭ドリアン 32小節・AABA
43. Song for My Father Horace Silver(ホレス・シルヴァー) Fマイナー 24小節・AAB
44. Recorda Me Joe Henderson(ジョー・ヘンダーソン) Aマイナーを起点に転調 16小節
45. St. Thomas Sonny Rollins(ソニー・ロリンズ) Cメジャー 16小節
46. Oleo Sonny Rollins(ソニー・ロリンズ) B♭メジャー 32小節・AABA/リズム・チェンジ
47. Doxy Sonny Rollins(ソニー・ロリンズ) B♭メジャー 16小節・AABA(各4小節)
48. A Night in Tunisia(チュニジアの夜) Dizzy Gillespie/Frank Paparelli(共同名義) Dマイナー 本体32小節・AABA、別に間奏
49. The Girl from Ipanema(イパネマの娘) Antônio Carlos Jobim(アントニオ・カルロス・ジョビン) Fメジャー/D♭メジャー 40小節・AABA(8+8+16+8)
50. Take Five Paul Desmond(ポール・デスモンド) E♭マイナー テーマ24小節・ABA/5拍子

41〜50曲の聴きどころ・練習ポイント

41. So What
和音の数が少ないからこそ、音の長さや間がよく聞こえます。途中で半音上へ移る八小節を目印にします。伴奏があまり動かなくても一周の数え方は続いているので、自由に吹く時間と無制限の時間を混同しません。

42. Impressions
So Whatと同じ調の配置を使う一方で、旋律と演奏の勢いは別の魅力があります。共通するのは枠組みであり、テーマまで同じではありません。まずゆっくりと区切りを追い、速い録音との違いを楽しみましょう。

43. Song for My Father
八小節のAが二回、その後にBが一回という一周です。慣れたAABAに自動的に戻してしまわないよう、二十四小節で次へ進むことを確認します。繰り返す低音を聴きながら、旋律の入り方を落ち着いて合わせます。

44. Recorda Me
冒頭の落ち着いた和音のまとまりから、後半は移り変わりが増えます。前半と後半を別々に練習してからつなぐと、変化を把握しやすくなります。短い曲だから簡単と決めず、後半の着地点を先に確認しましょう。

45. St. Thomas
カリブ地域の伝承旋律を背景に持つ、カリプソの軽やかさを楽しむ曲です。録音や合奏の取り決めでテーマとソロのリズムが変わることもあります。旋律を覚えた後、伴奏のリズムをよく聴いて一緒に進みましょう。

46. Oleo
I Got Rhythmに由来する和音の枠組みを使う曲です。B部分とA部分で和音の動き方が違うので、まずそこを聴き分けます。速いテーマに取り組む前に、少ない音で三十二小節を一周できることを確かめましょう。

47. Doxy
ブルースらしい雰囲気でも、一周は十二小節ではありません。AABAの文字が同じでも、一つの区間が四小節という違いがあります。曲名、キー、形式の三つをセットで覚える必要性を実感できる一曲です。

48. A Night in Tunisia(チュニジアの夜)
AとBでリズムの雰囲気が切り替わり、テーマ後には間奏やブレイクが加わる演奏があります。ブレイクとは伴奏が一時止まる場面です。本体の小節数だけ覚えて始めず、どの版で演奏するかを先に相談します。

49. The Girl from Ipanema(イパネマの娘)
B部分が十六小節あるため、いつもの八小節でAへ戻らないようにします。歌入りの録音と楽器中心の演奏ではキーが違う場合があります。どの録音も同じ調だと思わず、練習前に音の高さを確かめましょう。

50. Take Five
デイヴ・ブルーベックの演奏で知られますが、作曲者はデスモンドです。五拍を三拍と二拍のまとまりで感じる練習から始めます。ソロで短い伴奏型を繰り返す版もあるので、テーマの形式と区別して打ち合わせます。

小節数で迷いやすい曲は「数字と区切り」で覚える

曲を聴くたびに一から小節を数えるだけでは、途中で旋律に気を取られて迷いやすくなります。まず、曲全体の区切りをメモしてみましょう。特に次の六曲は、三十二小節の思い込みを外す練習に役立ちます。

十六〜四十八小節の六曲を、小節数の足し算で比較する一覧図
  • Doxy:4+4+4+4=16小節。AABAでも各部分が短い。
  • Song for My Father:8+8+8=24小節。AABで一周する。
  • All the Things You Are:8+8+8+12=36小節。最後が四小節長い。
  • The Girl from Ipanema:8+8+16+8=40小節。B部分が長い。
  • Alone Together:14+14+8+8=44小節。冒頭の二つの区間を八小節と決め付けない。
  • I’ll Remember April:16+16+16=48小節。三つの大きなまとまりで追う。

Footprintsの「6/4で十二小節」と「3/4で二十四小節」は、四分音符で数えた一周の長さをそろえた表記です。小節線の引き方が違うため、小節数だけ比べると倍に見えます。Take Fiveでは、二十四小節のテーマの後に短い伴奏型を繰り返すソロへ進む構成もあります。テーマの長さを、そのまますべてのソロの長さだと思わないようにしましょう。

A Night in Tunisiaの間奏や、All the Things You Areの前奏なども、曲本体とは分けて相談します。「三十六小節の曲だから、録音の一音目から三十六小節で一周」と数えると、前奏の分だけずれてしまいます。最初はテーマが始まる位置から数え、分かるようになったら前奏とのつながりも確認してください。

初心者が最初の5曲を選び、セッション用に覚える順番

何から始めるか迷ったら、Blue Monk、Blue Bossa、Autumn Leaves、All of Me、Satin Dollを候補にしてみてください。ブルース、十六小節、短調を含む歌もの、ABAC、AABAを少しずつ経験できます。好みの曲が別にあるなら、その曲から始めて構いません。すべての会場でこの五曲が演奏されるという保証ではなく、練習内容が偏らない組み合わせです。

聴く・歌う・一周弾く・短い即興・録音確認の五段階を並べた練習手順図

最初は旋律と一周、その後に和音を確かめる

一曲を選んだら、旋律が聞き取りやすい録音を一つ決めます。まず楽器を持たずに最後まで聴き、テーマが何回出てくるかを確認。次に、テーマを口ずさみながら手で拍を刻み、八小節などの区切りに小さく印を付けます。歌詞を覚える必要はなく、声にしにくい場合は頭の中で旋律を追うだけでも構いません。

楽器に移ったら、テンポを落としてテーマを一周。ピアノやギターなら、伴奏は少ない音からで十分です。ベースなら和音の土台になる根音、管楽器なら旋律の出だしと区切りを確かめます。ドラムでは音程を弾く代わりに、テーマを頭の中で歌いながら区間が変わる場所を追います。全員に共通する目標は、次にどこへ進むか分かることです。

和音が難しいときは、ツー・ファイブ・ワンと呼ばれるよく使われる流れを探します。これは調の二番目・五番目・一番目を土台にした和音の並びで、CメジャーならDm7、G7、Cmaj7が基本例です。コード記号を機械的に置き換えるのではなく、緊張した響きが落ち着く感覚を聴きます。各曲の和音をすべてこの三つに省略してよい、という意味ではありません。

即興は「旋律の一か所を変える」から

即興演奏は、その場で音やリズムを選んで音楽を作ることです。最初から知らないフレーズを大量に弾こうとせず、テーマの一か所を長く伸ばす、リズムを少し変える、短い音型に答える、など一つの変化に絞ります。短い音型をモチーフと呼びます。同じモチーフを少し変えて繰り返すだけでも、聴き手に流れが伝わります。

So Whatで使うDドリアンは、レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドという音の並びです。Dナチュラルマイナーのシ♭とは違い、シが含まれるのが特徴。B部分では全体を半音上げたE♭ドリアンの響きへ移ります。音階を上り下りするだけで終わらず、同じ二、三音でも長さと休符を変えてみてください。休符とは音を出さずに間を作ることです。

一日20分なら、止まった理由を一つ残す

たとえば「聴く4分、テーマ6分、和音と区切り5分、短い即興3分、録音確認2分」で二十分です。時間は目安なので、難しい日はテーマに多く配分します。録音で全部の失敗を探すより、「二回目のAの終わりで迷った」「長い音の後で走った」のように一つだけ書き、翌日の練習場所を決めましょう。

仕上がりの確認は、速さの数字だけでは決めません。テーマを二周続ける、途中の区切りから再開する、最後の四小節から冒頭へつなぐ、この三つを試してください。最初からしか弾けない曲は、合奏で迷ったときに復帰しにくいからです。譜面を見てよい場では、無理に暗譜を優先せず、音を聴く余裕を作る方法を選びます。

楽譜と練習道具は、目的と楽器の表記で選ぶ

練習に必要なのは、使う版が分かる譜面と、一定の拍を確認できる環境です。教材や機器を増やす前に、自分の楽器に合う表記か、目当ての曲が含まれるかを確認しましょう。ここでは役割が異なる二つの製品を具体例として挙げます。価格や在庫は変動するため記載していません。

Hal LeonardのThe Real Book:旋律とコードを調べるための曲集

The Real Book – Volume I – Sixth EditionのC Instruments版は、旋律とコード記号をまとめたリードシート形式の曲集です。多くの曲を一冊で参照できる点が利点ですが、初心者向けの運指説明や、ピアノの完成した両手伴奏が各曲に付いた教材ではありません。この記事の五十曲がすべてこの一冊に載っているという意味でもないため、収録曲一覧と版を確認してください。

B♭管・E♭管では対応版を選ぶと読みやすくなります。一方、実音の理論を確認する目的でC版を使う人もいます。表紙に同じReal Bookとあっても、巻数、版、対象楽器、オンライン音源の有無が違う場合があります。商品検索の結果では、この条件を一つずつ見てください。

Hal Leonard The Real Book Volume I(Sixth Edition・C Instruments)

KORG MA-2:画面を見ながら拍を確かめるメトロノーム

KORG MA-2は一定の間隔で音を鳴らすメトロノームです。楽器の横に置いて使え、スマートフォンの通知に気を取られず拍の練習に集中したい場合に向きます。一方で、曲のコードに沿ってピアノやベースの伴奏を作る機器ではありません。曲の和音を聴きながら練習する用途には、別に伴奏音源などが必要です。

まずは一拍ごとに鳴らし、長い音や休符の間も拍を保てるか確認します。慣れたらクリックを二拍目・四拍目に感じる練習もできますが、数え方が崩れるうちは一拍ずつへ戻して構いません。スマートフォンのメトロノームで目的を満たせているなら、専用機は必須ではありません。

KORG メトロノーム MA-2

セッション前に共有したい5項目

セッションは、その場の参加者が曲や進め方を相談して合奏する機会です。曲名だけ言って始めるより、キー、テンポとリズム、入り方、ソロの進め方、終わり方を共有すると安心できます。初参加では受付や進行役に、参加方法、譜面の扱い、演奏できる曲を先に伝えましょう。

キー・テンポとリズム・入り方・ソロ・終わり方を五つの確認欄にした図
  • キー: 「Autumn Leavesを実音Gマイナーで」のように伝える。歌の場合は声域に合う調を優先する。
  • テンポとリズム:速さを軽く歌うか拍を示し、スウィング、ボサノバ、三拍子などを確認する。
  • 入り方:前奏を付けるか、数えてテーマから始めるか、誰が旋律を担当するかを決める。
  • ソロ:演奏する順番とおおよその長さを確認し、次の人へ渡す合図をそろえる。
  • 終わり方:テーマへ戻る合図、最後の繰り返し、全員で止まる位置を相談する。

「Blue Bossaを実音Cマイナー、落ち着いた速さのボサノバで。前奏なしでテーマを一周、ソロの後にテーマへ戻って最後は合図で終わる」といった共有例なら、演奏の道筋を一緒に確認できます。ただし、この進め方が全セッション共通の規則というわけではありません。その場の進行役の案内を優先してください。

途中で場所を見失うことを「ロストする」と呼びます。起きたら音数を減らし、ベースや伴奏、主旋律の区切りを聴きます。分からないまま音を重ねるより、分かる入り口まで休む方が戻りやすいこともあります。復帰できなければ合図で助けを求め、終わってからどこで迷ったかを記録しましょう。

ジャズ・スタンダードについてよくある質問

50曲を全部覚えないと参加できませんか?

必要曲数は会場や企画によります。初心者向けの回や課題曲が決まっている回なら、指定された曲を準備する方が大切です。まず案内を読み、見学できるか確認して雰囲気を知るのも一つの方法。知っている曲が少ないときは、演奏できる曲とキーを正直に伝えてください。

動画と楽譜のキーが違うのは間違いですか?

間違いとは限りません。移調、歌い手の声域、楽器用の譜面表記、編曲の違いが考えられます。Autumn LeavesのGマイナーとEマイナーのように、複数のキーが使われる曲もあります。伴奏と合わせるときは、その録音が実際に鳴っている調へそろえましょう。

譜面と録音でコードが違うときは?

演奏者が和音を置き換えるリハーモナイズや、版の違いが考えられます。一方で転記の誤りもあり得るので、違いをすべて編曲のせいにはできません。採用する譜面と参考録音を絞り、先生や共演者と問題の小節を確認してください。異なる版を無意識に混ぜないことが大切です。

有名な演奏者と作曲者は同じですか?

一致する場合もありますが、別の人であることも多くあります。Take Fiveはポール・デスモンド、Take the “A” Trainはビリー・ストレイホーンの曲です。歌ものでは作曲者と作詞者も別の場合があります。曲を記録するときは、曲名・作曲者・参考にした演奏者を別の欄にすると混同を防げます。

好きな一曲を、最後まで聴いて一周をつかもう

ジャズの名曲は、同じ曲でも演奏者や編成によって違う表情を見せます。この五十曲から気になった一曲を選び、まずはテーマを最後まで聴いてみてください。曲名だけでなく、作曲者、実音のキー、一周の小節数を一緒にメモすると、次の練習につながります。

今日の目標は「一曲選ぶ」「テーマを口ずさむ」「一周の区切りを確かめる」の三つで十分です。そこから少ない音で和音を感じ、短い即興を試し、人と合わせる準備へ進みましょう。自分の好きな曲を共通の言葉にして、誰かと一緒に演奏できることが、スタンダードを覚える楽しみです。

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