モニターヘッドホンを選ぶなら、まず伴奏を聴きながらマイクで録音するか、静かな部屋で音を編集するかを分けましょう。前者は密閉型、後者は開放型も候補です。ここでは8機種の実売価格・重さ・接続・付属品をそろえて比べ、使う場所に合う候補へ絞ります。
モニターヘッドホン8機種の価格・仕様比較
今回の8機種では、費用を抑えて密閉型を用意するならATH-M20x、短い着脱ケーブルと軽さを両立するならMDR-M1が候補です。開放型はMDR-MV1、HD 490 PRO、DT 1990 PRO MK IIの3機種。以下は音質順位ではなく、購入条件の比較です。
参考価格はサウンドハウスの商品詳細ページにある新品・税込表示です。ポイントやクーポンを差し引かず、送料や追加部品は含めていません。Amazon欄は別の販売情報で、新品・中古などの出品条件は各商品ページで異なります。「価格未取得」は0円ではありません。
| モデル | 構造 | 参考価格(税込) | Amazon取得価格 | 重量※ | ケーブル |
|---|---|---|---|---|---|
| audio-technica ATH-M20x | 密閉 | 8,800円 | 価格未取得 | 190g | 固定・3m直線 |
| SONY MDR-CD900ST | 密閉 | 19,800円 | 価格未取得 | 200g | 固定・2.5m直線 |
| beyerdynamic DT 770 PRO(80Ω) | 密閉 | 28,800円 | 価格未取得 | 270g | 固定・3m直線 |
| YAMAHA HPH-MT8 | 密閉 | 32,800円 | 価格未取得 | 350g | 着脱・3m直線/1.2mコイル |
| SONY MDR-M1 | 密閉 | 38,800円 | 価格未取得 | 216g | 着脱・1.2m/2.5m直線 |
| SONY MDR-MV1 | 開放 | 55,800円 | 価格未取得 | 223g | 着脱・2.5m直線 |
| Sennheiser HD 490 PRO | 開放 | 63,657円 | 価格未取得 | 260g | 着脱・1.8m直線 |
| beyerdynamic DT 1990 PRO MK II | 開放 | 97,460円 | 価格未取得 | 376g | 着脱・3m直線/5mコイル |
例えば本体予算が1万円なら、参考価格ではATH-M20xが収まります。3万5千円まで広げるとCD900ST・DT 770 PRO・HPH-MT8も候補になりますが、3.5mm接続のしやすさやケーブルの着脱は同じではありません。価格だけで決めず、次の個別紹介で条件を満たす機種へ絞ってください。
録音にも使うなら:密閉型5機種の違い
密閉型の5機種は、ケーブルを外せるかどうかで使い勝手が分かれます。ケーブルを外せない3機種と、収納や交換時に外せるMDR-M1・HPH-MT8を分けて比較すると選びやすくなります。
ATH-M20x|1万円以内で用意する軽量な固定式
ATH-M20xは約190gで、今回の8機種では最も軽いモデルです。3.5mmのステレオミニプラグと6.3mmへの変換に対応し、3mのケーブルで机の下に置いた機器にも届かせやすい構成です。
予算を抑え、決まった机で使う最初の1本に向きます。一方、卓上の機器まで数十cmしかない場合は3mの余りを置く場所が必要です。ケーブルを外して持ち運びたい人は、固定式の本機より着脱式の2機種を候補に残しましょう。
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MDR-CD900ST|6.3mm出力と共同作業先に合わせる
MDR-CD900STは約200g、2.5mの固定ケーブルを備えた密閉型です。先端は太い6.3mmの標準ステレオプラグで、3.5mm端子だけのパソコンへはそのまま挿せません。
録音スタジオや共同作業の相手が同じ機種を使っており、同じヘッドホンで聴こえ方を確認したい場合に選ぶ理由があります。修理窓口はソニー・ミュージックソリューションズで、無償修理期間は設けられていません。3.5mm出力へ直接つなぐ便利さを優先するなら、ATH-M20xやMDR-M1を比較対象にしてください。
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DT 770 PRO(80Ω)|布地のパッドを選びたい固定式
ここで扱うDT 770 PROは80Ω仕様です。約270g、3mの固定ストレートケーブル、グレーのベロアパッドという組み合わせで、パッドは交換できます。ベロアは毛足のある布地です。
合皮のパッドとは違う肌触りを試したい人の候補になります。ただし、同じDT 770 PROにも32Ω・250Ωがあり、32Ω版はパッド素材も異なります。商品名だけでなく「80Ω」を照合することが大切です。着脱式ケーブルの別モデルとも取り違えないようにしてください。
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HPH-MT8|コイルと直線を使い分ける着脱式
HPH-MT8には、3mのストレートケーブルと1.2mのコイルケーブルが付属します。耳を覆う部分が動き、片耳だけで音を確認する使い方にも対応します。
長い直線ケーブルと、ばね状のケーブルを標準付属品で使い分けたい人に適しています。本体は約350gで、折りたたんで付属のポーチへ収納できます。録音場所へ持ち出す予定があるなら、机上での使い勝手に加えて収納方法も比較できます。
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MDR-M1|短いケーブルで机上を整理したい人に
MDR-M1は約216gで、1.2mと2.5mの着脱式ストレートケーブルが付属します。3.5mmプラグと6.3mmへの変換に対応するため、机上の機器には短い方、少し離れた接続先には長い方を選べます。
ATH-M20xの固定3mケーブルでは余りが気になる、HPH-MT8より軽い着脱式が欲しい、という条件に合うモデルです。参考価格ではHPH-MT8との差が6,000円あります。短い直線ケーブルと134gの軽量化に予算を割くかで比較できます。
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静かな部屋で使うなら:開放型3機種の違い
開放型3機種は、軽さならMDR-MV1、2種類のパッドを使いたいならHD 490 PROとDT 1990 PRO MK IIが比較候補です。価格が高い順に自分へ合うわけではなく、装着と付属品の違いで絞れます。
MDR-MV1|223gの軽さを優先する開放型
MDR-MV1は約223gで、開放型3機種の中では最も軽量です。2.5mの着脱式ケーブルを備え、6.3mm標準プラグから3.5mmミニプラグへつなぐ変換ケーブルが付属します。
ソニーは立体音響やステレオ音源の制作を用途に挙げています。立体音響専用ではなく、通常の2チャンネルの音楽制作にも選べます。開放型を導入しつつ本体の重さを抑えたい人は、まず試着する候補にできます。
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HD 490 PRO|2種類のパッドと1.8mケーブル
HD 490 PROは約260gで、制作用とミックス用の2組のパッドが付属します。ミックスとは、複数の音の音量・音色・左右の配置を整える作業です。通常版の付属ケーブルは1.8mです。
2組のパッドは使いたいものの、付属1.8mケーブルで机まで届き、持ち運び用ケースも不要なら通常版が候補です。「PRO Plus」の3mケーブルやケースは、通常版の付属品ではありません。今回の商品カードはHD 490 PROなので、Plusのセット内容を前提に予算を組まないようにしましょう。
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DT 1990 PRO MK II|2組のパッドと2本のケーブルを使う
DT 1990 PRO MK IIは30Ω、約376gの開放型です。制作用とミックス・マスタリング用の2組のパッドに加え、3mの直線ケーブルと5mのコイルケーブルが付属します。マスタリングは、完成した音源の音量や音色を仕上げる工程です。
メーカーは、制作用パッドを低音を少し強めた設定、ミックス用を音を分析しやすい設定として案内しています。ハードケースも付属するため、音の傾向・ケーブル・収納を同梱品で使い分けたい人に選ぶ理由があります。一方、HD 490 PROより116g重く、参考価格も高いため、付属品を使う予定と装着感を合わせて判断しましょう。「MK II」のない旧型とは仕様が異なります。
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密閉型と開放型は「音を漏らせる部屋か」で選ぶ
伴奏をヘッドホンで聴きながら歌や生楽器をマイクで録るなら、密閉型を先に選びます。音が外へ出やすい開放型では、漏れた伴奏をマイクが拾う可能性があるためです。密閉型でも音漏れがなくなるわけではありません。

違いは耳を覆う部分の背面にあります。密閉型は背面を閉じ、開放型は網などを通して外へ音が抜ける構造です。例えばMDR-MV1では、ソニーが内部の反射音を減らすために背面開放型を採用しています。静かな部屋なら、こうした設計の違いを試聴で比べる余地があります。
静かな個室で、録音済みの音や打ち込みを編集するなら開放型も使えます。ただし、家族の会話やパソコンのファンの音も聞こえやすく、同じ部屋の人へ再生音が伝わります。「夜だから開放型」という選び方ではなく、同室者と周囲の騒音の両方で判断します。
ギターを機材へ直接つなぐ録音や、鍵盤でソフト音源を弾く作業なら、マイクへの伴奏の入り込みは同じ問題になりません。マイク録音をしない人まで密閉型に限定する必要はなく、初めて買う1本に開放型を選ぶこともできます。
接続は「プラグの太さ」と「必要な音量」を分けて確認
プラグが挿さることと、使いたい音量で鳴ることは別の条件です。まず接続機器のヘッドホン出力を見て3.5mmか6.3mmかを合わせ、その後に出力とヘッドホンの組み合わせを確認します。

CD900STの6.3mm固定と、他機種の変換付属品
今回の8機種では、MDR-CD900STだけが6.3mmの固定プラグで、3.5mmへの変換は別に用意する必要があります。他の7機種は付属の変換プラグまたは変換ケーブルで、3.5mm・6.3mmの両方へ対応します。
CD900STを3.5mm出力につなぐ場合に必要なのは、6.3mmメス→3.5mmオスのステレオ変換です。太いプラグを受ける穴が6.3mm、小さい端子へ挿す先端が3.5mmになります。変換後は接続部が長くなるので、ノートパソコンの側面で引っ掛けない置き方も考えましょう。
USB-C端子しかない機器では、使う端末に対応したUSB-C音声変換アダプターなどを介します。聴くためだけなら、マイク入力まで必須ではありません。マイクや楽器も録音するなら、ヘッドホン出力と録音用入力を備えたオーディオインターフェース(音をパソコンへ出し入れする機器)が候補になります。
Ωが小さいだけで「鳴らしやすい」とは決めない
Ω(オーム)はインピーダンスという電気的な負荷の値です。同じ出力機器でも、実際の音量にはヘッドホンの感度も関わります。感度は電気の入力に対してどれだけ音量が出るかを示す値で、単位が違う数値をそのまま比べられません。
例えばMDR-MV1は24Ω、HD 490 PROは130Ω、DT 1990 PRO MK IIは30Ωです。この順だけで音質や必要なアンプを決めるのではなく、手持ち機器のヘッドホン出力で音量を取れるかを確認します。十分な音量を無理なく得られるなら、ヘッドホンアンプ(ヘッドホンを鳴らす増幅器)の追加購入から始める必要はありません。
具体的には、接続機器の説明書でヘッドホン出力の推奨範囲を探します。Focusrite Scarlett 2i2第4世代なら、メーカーは300Ωまでを推奨しています。今回挙げた24Ω・130Ω・30Ωはいずれもその範囲内ですが、感度まで同一ではないため音量の余裕は同じになりません。記載がない機器は、接続先とヘッドホンの正確な型番を販売店へ伝え、組み合わせを相談すると選びやすくなります。
ケーブルは机の上から接続先までの経路で選ぶ
机上の機器へつなぐなら短めの直線、机の下や離れたラックへつなぐなら長い直線が扱いやすい候補です。長さを測るときは一直線の距離だけでなく、机の縁を回す経路と、椅子に座って頭を動かす余裕も含めます。

今回なら短い直線ケーブルはMDR-M1の1.2m、開放型ではHD 490 PROの1.8mが比較しやすい組み合わせです。コイル式はばね状にまとまりますが、伸ばすと戻ろうとする力が加わります。HPH-MT8やDT 1990 PRO MK IIを試すときは、普段の位置まで伸ばして耳元を引っ張らないかも確かめます。
着脱式は収納時に外せて、対応ケーブルへ交換できます。ただしヘッドホン側の端子や固定方法は機種ごとに異なります。見た目が似た汎用ケーブルではなく、正確な型番に対応したものを選ぶことが交換の条件です。
試着では耳・眼鏡・頭頂部の当たり方を見る
軽いモデルでも、耳や眼鏡のつるへ局所的に力がかかると使いにくくなります。試着では重量だけでなく、耳がパッドの内側に収まるか、眼鏡をかけた状態で隙間や圧迫がないか、頭頂部の一点に重さが集中しないかを見ます。

普段使う眼鏡のままヘッドバンドを調整し、正面・下向き・左右を向いた状態を試してください。装着がずれるたびに低音の量が大きく変わるなら、パッドの当たり方が安定しているか確認します。バンドを調整しても耳や眼鏡への圧迫が残る場合は、別の形のパッドや機種を試しましょう。
HD 490 PROとDT 1990 PRO MK IIの2種類のパッドは、肌触りだけでなく音の傾向を使い分けるものです。同じ曲の修正前後を比べる間はパッドをそろえると、変更した音と装着条件の差を混同しにくくなります。交換部品の型番も購入時に控えておくと、劣化した後に探し直す手間を減らせます。
モニターヘッドホンのよくある疑問
手持ちのヘッドホンで制作を始めても構いません。買い替えを考えるときは、「モニター」という名称の利点と、自分が今困っている点を分けると判断しやすくなります。
普通のヘッドホンとの違い・メリットは?
録音・編集時に音の細部やバランスを確認する用途で設計されています。ただし完全に平坦な音を保証する名称ではなく、音の傾向は機種によって異なります。
制作と音楽鑑賞で兼用できます。交換パッドやケーブルを入手できる製品なら、消耗した部品を替えて使い続ける選択肢もありますが、これは一般向けのヘッドホンにもある仕様です。名前だけで音質や修理のしやすさまで判断せず、機種ごとの違いを見ましょう。
モニターヘッドホンのデメリットは?
今回の8機種は有線なので、携帯時にはケーブルの取り回しが必要です。開放型は音漏れがあり、密閉型も重さやパッドの当たり方によって装着感が変わります。
イヤホンで制作を始めてもよい?
音の傾向を把握でき、安定して装着できるイヤホンなら制作に使えます。専用品を買う理由は名前ではなく、今の接続・音漏れ・装着の不便を解消できるかです。
出典・参考資料
本記事はメーカー公開仕様と販売店の表示を比較した購入ガイドです。8機種を実機で試聴した評価や、音質の測定結果ではありません。説明図は接続や使う場面を示したイメージです。
- ATH-M20xの仕様
- MDR-CD900STの仕様・修理条件
- DT 770 PROの仕様・バリエーション
- HPH-MT8の仕様
- HPH-MT8の折りたたみ・付属品
- MDR-M1の仕様
- MDR-MV1の仕様
- MDR-MV1の背面開放構造
- HD 490 PRO/PRO Plusの仕様・同梱品
- DT 1990 PRO MK IIの仕様・パッド
- Scarlett 2i2第4世代のヘッドホン出力
- モニター用とリスニング用の違い
参考価格の出典(サウンドハウス):ATH-M20x、MDR-CD900ST、DT 770 PRO 80Ω、HPH-MT8、MDR-M1、MDR-MV1、HD 490 PRO、DT 1990 PRO MK II。
価格・仕様の確認日:2026年10月13日。


